日本企業が海外で成功する方法を知る「セガvs.任天堂」

ゲーム業界の歴史を主にセガ・オブ・アメリカの視点から描いており、いままさにUSでビジネスをしている身としては、非常に勉強になりました。

  1. 近年まれに見るアメリカ市場で日本企業が競合しあいながらどの会社も成功した事例であること。最後の方にソニー(プレイステーション)も出てきます。
  2. 任天堂が荒川さんという山内さんの娘婿をニンテンドー・オブ・アメリカの社長に据えて成功したわけですが、そこにセガは中山元社長が元々バービー人形を再建したカリンスキーをセガ・オブ・アメリカの社長に据えて一時期はシェアをひっくり返すほとの大成功を納めたという手法の違い。
  3. 全米規模のマーケティングがどうやって行われて何がうまくいって何がダメだったのか、特にTVCMやイベントについてかなり詳しく描かれており、かつそれを仕掛けたひとや広告代理店をどう探してきたかなどまで書かれています。
  4. セガ・オブ・アメリカとセガ本社とのものすごい確執。特にアメリカ側からみた時の日本企業の見え方やどういったことがブロッカーになったのかなど。もちろん一面的な見方であるのは確かですが、セガは結局シェアを失いゲーム機から撤退したのも真実なので。

若干文章が冗長な部分もあり上下巻あり読了までものすごい時間もかかるのですが、特に1の点を考えると、これから日本企業がどうやって世界で成功していくかという点で、資料的な価値も含めて極めて重要な作品だと思います。世界を目指す起業家には必読です。