オンリーワンは創意である/町田勝彦

シャープ前社長町田氏がシャープ躍進の裏側を語った本。非常に文章も分かりやすく読みやすいし、成功体験を例にあげながらで非常に気持ちいいです。ただ「液晶」への選択と集中で成功したから言えることだとは思います。つまり(今の)任天堂をすごいなと思うのと同じで、後付けで考えれば、あれがよかった、この選択もよかった、となるわけですが、実際のところ全部うまくやっていても、集中したものが悪ければ失敗します。例えば、ソニーでほぼ同時期に出井さんはデジタルへの集中を志したが、うまくいったとは言えないわけで。最近「ブラックスワン」などの影響もあって、こういった本を読むとこのように考えて何をどう捉えて考えたらいいか考えてしまいます。なかなか難しいですね。

<抜粋/コメント>

  1. 1998年に社長に就任してまもなくのマスコミ記者との懇談会の席上で、「国内で販売するテレビを2005年までにブラウン管から液晶に置き換える」と宣言して、液晶でシャープの顔づくりを決意した後、マスコミ広告活動の方針を、「液晶応用商品以外は宣伝しない。しかも、液晶応用商品の宣伝量は、業界ナンバーワンにする」と決めたが、宣伝費をカットされた事業部門はおもしろくなかったと思う。
    1998年のシャープの「ブランド力」は業界7位で「顔の見えない会社」だったので、ブランドを作るべき選択と集中を行ったという。「20世紀に、置いていくもの。21世紀に持ってゆくもの。」という吉永小百合の宣伝がそれ。
  2. それまでのシャープの製品はブランドが低いが故に、たとえ機能性能が優れていても、トップブランド品よりも、安く売られていた。一年間通してその売価差を積み上げてみると、衝撃的な結果が出た。 私は、この金額の大きさに愕然とした。
    このことから「液晶」を前面に押し出してブランドイメージをあげる広告に切り替えたところ、なんと宣伝していなかった「白モノ家電」までもが売れ始めた、という。規模感によってブランドの作り方も全然違うとは思いますが、僕も会社経営するものとしてブランド重要なんだなと改めて思いました。
  3. ライバル会社も、隣の部門も、同期で入社した同僚も、だれもが同じように努力を重ね、同じように頑張っている。その中で現状に満足しない気持ち、すなわち「もうちょっとの心」を持って事にあたれば成果が差となって現れてくる。会社は、社員一人ひとりの「もうちょっとの心」で進化してゆくものだ。この「もうちょっとの心」が、私の大切な「座右の銘」である。
    いったいどういう時に差がついてくるのか、という疑問への回答になると思いました。