起業家ジム・クラーク/ジム・クラーク

ネットスケープといえば、本格的な商用インターネット・ブラウザですが、1994年4月に設立され、翌年8月には時価総額22億ドル(約1900億円)をつけてナスダック上場。その後は、マイクロソフトとの不当な競争に巻き込まれ、約4000億円でAOLに買収にされますが、まさに「すべてのインターネット・ビジネスを作った会社」といっても過言ではないと思います。そんなネットスケープを作ったのが、シリコン・グラフィックス創業者であるジム・クラークと、初の本格的なブラウザであるモザイクを作ったマーク・アンドリーセン。

本書では、ジム・クラークがネットスケープ創業時代を語った半自伝になっています。とにかく、ものすごいスピード感で、開始2ヶ月で従業員100名、15ヶ月目の株式公開時には400名、設立翌年の売上が60億円、と本当に桁違いのスケール。また、事業やベンチャー・キャピタル、マイクロソフトへの率直なコメントが生々しくてすごくおもしろいです。

ちなみに、Zyngaは設立3年で、売上500億、従業員1200人程度と予想されています。最近、こういった会社をどうしたら作れるか、をよく考えています。

<抜粋>
・二ヶ月ほどで、社員がすでに100名近くに増えていた。この辺りから、野心的なスタートアップ企業は、幾何級数的な成長を開始するののだ。
・売上計画が完成し、ガースは1995年の売り上げを7000万ドル(約60億円)と見積もった。設立間もない企業の売り上げ見込みとしては、この数字は桁外れなものだった。カテゴリー別の売り上げ内訳は不正確だったが、総額予測はほぼ正確であり、1995年の我が社の売り上げは、7500万ドルを達成した。
・設立からちょうど八ヶ月、我々は、本物の製品を持ち、利益を生み出すことのできる正真正銘の企業になることができたのである。その月からキャッシュフローも好転し、その後私たちは過去を振り返ることはなかった。

Google vs Facebookについて考える

GoogleがFacebookに負ける(かもしれない)理由
GoogleがFacebookに負ける(かもしれない)理由(2)

この記事は全般的にすごく鋭い視点でおもしろいのでぜひ一読していただきたいのですが、個人的に気になるのはこの辺り。

Facebook社が、次の論理的なステップとして、Google社と同様に、サードパーティーのサイトに広告を出し、『Washington Post』『Daily Beast』、地元新聞社のサイトなどを読むFacebookユーザーにターゲティング広告を行なうのはまず間違いないだろう。

他サイトに掲載される広告なら、Facebook体験を乱すことなく、最近の広告主が好む支配的で目立つものにできる。また、読者に関する情報をFacebook社が掲載サイトに渡す必要はないままに、ターゲティングを強化することができる。

これは当然起こるだろうし、これがGoogle AdSenseに打ち勝ちうるからこそ、GoogleもここのところFacebookに対して対抗意識をあらわにしているのだと考えます。

この闘いで劣勢のGoogle社としては、オープン性がいちばんの武器となるだろう。Facebook社が、利用者やパートナーが反旗を翻さない程度にオープンであろうとしているだけであることを利用して、ユーザーがFacebook社の壁に反発するように持っていくのだ。うまく行けば、インターネット上のIDを、電子メールのようなオープンなプロトコル(ホスティングや制御がどこでもでき、好きなサービスを何でもまとめることができるような)にする道が見つかるかもしれない。

Google社がその方向に失敗すると、Facebook社が、インターネット上のIDでできることとできないことをコントロールすることになる。そのときFacebook社は、1000億ドル以上の――あるいはおそらくGoogle社以上の――価値を持つ企業になるだろう。

Googleが何かしらFacebookアカウントを含んだIDをサードパーティが使えるようにさせるように仕向ける、というのは非常におもしろいのですが、正直言ってかなり難しいと思います。なぜなら、AndroidであれだけGoogleがGmailアカウントでユーザーをロックしていながら、Googleがそのアカウント情報を利用できるように仕向けられていない。

インターネットにおけるGoogleは携帯電話業界で言えばキャリアであり、コンテンツプロバイダ(CP)ではないからなのだけど、Androidではキャリア(財布を押さえるという意味で)にもCPにもなれていないという厳しい現実があります。とはいえ、アカウントを押さえれていれば何かできることがあるという期待はありますが。。

いずれにしても、Google全盛期になってもWindowsが売れ続けるように、Facebook全盛期になってもGoogleの牙城は揺るがないと思います。だから、Googleは、ある意味で(しばらくは)まったく心配しなくてもよいです。が、主戦場はすでにソーシャルメディアに移ってきており、次はソーシャルアプリになることは規定路線だと思っています。

北京の798芸術区がおもしろい

最近、北京にちょくちょく出張しているのですが、798芸術区というところがすごくおもしろかったです。北京市街と国際空港の間にあるので最終日に少し立ち寄ったのですが、街全体がギャラリーや雑貨屋、カフェの集合になっています。街中にもいろんな現代アートが置かれていて、ゴチャゴチャだけどシームレスな感じですごくおもしろい。

あまり写真が撮れなかったので、下記ページをどうぞ。

北京の新スポット「798芸術区」の風景

798芸術区(朝陽区酒仙路4号)は、1950年代、中国解放軍が、旧ソ連・旧東ドイツに提供する軍事品工場・「798工場」だったところ。その工場跡地に、2003年以降、著名アーティストが次々と集まり、今では100以上ものギャラリーが揃うように。打ちっぱなしのコンクリート壁、スチームパイプなどを残した空間で現代アート作品を展示、そのギャラリー横では、現役の工場も稼動中という、なんとも不思議なエリアなのである

特に雑貨屋で売っているものがおもしろいのが多くて、全然買物するつもりなかったのに、いろいろ買ってしまいました。ランチ込み2,3時間しかいれなかったので、全体がどのくらい大きいのかよく分かりませんでしたが、かなり楽しいので、次回も行きたいです。

日本でもこういうのがあったら芸術家にとっても、芸術好きにとってもすごくいいのにと思いました。結構流行るんじゃないかなあ。北京でちょっと変わったところに行きたかったらぜひ足を運んでみてください。

798芸術区 – Wikipedia