2010年の本+雑感

毎年やっている本のまとめなんですが、今年は昨年に比べると若干不作だったかなと思いますが、昨年は「芸術起業論」「ブラック・スワン」「この世でいちばん大事な「カネ」の話」という傑作があったので。。

今年の傾向としては、2008年の経済危機という「ブラック・スワン」以降、ブラック・ショールズをはじめとした(ノーベル賞まで取った)正規分布に基づく金融理論の全てが崩壊して、新たな理論として、経済行動学、行動心理学みたいなアプローチで、まず「常識」の否定がされている(2位、3位、4位など)、というフェーズかなと思います。

しかし、それらが統合されることはないし、かつまったく新しい考え方に対応できるひとや組織、国は非常に少ないため、ますます世界はブラック・スワンに翻弄されるのは間違いないです。

そんな中で、個人の戦略としては、今のところは、下記にあげたような本を読んだり、現実の世界を観察して自分なりのポリシーをしっかり定め、しかし一方で柔軟に変更していくくらいしかないかなと思います。

非常に困難ではありますが、一方で個のパワーがかつてないほど拡大しているのも事実であり、いろいろなチャンスが転がっているので、僕もいくつか新しい試みをしていこうかなと思っています。

ちなみに、ブログのエントリ数が減っているのですが、それは純粋にTwitterのせいですね。ちょっとしたことならTwitterの方が気楽ですし、最近はFacebookもfriendsが増えて、だいぶ楽しくなってきました。人間易きに流れるのはやむないわけで、むしろそういう中でどう行動していくかを考えていくべきかなと思います。

後、よろしければ、2006年2007年2008年2009年も合わせてどうぞ。

<2010年の本>

6位 残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法/橘玲
いわゆるリバタリアニズムについてよく分かる良書。今後世界は国家中心から経済中心に動いていくのは間違いなく、その際にキーになるリバタリアニズムを知っておくのは非常に有益だと思います。

5位 起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと/磯崎哲也
いわゆるベンチャーを起業して資金調達などをする方は絶対に読んでおいた方がよいです。そうでなくても、ベンチャーファイナンスを知っておくことはビジネスマンには非常に役に立つと思います。

4位 事実に基づいた経営/ジェフリー フェファー、ロバート・I. サットン
タイトルはかたいのですが、内容は豊富な実例によっており、非常におもしろいです。ビジネスのセオリーと言われているものにどれだけ嘘が氾濫しているかを知ることができます。

3位 まさか!?/マイケル・J・モーブッサン
「事実に基づいた経営」に似ていますが、もう少し分かりやすく、同じくビジネス界の嘘を暴いています。

2位 その科学が成功を決める/リチャード・ワイズマン
行動心理学で、豊富な実験から世の中の常識を打ち破る良作。「事実に基づいた経営」「まさか!?」に比べると、もう少し幅広い分野を扱っているのが特徴で、その分、分かりやすい事例が多くなっています。

1位 大人げない大人になれ!/成毛眞
元マイクロソフト社長の成毛氏が独特のあまのじゃく思想を語っているエッセー。発想が奇抜なのですが、そういう考え方もあるのかと目からウロコが落ちます。

映画『ソーシャル・ネットワーク』の翻訳監修メモ

ふとした縁からお声がけいただいて映画『ソーシャル・ネットワーク』の翻訳監修をやらせていただきました。この作品は、Facebookの創業前後の物語となっていて、個人的には書籍もおもしろかったのと、何でもとりあえずやってみるポリシーから、引き受けてみることしました。

後、デヴィッド・フィンチャー監督は『セブン』『ファイト・クラブ』とか大好きな映画だし、Facebookの物語だからというのも結構大きいのですけど。

翻訳監修って何?

海外の映画を日本で上映する場合、字幕版と吹替版を作りますが(字幕だけのこともあります)、その翻訳をするのは、もちろんプロの映画翻訳家が行います。しかし、映画によっては、専門用語などが頻繁に出てきて、映画翻訳家だけでは、自然な翻訳が難しい場合があります。そんな時に、専門用語をその業界のひとが見ても不自然にならないようにするのが、翻訳監修の仕事です。なので、必ず翻訳監修が必要となるわけではありませんし、翻訳監修という職業があるわけではありません。また僕が積極的に関わったのは映画の一部ですし、一から訳したわけではありません。

どのくらいの英語力が必要なの?

僕を知っている方なら僕が大して英語できないこともご存知かと思いますが、英語ができるか、というより、どれだけ求められる専門用語に親しいかが重要だと思います。今回だとハッキングのシーンや契約書を交わすシーンなど、インターネットとビジネスが分かって、英語が少しできれば可能なんじゃないかと思います。

どういう流れでやるの?

今回、TechDollの三橋ゆか里さんと一緒にやったのですが、まずラフな字幕の入った映画をソニー・ピクチャーズ本社で見て、スクリプトを持ち帰ります。それを各自で数時間かけて修正したものを、2時間位かけて突き合わせ、さらに何度かメールのやりとりをして、ソニー・ピクチャーズさんに提出。その後、それらを盛り込んだ字幕を試写会を見て、また気になったところをまとめた修正案を送って提出。

実際のところ字幕版は、セリフに比べて表示できる文字数が少ないので、どのように反映させるかはプロの技術が必要になってきます。なので、これで字幕版監修の仕事は終わりです。

その後、(字幕版に盛り込めなかった部分も盛り込んだ)吹替版のスクリプトが送られてきます。これも同様にレビューするのですが、字幕版に比べて格段に情報量が多いので、思ったより時間がかかります。これも三橋さんと付き合わせて、提出しました。

この間、時期的には2週間くらいかかっています(もちろん、ずっとそれに集中していたわけではありません)。その後、吹替版においては専門用語のイントネーションも必要になるということで、これについては電話でお答えしました。

どれくらい時間がかかるの? どれくらいのギャラなの?

実働はよくわかりませんが、20〜30時間くらいでしょうか。この頃の休み全部時間使ってやりました。ギャラはさすがに内緒ですが、一般的なアルバイトなどの時給よりはよいとは思います。が、定期的な仕事でないので。。

映画はおもしろいのですか? どうしたら観られますか?

さすがに関係者になってしまったので感想は控えますが、結構話題にはなってるみたいですよ! 観るには来年1月15日のロードショーを待つか、今なら下記試写会が先着順で受け付けてますよ!

日経エンタテインメント!主催『ソーシャル・ネットワーク』特別試写会

日経エンタテインメント!では、この冬の話題作『ソーシャル・ネットワーク』の試写会を実 施します。本作は世界最大のSNS「フェイスブック」成功の光と影を実話に基づいて描 いたもので、世界中の高評価を獲得し東京国際映画祭でもオープニング作品として上映 された注目の映画です。今回の試写会では、映画をより楽しんでいただくために、上映 前に本作の題材となっている「フェイスブック」やSNS、起業についてのトークセッション も実施します。早くも主要映画賞の呼び声が高く、映画ファンはもちろん、ITや起業に興 味があるビジネスパーソンも楽しめる傑作です。この機会をお見逃しなく。

P.S.映画の見所はどこですか?

最後の「翻訳監修 山田進太郎」のところ。この映画で一番笑えるところですw