しばらくサンフランシスコのZynga本社に

10日ほど前から、サンフランシスコのZynga本社に来ています。こちらには1ヶ月ほどいる予定で、結構長いです。今回の主な目的は、本社でいろいろと見て、Zynga Japanに持ち帰ること。

個人的に、シリコンバレーのベンチャー(正確に言うと、Zyngaはサンフランシスコにあるのでシリコンバレーではないのですが)がどのように経営・運営されているか、ものすごい興味があったので、すごくいい機会だと思っています。そして、もちろんソーシャルゲーム制作のノウハウも。

こちらでは、とりあえず先日MAU(月間利用者)が1億人を超えたことで話題になっているCityVilleチームにいて、GMのMark Skaggsをシャドウイングしてます(ついて回ってるってことです。ちなみに、Mark SkaggsはFarmVilleやTresure Isleを作ったひとでもあります)。その他、かなり重要な上層部のミーティングにも参加を許されていて、見るもの聞くもの新鮮で非常に勉強になって、楽しいです。

できればもう少し英語ができるといいんですが。。とりあえずこっちにいる間にもっと英語が話せるようになる、というのが裏テーマです。

という、久しぶりに日記っぽいエントリ。

ザッポス伝説/トニー・シェイ

(本書は献本いただきました。献本、ありがとうございます)

ものすごいリアルなシリコンバレーでの起業物語で、すごく楽しめました。著者はリンクエクスチェンジを起業し、MSに2億6500万ドルで売却。その後、ザッポスを含めて30社近くにエンジェル投資をしましたが、結局ほとんどうまく行かず、そして当時上手くいっていなかったザッポスに賭ける決断をしました。その際、全財産のほとんどをつぎ込んだそうです。

その後、CEOとして、ザッポスの立て直しと成功を導きました。この辺りの決断のディティールの一つ一つが非常におもしろく、勉強になります。アマゾンへの売却話も生々しく、セコイアなどのVCからのEXIT圧力が大きな要因のひとつであったと書いています。

投資を受けたベンチャーというのは、過酷なもので、EXITするか、IPOするか、どちらかを5年くらいのスパンで求められます。ウノウは幸いにして、非常に投資家に恵まれ、長い目で見守っていただきましたが、僕としては人生をかけて必ずリターンを提供したいと思っていたので、一定のEXITとなったのは本当に僕にとってすごくうれしいことであったし、非常に幸運であったと思います。とはいえ依然僕としてはZyngaに対して、恩義を感じていますし、引き続きZynga Japanの成功に全力を尽くしていきたいと思っています。

本書は、いいところも悪いところも含めて、生々しいベンチャーの現場を知ることができる良書だと思います。

P.S.本日は以前にご紹介した日経エンタテインメント!さん主催の映画『ソーシャル・ネットワーク』試写会でした。ご来場いただいた方、前説で私のお話を聞いていただき、ありがとうございました。

強さと脆さ/ナシーム・ニコラス・タレブ

ブラック・スワン」のタレブ新作。「ブラック・スワン」では、ブラック・スワンという現象そのものに焦点を当てていましたが、本作では「ではどうしたらいいか」に踏み込んでいます。

「ブラック・スワン」から1年半で金融危機が起き、それから2年。タレブは反省として、無駄の重要さについて語っています。あまりにも最適化されていると、予想外のことが起こったときに対応ができなくなる、と。

これによって、タレブの主張(哲学?)には磨きがかかりましたが、「ではどうしたらいいか」というと、いろいろな悪い可能性に備えて一見無駄なこともキープしつつ、できるだけ多くの良い可能性に賭ける、と結構実行するのが大変な戦略になってしまっています。

しかし、それでもそれが唯一の戦略である、と僕は思います。個人的には、前にも書きましたが、もっと自分の好きなことややりたいことに重点を置いてもいいのではないかと思います。そうすれば、人生を楽しみつつ、良い可能性に賭け、稀に良い可能性が起こればより人生を楽しむことができるからです。

「ブラック・スワン」に比べるとインパクトは欠けますが、これからの不確実な時代を生きて行くためには、セットで必読と思います。

<抜粋>
・グローバリゼーションは一見効率がいいように見えるかもしれない。でも、レバレッジを大きく利かせている点や要素同士の相互作用が多岐にわたる点を考えると、一ヶ所で不具合が生じれば、それがシステム全体に伝播するのがわかる。その結果、たくさんの細胞がいっぺんに発火し、癇癪の発作を起こした脳みたいな症状に陥る。すばらしく機能している複雑なシステムである私たちの脳みそが、「グローバリゼーション」なんかしていないのをよく考えてみてほしい。少なくとも浅はかな「グローバリゼーション」はしていない。
・知識の限界の下で、つまり将来が不透明である中で、進歩を遂げる(そして生き残る)ためには、こうした無駄のどれかがないといけない。この三年間、私はそういう考えに取り憑かれてきた。明日何が必要になるか、今日のうちにはわからない。
・物には二次的な使い道があり、そんな使い方がタダでついてくるものなら何だって、今まで知られていなかった使い道が出てきたり、新しい環境が現れたりする可能性がある。そういう二次的な使い道が多い組織ほど、環境のランダム性や認識の不透明から多くを得られるのだ!
・私は大事なことを見落としていた。生きた組織(人間の身体でも経済でも)には変動性とランダム性が必要なのだ。それだけじゃない。組織に必要なのは果ての国に属する種類の変動性であり、ある種の極端なストレス要因だ。そういうのがないと組織は脆くなる。私はそれにまったく気づいていなかった。
・受けた教育と文化的環境に洗脳された私は、規則的に運動して規則的に食事をするのが健康にいいと思い込んでいた。邪悪な、理にかなった議論というやつに自分が陥っているのに気づかなかった。世界がこうあってほしいという理想にもとづくプラトン的な思い込みだ。そればかりでなく、私は必要な事実は全部知っていたのに、洗脳されてしまったのだ。
・私がモデルを激しく罵っているとき、社会科学者が繰り返し言っていたのはこんなことだった。お前の言ってることなんか前から知ってるよ、こう言うじゃないか、「モデルは全部間違っているものだ、でも中には役に立つものもある」って。 彼らには本当の問題が見えていない。本当の問題は、「中には害をなすものもある」ってことだ。で、そういうモデルは大変な害をなす。
・私にとっての問題は、みんな稀な事象の果たす役割を認め、私の言うことに頷いてくれて、それなのにみんなああいう指標を使い続けることだ。ひょっとして頭の病気なのかと思ってしまう。

2010年の本+雑感

毎年やっている本のまとめなんですが、今年は昨年に比べると若干不作だったかなと思いますが、昨年は「芸術起業論」「ブラック・スワン」「この世でいちばん大事な「カネ」の話」という傑作があったので。。

今年の傾向としては、2008年の経済危機という「ブラック・スワン」以降、ブラック・ショールズをはじめとした(ノーベル賞まで取った)正規分布に基づく金融理論の全てが崩壊して、新たな理論として、経済行動学、行動心理学みたいなアプローチで、まず「常識」の否定がされている(2位、3位、4位など)、というフェーズかなと思います。

しかし、それらが統合されることはないし、かつまったく新しい考え方に対応できるひとや組織、国は非常に少ないため、ますます世界はブラック・スワンに翻弄されるのは間違いないです。

そんな中で、個人の戦略としては、今のところは、下記にあげたような本を読んだり、現実の世界を観察して自分なりのポリシーをしっかり定め、しかし一方で柔軟に変更していくくらいしかないかなと思います。

非常に困難ではありますが、一方で個のパワーがかつてないほど拡大しているのも事実であり、いろいろなチャンスが転がっているので、僕もいくつか新しい試みをしていこうかなと思っています。

ちなみに、ブログのエントリ数が減っているのですが、それは純粋にTwitterのせいですね。ちょっとしたことならTwitterの方が気楽ですし、最近はFacebookもfriendsが増えて、だいぶ楽しくなってきました。人間易きに流れるのはやむないわけで、むしろそういう中でどう行動していくかを考えていくべきかなと思います。

後、よろしければ、2006年2007年2008年2009年も合わせてどうぞ。

<2010年の本>

6位 残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法/橘玲
いわゆるリバタリアニズムについてよく分かる良書。今後世界は国家中心から経済中心に動いていくのは間違いなく、その際にキーになるリバタリアニズムを知っておくのは非常に有益だと思います。

5位 起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと/磯崎哲也
いわゆるベンチャーを起業して資金調達などをする方は絶対に読んでおいた方がよいです。そうでなくても、ベンチャーファイナンスを知っておくことはビジネスマンには非常に役に立つと思います。

4位 事実に基づいた経営/ジェフリー フェファー、ロバート・I. サットン
タイトルはかたいのですが、内容は豊富な実例によっており、非常におもしろいです。ビジネスのセオリーと言われているものにどれだけ嘘が氾濫しているかを知ることができます。

3位 まさか!?/マイケル・J・モーブッサン
「事実に基づいた経営」に似ていますが、もう少し分かりやすく、同じくビジネス界の嘘を暴いています。

2位 その科学が成功を決める/リチャード・ワイズマン
行動心理学で、豊富な実験から世の中の常識を打ち破る良作。「事実に基づいた経営」「まさか!?」に比べると、もう少し幅広い分野を扱っているのが特徴で、その分、分かりやすい事例が多くなっています。

1位 大人げない大人になれ!/成毛眞
元マイクロソフト社長の成毛氏が独特のあまのじゃく思想を語っているエッセー。発想が奇抜なのですが、そういう考え方もあるのかと目からウロコが落ちます。

映画『ソーシャル・ネットワーク』の翻訳監修メモ

ふとした縁からお声がけいただいて映画『ソーシャル・ネットワーク』の翻訳監修をやらせていただきました。この作品は、Facebookの創業前後の物語となっていて、個人的には書籍もおもしろかったのと、何でもとりあえずやってみるポリシーから、引き受けてみることしました。

後、デヴィッド・フィンチャー監督は『セブン』『ファイト・クラブ』とか大好きな映画だし、Facebookの物語だからというのも結構大きいのですけど。

翻訳監修って何?

海外の映画を日本で上映する場合、字幕版と吹替版を作りますが(字幕だけのこともあります)、その翻訳をするのは、もちろんプロの映画翻訳家が行います。しかし、映画によっては、専門用語などが頻繁に出てきて、映画翻訳家だけでは、自然な翻訳が難しい場合があります。そんな時に、専門用語をその業界のひとが見ても不自然にならないようにするのが、翻訳監修の仕事です。なので、必ず翻訳監修が必要となるわけではありませんし、翻訳監修という職業があるわけではありません。また僕が積極的に関わったのは映画の一部ですし、一から訳したわけではありません。

どのくらいの英語力が必要なの?

僕を知っている方なら僕が大して英語できないこともご存知かと思いますが、英語ができるか、というより、どれだけ求められる専門用語に親しいかが重要だと思います。今回だとハッキングのシーンや契約書を交わすシーンなど、インターネットとビジネスが分かって、英語が少しできれば可能なんじゃないかと思います。

どういう流れでやるの?

今回、TechDollの三橋ゆか里さんと一緒にやったのですが、まずラフな字幕の入った映画をソニー・ピクチャーズ本社で見て、スクリプトを持ち帰ります。それを各自で数時間かけて修正したものを、2時間位かけて突き合わせ、さらに何度かメールのやりとりをして、ソニー・ピクチャーズさんに提出。その後、それらを盛り込んだ字幕を試写会を見て、また気になったところをまとめた修正案を送って提出。

実際のところ字幕版は、セリフに比べて表示できる文字数が少ないので、どのように反映させるかはプロの技術が必要になってきます。なので、これで字幕版監修の仕事は終わりです。

その後、(字幕版に盛り込めなかった部分も盛り込んだ)吹替版のスクリプトが送られてきます。これも同様にレビューするのですが、字幕版に比べて格段に情報量が多いので、思ったより時間がかかります。これも三橋さんと付き合わせて、提出しました。

この間、時期的には2週間くらいかかっています(もちろん、ずっとそれに集中していたわけではありません)。その後、吹替版においては専門用語のイントネーションも必要になるということで、これについては電話でお答えしました。

どれくらい時間がかかるの? どれくらいのギャラなの?

実働はよくわかりませんが、20〜30時間くらいでしょうか。この頃の休み全部時間使ってやりました。ギャラはさすがに内緒ですが、一般的なアルバイトなどの時給よりはよいとは思います。が、定期的な仕事でないので。。

映画はおもしろいのですか? どうしたら観られますか?

さすがに関係者になってしまったので感想は控えますが、結構話題にはなってるみたいですよ! 観るには来年1月15日のロードショーを待つか、今なら下記試写会が先着順で受け付けてますよ!

日経エンタテインメント!主催『ソーシャル・ネットワーク』特別試写会

日経エンタテインメント!では、この冬の話題作『ソーシャル・ネットワーク』の試写会を実 施します。本作は世界最大のSNS「フェイスブック」成功の光と影を実話に基づいて描 いたもので、世界中の高評価を獲得し東京国際映画祭でもオープニング作品として上映 された注目の映画です。今回の試写会では、映画をより楽しんでいただくために、上映 前に本作の題材となっている「フェイスブック」やSNS、起業についてのトークセッション も実施します。早くも主要映画賞の呼び声が高く、映画ファンはもちろん、ITや起業に興 味があるビジネスパーソンも楽しめる傑作です。この機会をお見逃しなく。

P.S.映画の見所はどこですか?

最後の「翻訳監修 山田進太郎」のところ。この映画で一番笑えるところですw

起業家ジム・クラーク/ジム・クラーク

ネットスケープといえば、本格的な商用インターネット・ブラウザですが、1994年4月に設立され、翌年8月には時価総額22億ドル(約1900億円)をつけてナスダック上場。その後は、マイクロソフトとの不当な競争に巻き込まれ、約4000億円でAOLに買収にされますが、まさに「すべてのインターネット・ビジネスを作った会社」といっても過言ではないと思います。そんなネットスケープを作ったのが、シリコン・グラフィックス創業者であるジム・クラークと、初の本格的なブラウザであるモザイクを作ったマーク・アンドリーセン。

本書では、ジム・クラークがネットスケープ創業時代を語った半自伝になっています。とにかく、ものすごいスピード感で、開始2ヶ月で従業員100名、15ヶ月目の株式公開時には400名、設立翌年の売上が60億円、と本当に桁違いのスケール。また、事業やベンチャー・キャピタル、マイクロソフトへの率直なコメントが生々しくてすごくおもしろいです。

ちなみに、Zyngaは設立3年で、売上500億、従業員1200人程度と予想されています。最近、こういった会社をどうしたら作れるか、をよく考えています。

<抜粋>
・二ヶ月ほどで、社員がすでに100名近くに増えていた。この辺りから、野心的なスタートアップ企業は、幾何級数的な成長を開始するののだ。
・売上計画が完成し、ガースは1995年の売り上げを7000万ドル(約60億円)と見積もった。設立間もない企業の売り上げ見込みとしては、この数字は桁外れなものだった。カテゴリー別の売り上げ内訳は不正確だったが、総額予測はほぼ正確であり、1995年の我が社の売り上げは、7500万ドルを達成した。
・設立からちょうど八ヶ月、我々は、本物の製品を持ち、利益を生み出すことのできる正真正銘の企業になることができたのである。その月からキャッシュフローも好転し、その後私たちは過去を振り返ることはなかった。

Google vs Facebookについて考える

GoogleがFacebookに負ける(かもしれない)理由
GoogleがFacebookに負ける(かもしれない)理由(2)

この記事は全般的にすごく鋭い視点でおもしろいのでぜひ一読していただきたいのですが、個人的に気になるのはこの辺り。

Facebook社が、次の論理的なステップとして、Google社と同様に、サードパーティーのサイトに広告を出し、『Washington Post』『Daily Beast』、地元新聞社のサイトなどを読むFacebookユーザーにターゲティング広告を行なうのはまず間違いないだろう。

他サイトに掲載される広告なら、Facebook体験を乱すことなく、最近の広告主が好む支配的で目立つものにできる。また、読者に関する情報をFacebook社が掲載サイトに渡す必要はないままに、ターゲティングを強化することができる。

これは当然起こるだろうし、これがGoogle AdSenseに打ち勝ちうるからこそ、GoogleもここのところFacebookに対して対抗意識をあらわにしているのだと考えます。

この闘いで劣勢のGoogle社としては、オープン性がいちばんの武器となるだろう。Facebook社が、利用者やパートナーが反旗を翻さない程度にオープンであろうとしているだけであることを利用して、ユーザーがFacebook社の壁に反発するように持っていくのだ。うまく行けば、インターネット上のIDを、電子メールのようなオープンなプロトコル(ホスティングや制御がどこでもでき、好きなサービスを何でもまとめることができるような)にする道が見つかるかもしれない。

Google社がその方向に失敗すると、Facebook社が、インターネット上のIDでできることとできないことをコントロールすることになる。そのときFacebook社は、1000億ドル以上の――あるいはおそらくGoogle社以上の――価値を持つ企業になるだろう。

Googleが何かしらFacebookアカウントを含んだIDをサードパーティが使えるようにさせるように仕向ける、というのは非常におもしろいのですが、正直言ってかなり難しいと思います。なぜなら、AndroidであれだけGoogleがGmailアカウントでユーザーをロックしていながら、Googleがそのアカウント情報を利用できるように仕向けられていない。

インターネットにおけるGoogleは携帯電話業界で言えばキャリアであり、コンテンツプロバイダ(CP)ではないからなのだけど、Androidではキャリア(財布を押さえるという意味で)にもCPにもなれていないという厳しい現実があります。とはいえ、アカウントを押さえれていれば何かできることがあるという期待はありますが。。

いずれにしても、Google全盛期になってもWindowsが売れ続けるように、Facebook全盛期になってもGoogleの牙城は揺るがないと思います。だから、Googleは、ある意味で(しばらくは)まったく心配しなくてもよいです。が、主戦場はすでにソーシャルメディアに移ってきており、次はソーシャルアプリになることは規定路線だと思っています。

北京の798芸術区がおもしろい

最近、北京にちょくちょく出張しているのですが、798芸術区というところがすごくおもしろかったです。北京市街と国際空港の間にあるので最終日に少し立ち寄ったのですが、街全体がギャラリーや雑貨屋、カフェの集合になっています。街中にもいろんな現代アートが置かれていて、ゴチャゴチャだけどシームレスな感じですごくおもしろい。

あまり写真が撮れなかったので、下記ページをどうぞ。

北京の新スポット「798芸術区」の風景

798芸術区(朝陽区酒仙路4号)は、1950年代、中国解放軍が、旧ソ連・旧東ドイツに提供する軍事品工場・「798工場」だったところ。その工場跡地に、2003年以降、著名アーティストが次々と集まり、今では100以上ものギャラリーが揃うように。打ちっぱなしのコンクリート壁、スチームパイプなどを残した空間で現代アート作品を展示、そのギャラリー横では、現役の工場も稼動中という、なんとも不思議なエリアなのである

特に雑貨屋で売っているものがおもしろいのが多くて、全然買物するつもりなかったのに、いろいろ買ってしまいました。ランチ込み2,3時間しかいれなかったので、全体がどのくらい大きいのかよく分かりませんでしたが、かなり楽しいので、次回も行きたいです。

日本でもこういうのがあったら芸術家にとっても、芸術好きにとってもすごくいいのにと思いました。結構流行るんじゃないかなあ。北京でちょっと変わったところに行きたかったらぜひ足を運んでみてください。

798芸術区 – Wikipedia

MacBook Air 11インチのファーストインプレッション

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久しぶりにアップルネタ(よく見たらiPhone 4のときブログに書くの忘れてた模様)。11.6インチは正直画面が小さいんじゃないかなとも思いましたが、13インチは前モデル買って半年だし、何か新体験ができるかもということで購入(ちなみに11インチ+128GB SSD+4G+1.6GHz)。とりあえずの感想としては、

・思ったより画面の小ささは気にならない、むしろ軽さのメリットが素晴らしく感じる
・音がステレオになり、ものすごくよくなった
・スピードの違いはよく分からない(前はMacBook Air 13インチ+SSDモデル)
・USBが2つあるのが何気に便利(バックアップ+iPhone同期が同時にできたり)
・これでiPadみたいに通信できたらいいのに

といったところでしょうか。もう少し使ってみます。

後、恒例の移行メモつけておきます。最近は書類をiDiskに保存していてMobileMeで自動同期されたため、前回に比べてステップが減ってます。徐々に楽になってるのがいいところですね。

■移行メモ

●OSのクリーンインストール(今回未実施)
買ってきた初期状態だといろいろ余分なものも入っているのでいきなりOSを入れ替えます。
・[システム環境設定→起動ディスクを選択→再起動]
・[ユーティリティメニュー→ディスクユーティリティ→ディスクを消去する]
※これをやらないとクリーンインストールになりません!
・左下のカスタマイズ→プリンタドライバとか使わない言語とか外す
※これもかなり見落としやすいポイントです!
・インストール(30分ほど)
・無線LAN設定&ユーザー設定など

●最初にやること
・Mac OSのソフトウェアアップデートを実施
・HDD暗号化設定。[システム環境設定→セキュリティ→FileVault→入]

●各種設定読み込み
・MacではMobileMe(年間9,800円)を契約していると設定をオンラインに保存しておくことができます。メール設定、メモ、ファイル、環境設定などは自動読込み。ものすごい楽。[システム環境設定→MobileMe→MobileMeと同期→今すぐ同期]

●パッケージインストールするアプリ
・Office Mac 2008
・iWork ‘10(未完了)

●オンラインインストールするアプリ
・Flashーなんと最初からインストールされていないため
・Google日本語入力ーことえりの代わりに
・Skypeーチャット&会議用
・AdiumーWindows Messnger&Gtalk用
・WidemailーMail.appを3段カラムにする

●データ移行
・Mail.app
MobileMeで設定はコピーされているので、メール自体はコピーする必要もなくMail.appを起動するだけ。最初はIMAPで読み込むため結構時間がかかります。
・iTunes
[/ホーム/ミュージック/iTunes/]をコピーして、iTunes起動
・iPhoto
[/ホーム/ピクチャ/iPhoto Library]をコピーして、iPhoto起動
・Adium
[/ホーム/Library/Application Support/Adium 2.0/]をコピーして、起動
・Skype
[/ホーム/Library/Application Support/Skype/]をコピーして、起動

●エンジニアリング用
“ターミナル.app”でSSH接続できるようにする
・保存しておいた秘密鍵(id_dsa)を[/ホーム/.ssh/]にコピーする
・普通にsshする
※自分の場合、パスワードが非常に長いので注意

●その他
・Safariで新規タブが開かないように”ターミナル.app”から以下を実行
defaults write com.apple.Safari TargetedClicksCreateTabs -bool true
・イーモバイルーPocket WiFiのため特に設定必要なし
・iPhoneーつなげるだけ
・Parallels(未完了)

●困っていること
・テキストファイルがテキストエディットで開けないことがある。文字コード指定すれば開けるんですが。。

残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法/橘玲

お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』などの橘玲氏の新作。知能は遺伝するとか、性格は家庭とは無関係とか、自己啓発では変われないとか、(アメリカ人に比べて)日本人は会社が嫌いだった、とか様々な実験や理論からズバズバ書いていておもしろいです。

全部が全部合っているか分からないにせよ、そういう可能性もある、という前提で世の中を捉える方がいいのだろうなと。今まで常識と思われていたことがことごとく覆る世の中だからこそ、こういうありえる現実に触れるのは重要なんじゃないかと思います。

すごく読みやすいですし、頭のトレーニングになります。

<抜粋>
・ぼくたちの社会では、スポーツが得意ならうらやましがられるけれど、運動能力が劣っているからといって不利益を被ることはない。音楽や芸術などの才能も同じで、ピアノが弾けたり絵がうまかったりすることは生きていくうえで必須の条件ではない。 それに対して知能の差は、就職の機会や収入を通じてすべてのひとに大きな影響を与える。誰もが身に沁みて知っているように、知識社会では、学歴や資格で知能を証明しなければ高い評価は得られないのだ。 もしそうなら、知能が遺伝で決まるというのは不平等を容認するのと同じことになる。政治家が国会で、行動遺伝学の統計を示しながら、「バカな親からはバカな子どもが生まれる可能性が高く、彼らの多くはニートやフリーターになる」と発言したら大騒動になるだろう。すなわち、知能は「政治的に」遺伝してはならないのだ。
・ハリスは、子どもの性格の半分は遺伝によって、残りの半分は家庭とは無関係な子ども同士の社会的な関係につくられると考えた。(中略)子どもは、親や大人たちではなく、自分が所属する子ども集団の言語や文化を身につけ、同時に、集団のなかで自分の役割(キャラ)を目立たせようと奮闘するのだ(『子育ての大誤解』<早川書房>)。 集団への同化と集団内での分化によって形成された性格は、思春期までには安定し、それ以降は生涯変わらない。ぼくたちは長い進化の歴史のなかで、いったん獲得した性格を死ぬまで持ちつづけるように最適化されている。
・もうちょっと正確にいうと、適性に欠けた能力は学習や訓練では向上しない。「やればできる」ことはあるかもしれないけれど、「やってもできない」ことのほうがずっと多いのだ。 こちらが正しければ、努力に意味はない。やってもできないのに努力することは、たんなる時間の無駄ではなく、ほとんどの場合は有害だ。
・中間共同体とは、PTAや自治会、会社の同期会のような「他人以上友だち未満」の人間関係の総称だ。日本や欧米先進諸国では、貨幣空間の膨張によってこうした共同体が急速に消滅しつつある。PTA活動や自治会活動は面倒臭いから、お金を払ってサービスを購入すればいい、というわけだ。 中間共同体が消えてしまうと、次に友情空間が貨幣に侵食されるようになる。友だちというのは、維持するのがとても難しい人間関係だ。それによくよく考えてみれば、たまたま同級生になっただけの他人が、思い出を共有しているというだけで、自分にとって「特別なひと」になる合理的な理由があるわけではない。
・アメリカの有名大学でMBAを取得した優秀なひとたちが、最新のマーケティング理論を引っ提げて起業に挑戦するけれど、ほとんどは失敗する。それは彼らが儲かることをやろうとして、好きなことをしないからだ。 それに対して「好き」を仕事にすれば、そこには必ずマーケットがあるのだから空振りはない(バットにボールを当てることはできる)。ほとんどのひとは社会的な意味での「成功」を得られないだろうけど、すくなくとも塁に出てチャレンジしつづけることはできる。

起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと/磯崎哲也

(本書は献本いただきました。献本、ありがとうございます)

内容は「事業計画」「資本政策」「企業価値」「ストックオプション」「種類株式」などなどベンチャーのファイナンスに関わること全般で、すごく難しく聞こえますが、奇跡的に分かりやすいです。

僕も職業柄、いくつかファイナンスを経験してきたこともあって、いろいろと相談を受けたりするのですが、ファイナンスはテクニカルに奥が深く、かつ幅広い解決方法があったりして、なかなか全体として把握するのが難しいと思っています。

僕の場合、周りに詳しい方々がいたので、なんとかなってきましたが(すごく幸せなことですね)、もしこの本があれば、すごく早くにいろいろなことが知れてよかったのに、と思いました。

特に、資本政策は後戻りが聞かないので、いろいろと大変な相談とか話とかを聞きます。後、ネット上だと結構適当なことを書いてあることが多くて惑わされたりします。そうならないためにも資金調達とかする前に一読することをオススメしたいです。

P.S.磯崎さんのブログはこちらです。

(500)日のサマー[80点]

(500)日のサマー (500)日のサマー (2009)

【監督】マーク・ウェブ
【出演】ジョセフ・ゴードン=レヴィット / ズーイー・デシャネル / ジェフリー・エアンド / クロエ・グレース・モレッツ / マシュー・グレイ・ガブラー / クラーク・グレッグ / レイチェル・ボストン / ミンカ・ケリー

★★★★ [80点]「いろいろな感覚が思い出される良作」

ロマンチストの男子トムは恋に落ちて、愛を信じない女子サマーは恋に落ちない物語。軽いように見えて、結構奥深くて、個人的には好きです。

最初にキスをした後の信じられなさとか、寝た後に本当に世の中が一変してしまう感覚とか、喧嘩した後の焦燥感とか、喪失感とか、鮮やかに描かれていて、素晴らしいと思いました。

500日の間を前後にスキップする構成、そして必ずトムからの視点で描かれているがゆえに、サマーのミステリアスぶりが際立って感じられるのもよかった。

こういう経験って基本的になかなかきついのだけど、生きてるって感じがするから、忘れたくないなと思う。そんなことを思い出させてくれる作品。

後、ヒロインのズーイー・デシャネルがとてもよかった。主人公のジョセフ・ゴードン=レヴィットは「インセプション」にも出てきてますね(アーサー役)。映像も音楽もセンスがあって、すごくよかったです。

Posted by suadd on 2010/08/29 with ぴあ映画生活

インセプション[100点]

インセプション (2010)

【監督】クリストファー・ノーラン
【出演】レオナルド・ディカプリオ / 渡辺謙

★★★★★ [100点]「ぶっ飛んだ想像力」

クリストファー・ノーラン監督作品。「ダークナイト」は本当に素晴らしかったので、かなり期待していたところ、期待を裏切られない素晴らしい作品でした。

まず、夢の中という潜在意識の中で大事な情報を盗むとか、夢の中の夢の中(二階層目)みたいなアイデアが素晴らしいし、かつ次々に明かされる夢のルールとストーリーが密接に絡まり合っていて、重層的な作りになっているのが素晴らしいと思います。

かつ、それを補完するような映像、予告編でもおなじみの街が折りたたまっていくシーンとか、無重力上でのアクションとかの想像力がぶっ飛んでいてものすごい刺激的です。

ストーリーはかなり複雑なのですが、丁寧に追っていけば、かなりきれいにまとまっていることが分かると思います。そういう意味では「ダークナイト」に近くて、一度目でもおもしろいけど、分からない部分を知るために、何度でも観たいと思わせる傑作だと思います。

Posted by suadd on 2010/08/15 with ぴあ映画生活

Zyngaのウノウ買収にあたって

すでに報道されている通り、ウノウは、サンフランシスコにあるソーシャルゲーム大手Zyngaによる買収のオファーを受諾しました。

ウノウからのお知らせ:当社株式の譲渡に関するお知らせ

ウノウは5年半ほど前に「世界で使われるインターネットサービスを創る」ことを掲げ、株式会社化してから現在まで、映画生活(ぴあ社へ譲渡)やスグCC、NeoAd(いずれもGMOアドパートナーズ社へ譲渡)、フォト蔵などの多くのユーザー参加型サービス(CGM/UGC)を生み出してきました。一方で、ウノウエンジニアの書くウノウラボブログは日本のウェブエンジニアによく読まれ、技術力のある会社として認知されてきたと考えています。

そして、昨年「まちつく!」でモバイルソーシャルゲームに参入して以来、急速にソーシャルゲームシフトを進めてきました。現在では「バンドやろうよ!」「海賊クロニクル」など複数のタイトルをmixi、モバゲー、GREEなどへ提供しています。特に「まちつく!mixi版」は300万人以上の方にご利用いただいています。

そんな中で、Zyngaから買収のオファーを受けました。

これは、Zyngaの世界戦略の一貫でもあり、ウノウのモバイルソーシャルゲームやそれを創る組織への高い評価によるものです。

ウノウとZyngaは、強いエンジニアリングと高いクリエイティブの融合、よいサービス作りへのしなやかな姿勢など共通点は多く、世界志向の会社や社員の方向性とも合致し、マージ後もスムーズに成長していけると考えました。

また、シリコンバレーのトップクラスのインターネットベンチャーに加わり、世界最高峰の人材と交わることで、世界のやり方を学び日本市場で確固たるポジションを築くと共に成長し、逆に日本の最先端のモバイルの知見を世界に紹介していくよい機会だとも考えました。

このようなことから、オファーを受け入れることを決断をしました。

本件は、日本のインターネットベンチャーをシリコンバレーのトップクラスのインタネットベンチャーが買収する初のケースになります。今後も日本のインターネットベンチャーの新たな道を切り開いて行きたいと思います。

なお、私や共同経営者の石川がウノウを離れるということはありません。ウノウは引き続きオリジナルタイトルの制作・運営をすると共に、Zyngaタイトルを日本市場でリリースしてまいります。

引き続きモバイルソーシャルゲームの発展へ寄与すると共に、世界への橋架けになりたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

※本件について、様々な方から噂の真相について聞かれましたがお答えすることができず、不義理をしてしまいました。独占交渉期間の守秘義務かつデリケートな話のため口外できなかったことを深くお詫びすると共に、ご理解をいただければ幸いです。

ルポ 貧困大国アメリカ II/堤未果

ルポ貧困大国アメリカ」の続編。今回は、学資ローン、社会保障、そして前回にひき続き医療改革などを取り上げています。

相変わらずひどい実例のオンパレードで、暗い気持ちになりますが、特に医療改革でオバマ大統領がようやく国民皆保険導入を公約に掲げて当選し、医療関係者などの賛同も経て導入に向けて動き始めたにも関わらず、医療保険会社などの画策により見事に潰されていく様が何とも言えない無力感を覚えます。

日本人でよかったと思う一冊。

<抜粋>
・学資ローンに対しては消費者保護法というものは存在しない。1998年にクリントン大統領が署名した高等教育法改正が、他のローンに通常は適用されている消費者保護法のすべてを学資ローンから削除したからだ。さらに2005年には、住宅ローンやカードローンでよく使われる、借り手が自己破産した場合の借金残高免責も学資ローンの適用から外されていた。
・労使交渉で強気に出られないGMは、従業員と退職者の年金と医療保険を負担し続け、ついに医療費負担は他の業界を抜いて全米一の年間56億ドルにまで膨れ上がった。 自動車一台あたりに上乗せされる年金分のコストは1500ドル(15万円)。これが競争相手のトヨタUSAに大きく引き離される原因の一つとなり、かつては「巨人」と呼ばれたGMの市場での力は失われていった。
・現在アメリカ国内で歯科医療保険を持っていない国民は1億人、約3人に1人いる。 貧困層では数百万の子どもたちが、治療しないままの虫歯を持っている。(中略)歯と貧困には深い関係がある。他の病気と違い、歯には自然治癒というものがないからだ。
・「医療費がこれだけ高い国はどう考えても異常です。カリフォルニア州では医療費請求の21%が保険会社によって却下されている。1錠の薬を4つに割って節約する高齢者や、仕事を持っているのに突然破産する会社員、過労死や鬱病で倒れてゆく医師や看護師。これらを生み出した原因はたった1つ、医療を賞品にしてしまったことです」
・「今のシステムが奪った、目に見えないものとはたとえば何ですか?」 「患者と医師の間のつながりや、医師のなかに存在するはずの誇り、充実感などです。(中略)間に医療保険会社という株主が介在しない世界では、患者は医師を人として信頼し、医師は患者との交流を通して、いのちを救っているという充実感と誇りを受け取るのです。これは数字では測れない、けれど人間が日々生きていくためには失ってはならないものの1つです」
・アメリカの総人口は世界の5%だが、囚人数は世界の25%を占める「囚人大国」なのだ。
・州政府にとってそれら民間刑務所の最大の魅力は、とにかくコストが安いことだという。全米の刑務所運営維持費用は年間570億ドル(5兆7000億円)を超えており、これは国の年間教育予算420億ドルを上回っている。

いくつかのイベント告知

ここのところブログをぜんぜん更新できてなくてすいません。このところ慌しくて、久しぶりに休暇で沖縄に遊びに行ってきてリフレッシュしたところです。

本も読んでいないわけではないのですが、印象に強く残るものがなくて更新できてませんでした(ちなみに、読んだ本すべてをエントリしてるわけではなくて、掲載しているのはよいと思ったごく一部です)。

いくつかのイベントに参加させていただく予定ですので、告知させてください。興味がありましたらぜひご参加ください。

まさか!?/マイケル・J・モーブッサン

LMCMというファンドのチーフ・インベストメント・ストラテジストで、コロンビア・ビジネススクールのファイナンス非常勤教授のマイケル・J・モーブッサン氏が「ブラック・スワン」「なぜビジネス書は間違うのか」などのビジネス書の内容の一部や、研究事例などを元に、意思決定の考え方や、ミスをするポイントについてまとめて書いています。

個人的に、非常に興味のあるテーマなので、大変おもしろかったです。結局のところ、世の中には間違った考え方が氾濫しているので、それらに気づくことが重要ですが、しかし、それらは巧妙に正しいふりをしています。こういった著作を読むことで、気づきを得て、少しは判断ミスを防ぐことができるようになります。

いくらがんばっても、判断ミスをゼロにすることはできませんが、こうやって少しでも前進していきたいなと思っています。

<抜粋>
・よい決断を下したにもかからわず、ひどい結果が出たら、自らを奮い立たせ、再び立ち上がり、もう一度ゲームに取り組む準備をすること。それだけだ。
・他人の意思決定について評価する時もまた、彼らが得た結果よりも決断を下すプロセスに目を向けるのがよいだろう。たまたま偶然に大きな成功を収めるような人も少なくない。たいていは、彼らはどうやってその結果が得られたのか、まったく検討がついていない。しかし、多くの場合、運命の女神が彼らに微笑むのをやめたとたんに、彼らは奈落の底に突き落とされる。同様に、スキルのある人でも、一時期だけひどい結果を被るようなこともあるが、そこで落胆してはならないのだ。
・ある研究で、研究者が二つのグループの社会人に、1ドルで、50ドルの賞金が得られる宝くじに参加してもらった。(中略)抽選の前に、研究者が被験者に、宝くじのカードをいくらで売れるか訊ねてみた。カードを自分で引いたグループの回答は9ドル近くだったのに対して、自分で引けなかったグループは2ドル以下であった。自分である程度、状況をコントロールしていると信じている人は、当選確率は実際よりもよいと思ってしまうのだ。
・統計的に、アクティブにポートフォリオを構築する資産運用マネージャーは、市場のインデックスよりも低いリターンしか得られておらず、これはどの投資会社も認めている。この理由は極めてシンプルだーー市場は非常に競争が激しく、かつ、運用マネージャーは手数料を取るのでリターンが減ってしまう。市場はまた、適度にランダムで、時の経過につれてすべての投資家がよい結果と悪い結果に出合うようになっている。にもかからわず、アクティブ運用マネージャーは、我こそは市場よりもはるかによいリターンを得られるかのように振る舞う。
・心理学者リチャード・ニスベットの研究によれば、東洋人と西洋人の間には大きな文化的な相違があるという。東洋と西洋では経済的、社会的、哲学的な伝統が異なるため、ある出来事に対する受け止め方が変わってくるのだ。東洋人はより周囲の状況に関する説明をしたがり、一方、西洋人は個別の事柄に固執する。東洋と西洋の間で認識の違いが生まれるのもうなずける。例えば、東洋人は環境に合わせようとするが、西洋人は自分がそこにいる目的を明確にしたいと思う。
・よい結果が繰り返し起こると、人は自分のやり方が正しく、それですべてうまくいっていると考える。この錯覚が人に根拠のない自信を植えつけ、(たいていはよくならない)予期せぬ出来事へとつながるのである。
・人が複雑なシステムを考える時に犯すもう一つの過ちは、心理学者が還元主義的先入観と呼ぶ(中略)人間の、複雑な問題をよく考えずにシンプルに片づけてしまおうとする傾向である。
・この先入観のよい例が金融である。早くは1920年代のリサーチですでに、価格は通常の正規分布に当てはまらないと示しているのにもかかわらず、経済学理論はいまだに価格は正規分布するということを前提に置いている。もし金融の専門家がアルファ、ベータ、もしくは標準偏差という言葉を使って証券市場の説明をするのを聞いたことがあるならば、それは実際に目の前で還元的先入観を見ていたことになる。
・非常に稀で極端な出来事は、ポジティブなものもあれば、ネガティブなものもある。集合的なシステムについて考える際には、コストをそれほどかけずに、なるべく多くのポジティブな出来事に出合い、ネガティブな出来事が起きても大丈夫なように対策をしておくことである。
・例えば、ある企業がよい業績を出していると、マスコミが「正しい戦略、ビジョンのあるリーダー、士気の高い社員、すばらしい顧客志向、活気あふれる企業文化……」と賞賛するであろうことをローゼンツワイグは述べている。しかし企業の業績がその後、平均に回帰すると、傍観者たちはこれらすべての指標が悪くなったと結論づけるだろうが、現実にはそのようなことは何も起こっていないのである。多くの場合、同じ経営陣が同じ戦略で、同じ経営を行っているのである。
・本書で述べる意思決定の過ち(判断ミス)はたくさんの人に共通に起こる、よくあるもので、日常で見つけやすく、なおかつ防げるものでなければならないと述べた。私の意図が伝わっていれば、本書に出てくる事例のような過ちをいろいろなところで見かけるようになるだろう。最初にやるべきことは、毎日流れてくる多くの情報の中から、これらの過ちに気づくことである。
・いったん結果が明らかになると「後知恵のバイアス」がかかって、多くのコメンテーターが最初からそんなことはわかっていた、というようなことを偉そうに言いはじめる。また、人は、物事がうまくいかなかったのは他人のせい、うまくいったのは自分のおかげだと言いたがる。そして、本書では、日常で目にする事件や、さまざまな決定の結果を考える際には慎重でいようと呼びかけている。

iPadが(予想通り?)すごい件

iPad発売されましたね。ということで先日アメリカまで行きながら購入できなかったため、普通にネットのApple Storeで予約して買いました。32GのWiFiモデル(Pocket WiFiで通信)。まだ少ししか触ってないですけど、ちょっとだけ雑感をば。

・iPhoneからの蓄積で完成度がものすごい高い
iPadはiPhone OSが使われているわけですが、iPhoneは初代から数えると3年ほど経っており、その蓄積による使い勝手のよさがもろに反映されていると感じます。これが今までのタブレットPCとの大きな違いで、いきなり完成度がものすごい高い。キビキビとした隙のない使い勝手で、使っていて気持ちいい。Google Androidはいつか追いつくとは思いますが、道のりはかなり長いと言わざるをえません。

・本はほぼ電子書籍になる
京極夏彦氏が実験的に『死ねばいいのに』を書籍よりも安く販売しているので、買ってみたのですが、ものすごい快適に読めます。ページをめくるにはさらりとタッチするだけなので、むしろページめくるより楽です。本は読めればなんでもよい方(所蔵もしない派)ではありますが、そうでなくても多くの方にとっては電子書籍でぜんぜん問題ないんじゃないでしょうか。個人的に気になったところにしおりを何枚も挟む読み方をしていて、それができないのが難点ですが、その辺りは改善されていくのかなと。むしろiPad触って、今後かなりの本が電子書籍化されているのが確実だなと改めて思いました。Amazonで予約したら明日届くっていっても、ワンクリックでダウンロードしてすぐ読めた方が絶対便利だし。

・もはやノートパソコンとか要らない(特にネットブック)
メールとかネットサーフィンとか、ものすごい快適。iPhoneと画面の大きさが違うだけでこんなに違うんだというのは驚きでした。そもそもソフトウェアキーボードもかなりのスピードで文字入力できるし、もはや自宅にパソコンとか不要。ソファーに座って、iPad。この方が明らかに自然。僕は仕事柄パソコンをばりばり使うので難しいところもありますが、世の中の多くの方にとっては、ほとんどが「見る」で「入力する」頻度は少ないわけで、だからこそネットブックが売れていたわけですが、正直ネットブック、かなり厳しい立場に追い込まれたと思います。

全体としては、買うまではどのくらいの完成度なのかなと様子見的な部分もあったのですが、iPadはまさに新しいカテゴリの商品の発明であり、本当にアップル、というかジョブズすごいなぁと改めて強く思いました。iPadが切り開く世界というのはすごく大きくて、インターネット・ビジネスにもかなり大きなインパクトがあるのは間違いないので、使いながらいろいろ試していこうと思います。

ウノウ求人してます その2

前回のエンジニア募集求人に加えて、百式ジョブボードでも掲載開始しました。

百式ジョブボードに『ウノウ株式会社』が参加! – IDEA*IDEA

また、Find-job!にてプロデューサーとメールサポート事務の求人も追加で開始されました。

ウノウ株式会社 – モバイルソーシャルアプリのプロデューサーの転職・求人情報
ウノウ株式会社 – メールサポート事務の転職・求人情報

多方面で募集してますので、ウノウに興味のある方は、ぜひ一度ご覧ください。

ウノウ求人してます

ウノウでは自社ホームページFind-job!などで求人していて、ありがたい事に多くの応募があります。しかし、さらに多くの方に求人を知っていただきたいということで、つい先日からリクナビNEXT、イーキャリア、マイナビ転職などにも広告を出すようにしています。

ウノウ株式会社の転職・求人情報/リクナビNEXT[転職サイト]
ウノウ株式会社採用・求人情報|イーキャリア
ウノウ株式会社/エンジニア(モバイルソーシャルゲームの開発※PHPがメイン) | 転職・求人情報サイトのマイナビ転職

実際は、エンジニアだけでなく、デザイナー、Flashエンジニア、プロデューサーや、その他あらゆる部門も強化しています。

ソーシャルゲームというのは非常に新しい分野なので、未経験からウェブやゲーム業界で経験のある方まで、様々な方に活躍できるチャンスがあります。多分野から、優秀な人材に参画していただき、今までになく新しく、より多くの方に使っていただけるサービスを作っていきたいと思います。

興味のある方は、ぜひご応募ください。