謹賀新年+2015年の本ベスト10

虹

2016年、あけましておめでとうございます!
昨年は本当に周りに助けられた幸運な一年でした。

まずはじめての子どもを授かるという一大イベントがあり、その他のプライベートな理由もあり、日本で出産してもらうことに決めました。結果、健やかな娘を授かることができました。いろいろと大変なこともありますが、スクスクと成長するのを見るのはそれ以上の喜びがありますね(もちろん一番大変なのは妻なのですが。いつも感謝です)。

仕事においても、メルカリがリリース2周年を迎え業績が急拡大する中で(かつ子ども関連で若干行動も以前に比べて制限される中で)、地理的(日米欧)にも社員数的(120→230)にも自分一人が見られるキャパシティを軽く超えて行きましたが、素晴らしい仲間が増えたことですごい成果を出してくれました。昨年はメルカリの組織的な強みが一気に花開いた感がありました。自分は自分にしかできないことのみをやっていこうと思っています。

ということで、いろいろな意味で周りに助けられた一年で、ありがとうございました。また自分の幸運も改めて実感しました。

2016年はシンプルにメルカリUSの大成功を目指したいと思います。ただ同時に、もう少し中長期的な視点でいかに世界中にサービス展開していくか、そのためにどのような技術やプロダクト、人材、組織が必要かを考えて少しづつ種を巻いて行きたいと思っています。

昨年に引き続き今年もよろしくお願いいたします。

さて恒例のベスト本ですが、2015年は非常に豊作で久しぶりにベスト10となってます。どれも名作なので興味がわいたらぜひ手にとってみてください。

■2015年の本ベスト10

10位.クロネコヤマト誕生の物語「小倉昌男 経営学」

宅急便を始めて気がついたのは、これまでは、荷主の輸送担当者にあごで使われていたという感じだったのが、集荷に行っても配達に行っても、家庭の主婦から必ず「ありがとう」「ご苦労様」という言葉をかけられることであった。これまで聞いたことのない感謝の言葉を聞いて、現場を回るドライバーたちは感激してしまった。

クロネコヤマトの始まりとその後の快進撃。しかしその裏には緻密な計画があったことが分かります。

9位.アップル製品のこだわりを知る「ジョナサン・アイブ」

ジョブズはいつも、集中とはイエスということではなく、ノーということだと語っていた。ジョニーの指導のもと、アップルは「そこそこいい」ものであっても「偉大な製品」でなければ却下することを激しく自分たちに課している。

アップルのデザインをリードしてきたジョナサン・アイブに迫ったドキュメンタリー。どのようにiMac、iPod、iPhone、iPadが生まれてきたかがよく分かります。

8位.謙虚さと内省の重要さ「ピクサー流 創造するちから」

社会的に自分より上の立場の人には本音が言いにくい。さらに、人が大勢いるほど、失敗できないプレッシャーがかかる。強くて自信がある人は、無意識にネガティブなフィードバックや批評を受けつけないオーラを放ち、周囲を威圧することがある。成否が問われる局面で、自分のつくり上げたものが理解されていないと感じた監督は、それまでのすべての努力が攻撃され、危険にさらされていると感じる。そして脳内が過熱状態になり、言外の意味まで読み取ろうとし、築き上げてきたものを脅威から守ろうと必死になる。

ピクサーがなぜここまで成功し続けられるのかがよく分かる一冊。会社に内省の仕組みを入れる、というのは目からウロコでした。

7位.スーパーグローバル企業の実態「石油の帝国」

エクソンモービルの幹部たちは、石油国有化の波が来ては去っていくのを何十年も見てきた。そして長い目で見れば、ほとんどの政府は民間企業とパートナーシップを組むことが自国の利益となる、ということを理解する、という理屈だった。

エクソンモービルのような超グローバル企業がどのように運営され、国家とどのような関係性にあるのかが分かります。

6位.失敗続きのヤフーの歴史「FAILING FAST」

ヤフーのトップに君臨する前、テリー・セメルはメディア業界で広く称賛されていた。サン・マイクロシステムズとオートデスクにおけるキャロル・バーツの実績は、目を見張るものがあった。CEOになるまで、ジェリー・ヤンは誰からも愛される創業者だった。社長になる前のスー・デッカーは、ウォール街での大胆さや取締役会議での賢明さから、スーパーヒーローと見なされていた。  しかし、ヤフーの再建に失敗してからは、彼らは不幸にもあざけりの対象となり、業界からのけ者扱いされるようになった。  自分ならうまくやれる、という人物はこの世に存在するのだろうか?

米ヤフーの始まりとその後の苦闘。物語として非常におもしろいです。

5位.マネーの歴史を知る「21世紀の貨幣論」

通貨そのものはマネーではない。信用取引をして、通貨による決済をするシステムこそが、マネーなのだ。

マネー史を神話から現代まで。これからお金がどうなっていくのかを考えるのに必読。

4位.数十年後の未来を想像する「限界費用ゼロ社会」

新しい3Dプリンティングの革命は、「極限生産性」の一例だ。まだ完全には実現していないが、本格的に拡がり始めれば、いずれ限界費用を必然的にほぼゼロまで減らし、利益を消し去り、(すべてではないが)多くの製品の、市場における資産の交換を無用にするだろう。  製造が大衆化されれば、誰であろうと、そしていずれは誰もが、生産手段へのアクセスを得るので、誰が生産手段を所有して支配すべきかという問いは的外れとなり、それに伴って資本主義も時代遅れになる。

IoT(モノのインターネット)により限界費用ゼロの社会が到来したときどのような社会になっていくのかを想像するのに最適な一冊です。

3位.スタートアップの厳しさが詰まった「HARD THINGS」

私がCEOであり、ラウドクラウドが上場企業であったために私以外には全体像が見えていなかった。私は、会社が極めて深刻なトラブルに陥っているとわかっていた。私以外にこのトラブルから会社を救える者はいないし、私はすべての事情を理解していない人たちからのアドバイスに聞き入っていたのだ。私にはあらゆるデータと情報が必要だったが、会社の方向性に関する提言はいらなかった。今は戦時なのだ。会社が生きるも死ぬも、私の決断の質次第であり、その責任を回避したり、緩和したりする術はなかった。

スタートアップの厳しさがすべて詰まった本。厳しい状況=戦時、に経営者が何を考えてどのように行動すべきかの指針が示されています。非常に実践的でスタートアップの経営者は必読だと思います。

2位.今後無視することはできない「ブロックバスター戦略」

出版社でもスタジオでも、ブロックバスター狙いを敬遠してばかりいると、才能あふれる編集者や映画製作者、テレビプロデューサー、クリエイティブな人たちは職を辞して、大きな成功のチャンスを追求できる会社に移るだろう。

ソーシャルメディアなどで情報伝達スピードがますます早まる中、実はロングテールではなく、ヘッドがさらに強くなっている現状を明らかにしています。主にエンターテイメント業界の話なのですが、インターネットビジネスにも完璧に当てはまります。

1位.Google人事の成功例と失敗例「ワーク・ルールズ!」

実のところ、組織のなかで人が発揮するパフォーマンスは、たいていの仕事の場合べき分布になる。インディアナ大学のハーマン・アグイニスとアイオワ大学のアーネスト・オボイルは「平均的な能力の人々がつくる大集団が強い影響力を振るうわけではない……きわめて優れた能力を持つ人々の小集団が圧倒的な業績を上げることによって[影響力を振るうのだ]」と解説する。大半の組織はそうとは知らずに、最高の人材を過小評価し、正当な報酬も払わないでいる。

現在世界最強の一社Googleのかつての人事トップが成功例も失敗例も赤裸々に書いており、とにかく勉強になる一冊です。もちろんこの戦略を取るには非常に強固なビジネスモデルと技術力が必要なのですが。

P.S.2006年2007年2008年2009年2010年2011年2012年2013年2014年のベスト本はこちらからどうぞ。