アフリカ 苦悩する大陸
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エコノミストの元アフリカ担当編集長が描くアフリカの問題点と解決への道筋。今までの貧困解決本よりも実地での体験がベースになっているので非常に具体的で興味深かったです。正直、あまりにも貧しくあまりにも危険なところを聞くと、かなり暗い気持ちになりますが、意外に立ち直れば早いのかもしれないなとも思いました。実際、人種差別撤廃や民主主義導入については一部の国ではうまくいきつつあるようですし。本書でも書かれていましたが、例えば電話もいきなり光ファイバーや携帯電話などコストの安いものを導入して間をすっ飛ばすことができるという利点もあります。
若干、資本主義に任せて海外資本をばんばん導入すべきだという主張で、そういった企業が不正をしてもインターネット時代の今はすぐに告発されるから大丈夫、というようなことを書いていてあって、そこだけはどうかなとも思いましたが、それ以外については非常に納得の話ばかりでした。特にフェアトレードについては、アフリカでは売春自体が1ドルからという衝撃的な現実に目を向けるべきだと思いました。
アフリカの現実を知りたい方におすすめです。「最底辺の10億人」および「貧困の終焉--2025年までに世界を変える」などと合わせて読むとよいかもしれません。
<抜粋>
・欧米では、一般的に家を担保にして金を借りる。アメリカでも多くの起業家が使う手だ。(中略)しかしアフリカの大部分の人々はこの手を使えない。家を持っていても、たいてい権利証書がないから証明できない。証明できなければ家を担保に銀行から金を借りることもできない。だから資本をーー資本主義の源泉たる資本をーー手にできない。
・所有権が確立されているとさまざまな利点があるが、欧米では当たり前すぎて、誰もほとんど意識していない。
・(南アフリカの「鉱山および労働に関する修正法」について)これは給与が高い職位から黒人を排除するための法律だが、「企業が黒人を雇わないようにしてくれ」という白人系労組の訴えに応えて制定されたのだった。企業家たちは(人種差別主義者も含めて)、会社の利益が損なわれるという理由で、こうした「人種別職種制限」には反対した。
・ザンビアでは、各民族の政治的有力者と支持者らが「保護者=庇護者」の関係にあり、これが有権者の投票行動を決める「根本的」な要素になっている(中略)「人々は政治家を指示する見返りに、具体的な支援を期待する。この一点においてのみ、政治は彼らにとって意味を持つ(中略)ザンビアのある大臣はこう述べたというーー『私が地元の連中を採用してやらなければ、ほかに誰がしてくれるというのですか?』」
・貧困国との貿易に異を唱える人はよくこう主張するー貧困国は労賃を安く抑え込んでいるから競争として不公正だ、と。心情的には説得力がある。(中略)だがアフリカの貧困層はひとつもありがたくない。多くのアフリカ人にとって、低賃金の長時間労働に替わる選択肢は、無賃金の長期間失業しかない。アフリカ人から貿易の機会を奪うことで、先進国は彼らをいっそう貧しくしているのである。
・一般的には、豊かな国が猛烈なペースで技術革新を進めていくにつれ、貧しい国はおいてきぼりを食うと思われている。しかしそれは違う。(中略)現在、欧米人の平均寿命は78歳で、一世紀前より約70%伸びた。一方、開発途上国の寿命の延びはさらに大きいーー今や平均寿命は64歳だから、1900年の2.5倍にもなる。
