ワーストシナリオを知る「「世界の終わり」の地政学」

「世界の終わり」の地政学 上 野蛮化する経済の悲劇を読む

「世界の終わり」の地政学 下 野蛮化する経済の悲劇を読む

地政学ストラテジストのピーター・セイハン氏が、かなり暗い未来予測をしています。

過去数十年間の世界は、私たちが生きている間に経験できるであろう最高の世界だった。だがこれからは、安価で質がよく迅速な世界から、高価で質が悪くのろい世界へと急速に移行していく。なぜなら、この私たちの世界がばらばらになって崩壊しつつあるからだ。

冷戦後に平和と繁栄の時代が生まれたのは、地政学的な対立を抑止し、グローバルな「秩序」を支援する国際安全保障の枠組みに、アメリカが長期にわたり関与したからにほかならない。だが冷戦が終わり、安全保障環境が変わったいま、そのような政策は、もはやニーズに合わない。私たちがみな普通だと思っている時代は実際のところ、人類史上最もいびつな時代である。そんな時代は信じられないほど、もろい。  実際、それはすでに終わっているのだ。

世界がグローバル化されていて、どこへでも安全にアクセスでき、一次産品を輸出して金銭を手に入れられるのであれば、こうした雑種的な経済モデルでもなんとか存続していける。だが、世界が分断されて安全ではなくなり、貿易が厳しく制限されるようになれば、これらの国々の住民が直面する最大の問題は、国家の完全崩壊どころではなくなる。つまりこれらの国々は、海外の変化の影響を受けやすく 脆弱 だ。死亡率の低下や生活水準の向上をもたらす工業技術をなかったことにはできないが、貿易が途絶えれば、そうした技術さえ手に入れられなくなる。

USが冷戦対応などから、世界の警察となり、平和を謳歌していた時代は終わりつつある、とし、その場合に、各国の強み弱みを冷静に分析しています。防衛や侵略について地政学的な観点から、エネルギー、資源、食料などの個別観点について、詳細に分析しています。

日本経済の転換は、日本の企業がグローバルな消費者市場(特にアメリカの市場) にアクセスできた時代に起きた。人口の高齢化問題を別にしても、それ以後アメリカの政治体制は著しく内向きになっており、今後アメリカは、貿易のために世界を開放しておく努力をしなくなるだろう。特に、アメリカの消費者市場に製品がダンピングされるような事態を容認してまで世界を開放しておくようなまねは絶対にしないはずだ。

日本は著しく防御しやすい地理的環境にある。島国であり、これまで一度も侵攻されたことがない。あのアメリカでさえ、本土を征服するという任務にひるみ、海兵隊を延々と送り込む作戦よりも、広島と長崎に原子爆弾を投下して降伏を迫る作戦を選択したほどだ。そのためアメリカの監視がない世界でも、日本は防衛ニーズに対応できる。それに日本には、自国の防衛任務に適した規模の海上自衛隊がある。

日本は少し大変かもしれない。確かに、世界第二位の強さを誇る海上自衛隊の外洋展開能力は高いが、ペルシャ湾沿岸の油田は一万㎞以上離れている。自国に必要なエネルギーを確保できる国のうち、途絶、不足、価格高騰のリスクが最も大きいのは日本だ。

例えば日本の地政学的な状況はこのような感じですが、輸入に頼っている分野も多く将来的な見通しはよいわけではありません。ただ他国に比べると相対的には悪くはなさそうです。

現代の港(特に現代の巨大港) は、巨大船の輸送・流通拠点としての機能しか果たせないが、その巨大船は間もなく姿を消す。そうなれば、コンテナ化の流れは止まり、これまでより消費地点の近くに、規模の小さな港を数多く配置する構造に戻すことが必要になる。確かに、そのほうが安全で確実だ。だが、コストがかかる。船も港も変われば、輸送の費用は少なくともこれまでの四倍になる。

これで、私が国家による海賊行為に関心を寄せている理由がはっきりしただろうか? 海賊行為が発生する理由そのものもはっきりしただろうか? どの国も自分たちの領域に閉じこもって手持ちのもので何とかやっていき、わざわざ冒険してまで手元にないものを手に入れようとはしないだろう、と考えるのは、人類の歴史に対して、だいぶクリエイティブな解釈をしていると言える。いまや私たちは、ジャック・スパロウが親近感を持つような世界に足を踏み入れようとしているのだ。そこで繰り広げられるのは、弱者が勝てるゲームではない。

現在、ウクライナやガザ、イランで戦闘が行われていますが、もう一弾進むと、世界が脱グローバル化が進み、同盟国の中でなんとかやっていく、という時代が再びくるとしています。当然同盟国外とは力のみがものを言う弱肉強食の世界です。この中で、もっとも楽観的なポジションなのがUSである、としています。

非常に暗い予測ですが、個人的には、かなりワーストシナリオに近いと思うのですが、一方で、有事の場合にどうなる可能性があるのかを知り、備えておくことは非常に重要だなと思いました。個人としてできることは限られていますが、、