2022振り返り+本ベスト5

カタールW杯、ドイツ戦勝利直後
↑カタールW杯、ドイツ戦勝利直後

2023年、あけましておめでとうございます。

昨年のテーマは「やりたいことをやる」でした。

2022年のテーマは「やりたいことをやる」にしようと思います。今年私は45歳になりアラフィフになります。年齢はそんなに気にしていませんし、「ライフスパン」であったように老化の研究が進み寿命は劇的に伸びる可能性もありますが、それでも健康である時期がどのくらいあるか、その間に何をやりたいのか、を真剣に考える年頃になったのかなと思ってます。自分にとって大切なことは何なのか、家族や友達とも一緒に考えて、やりたいことは先送りせずに今年中にやれるだけやろうと思います。

いろいろやっていこう、という矢先に戦争が始まりました。現代にこんなことがあるんだ、という思いですが、現実です。人類は一直線で進化するわけではないし、うっかりと脱線して核戦争で滅亡することもありえるのだなと気付かされました。そういった中で、自分が好きで信じることをやり、家族や友だちやコミュニティを大切にすることの重要さが際立ちました。

ビジネスとしては、まず起こりうる最悪の状況にも備えるべきと考え、コストを絞りつつ、投資も取捨選択をしていきました。そのおかげもあって、4-6月期から黒字に転じています。結果としては本当に最悪なことは起こらず、もう少し投資してもよかった年だったのかもしれません。ただ、経営陣だけでなく、あらゆるレイヤーで厳しい精査と判断をしていく中で、培われたものも大きいと思います。お金が使えないなら知恵を絞ることもしたし、非常に筋肉質になって、会社としてのメカニズムが整った一年だっだと思います。今年はこれらの成果がより見えてくると信じています。

今年はメルカリも創業10年を迎えます。節目を迎えようとする中で、これまでの10年を振り返り、これからの10年についてもよく考える一年になりました。いろいろ考えたときに、やはりメルカリには、ミッション達成に向かい、より多くのお客さまに様々な価値あるサービスを提供し、会社として永続的に成長していって欲しいと思っています。

すごく幸せなことにメルカリには自分より優秀なひとがたくさんいて、みんなにどうやったらやりがいを持って仕事をしてもらえるか、さらにそういう仲間を増やしていくにはどうしたらよいか、を考えています。さらに自分ができるところまではやりたいと思ってはいますが、自分がいなくなってもずっと発展していける会社にしていきたいと考えています。

D&I財団も昨年は2年目ということで、採用を進め、STEM女子奨学助成金を女子高校生にも拡大し、約600人に支給をする予定です。さらに活動を広げるべく、人員増強もしていっています。

プライベートでは、カナダ、モルディブ、ネパール、カタール、サウジアラビアという5カ国にはじめて行くことができました。特にカタールのサッカーワールドカップは伝説のドイツ戦、スペイン戦をスタジアムで観ることができて最高でした。今年も毎年の目標である新規2カ国訪問は達成したいと思います。

筋トレと食事制限も継続することで、さらに減量し、内臓脂肪など数字は改善し、体調もさらによくなり、最近は睡眠の質もあがったり、仕事の集中力も増したと感じています。英語は毎朝2時間を継続できてますが、あまり成長実感を感じられていないのは反省点です。

総合すると、「やりたいことをやる」は達成できた一年だったかなと思います。ただ、昨年はより中長期なことを、仕事についてもプライベートについても考えることも多く、世の中の不確実性があがる中、中長期のことを考えて、今やっておくべきことをやる、というのもすごく重要だなと思っています。逆説的に、中長期を考えることで、今やるべきことが分かり、今を楽しめる、ということなのかなと。

なので、2023年のテーマは「中長期で考えて、今を楽しむ」にしようと思います。改めて、昨年中はお世話になりました。世界は不穏ですが、変化が大きいということはチャンスも大きいと前向きに捉えたいと思います。今年もよろしくお願いいたします!

それでは毎年恒例のベスト5本をどうぞ

5位 ウェルチ後に何かあったか「GE帝国盛衰史」

主に、そのほころびが出始めたところで引き継いだジェフリー・イメルトが悪戦苦闘するドキュメンタリーとなっています。ひたすらに構造改革をするために、事業を売買。その過程でGEキャピタルを事実上売却・解体することで、利益調整のレバーを失ってしまいます。さらに、大きくDXに賭け、しかし失敗し、強いGEを取り戻すことはできず退任となります。

GEのような大企業がどのように経営されているのか、かなりクリアに描かれており非常に勉強になりました。一見うまく行っているようでも、裏側ではほころびが進行していることもある。本当に企業経営というのは難しく、運の要素もあることから、やるべきとをやったら後はなるようにしかならない、という割り切りも必要だと。

4位 よい判断のために減らしたい「NOISE」

ノイズの分類からはじまって、それではどうすればよいか、を様々な実例や研究とともに解説しています。しかしノイズを減らすために一番大きな障害となるものは、自分は正しい判断をしているというひとの思い込みと、それを補正するであろうAIなどへの心理的な抵抗になります。誰もがコンピューターや簡単なチェックリストの方が自分の判断よりも優れていると認めることが難しいからです。

どうすればよりよい予測と判断をできるのか、について非常に多くの示唆があります。とにかく自分を過信しがちなのが人間という性質である、ということを理解し、認識を更新し続ける、そのためにはAIだろうが、チェックリストだろうが何でも使う、ということですね。

3位 海外事例から学ぶ「取締役会の仕事」

コーポレート・ガバナンスに知見のあるコンサルタントや大学で教鞭をとる著者たちが、米国中心に先進的なモニタリング型の取締役会の豊富な事例を紹介しています。また、様々なチェックリストなどもあり、非常に有用です。

メルカリのこれからのコーポレート・ガバナンスについて、すごくイメージが湧き、個人的に非常に勉強になった一冊。

2位 独創的なアイデア「脳は世界をどう見ているのか」

脳の仕組みについては実はよく分かっていませんが、そこに独創的なアイデアを提示する意欲作です。著者は、なんとパーム・パイロット(90年代の携帯情報端末)の創業者でもあるジェフ・ホーキンス。その売却資金を元に研究所を立ち上げて、現在はUCバークレーに移管して研究を続けている鬼才です。

脳は、予測し、違った場合は学習し、モデル化することを繰り返すことで、物理的なものだけではなく、概念的なものまで何にでも対応できる、という非常に新しいアイデアを提示しています。しかしそれは、自分の子どもをみていると非常に納得感がある説明でもあります。

1位 人生への考え方を変えるコンセプト「DIE WITH ZERO」

その名の通り、お金を使い切って「ゼロで死ね」ということを提唱しています。多くのひとはお金を貯めるためにがんばりすぎている、もっと早くから自分のやりたいことにお金を使うべきだし、仕事も早くリタイアして健康なうちに楽しむべき、そして最後に資産がゼロになって死ぬことが望ましい、という主張です。

昨年のテーマの「やりたいことをやる」もよく考えると「DIE WITH ZERO」から来ている概念ですね。本当に今しかできないことって実はすごく多い。昨年だけ考えてもロシアもウクライナももういけなくなってしまいました(少なくともしばらくは)。今の1ドルと、老後の1ドルの価値は違う。今年も「DIE WITH ZERO」を忘れずに生きたいと思います。

P.S.2006年2007年2008年2009年2010年2011年2012年2013年2014年2015年2016年2017年2018年2019年2020年2021年のベスト本はこちらからどうぞ。

40代の減量

先日の決算説明会の映像や写真をみて、「痩せた?」という声を多数もらいました。最近いろいろと試して、筋トレしつつ10kgほど減量したりしました。聞かれることも多いので、自身の記録のためにも何をしていたかをまとめてみたので、興味のある方のみご覧くださいませ。

きっかけ

2020年のパンデミックで自宅にこもっていた私はどんどん太りました。そして秋の健康診断で、LDLコレステロール(悪玉)が既定値を超え、ドクターに来年も超えるようなら薬を飲むように、と言われたことから、なんとかしようと考えはじめました。それまで運動といえば、毎週1,2回泳いだり、たまにスカッシュをしていましたが、コロナ禍でなかなかできなくなっていました。

また(意外と言われますが)太りやすい体質のため、シリアル・ダイエッターとして、減量は定期的にしていましたが、ほとんどが炭水化物抜きダイエット、食べないダイエットのような自己流でした。食べることは好きなので、非常につらいダイエットになってました。かつ40代に入ると急に昔のように減量できなくなってきてました。

そこでいろいろ調べたところ、ひとは年齢とともに筋肉量が減り基礎代謝が減るため、若い時と同じような食事制限そしても太っていくという事実にぶちあたりました。つまり、もし食べるのを諦めたくなければ、筋肉量を増やすしかない、ということです。

成長していくにつれて筋肉の量が増え、20歳ごろまでは、筋肉の組織は太く長くなっていきます。そして、20歳ごろを過ぎると少しずつ筋肉量が減っていき、70歳代では20歳代の4割程度に減少します。特に、30〜50歳代の中年期にあまり運動をしないで過ごすと、筋肉が急激に減少する可能性があります。

筋肉量と健康・寿命の関係とは 筋肉の働きや役割について | NHK健康チャンネル

筋トレをはじめる(2020.11)

筋トレは、屈強な男性が汗かきながら何時間もやる、というイメージだったのですが、実際にトレーナーについてやってみると、1時間できっかりと終わり、汗もほぼかきません。また筋トレ自体は重量が伸びたりと成長実感がそこそこあるし、1日位は基礎代謝があがった状態になる(アフターバーン)ためそこそこ食べてもよい、ということを知りました。また成長ホルモンが出るし、筋肉痛もあるため、爽快感もあります。

このようなことから、トレーナーをつけた筋トレを週3実施する生活をはじめました。この時点での目標は

 1.健康診断をクリアすること

 2.腹回りをすっきりさせること(マッチョな見た目は不要)

 3.基礎代謝をあげてきちんと食べても大丈夫な身体を作ること

でした。

増量期(2020.11-2021.5)

基礎代謝を増やすには筋肉量を増やす必要がありますが、減量をしながら筋肉量を増やすのは至難の技です。そのため、筋トレしながら、毎食後プロテインを飲み、食事も増やして、逆にまず増量していきます。それにより半年強で5kgほど逆に増量させました。この間はおもしろいように扱える重量が伸びていきました。

減量期(2021.5-2021.10)

増量が一段落し、GW明けから減量をしていきます。筋トレは週3ですが、プロテインは筋トレ後のみにし、また食事はタンパク質多めのものに切り替えていきます。人によってどのような食事がよいかは違いますが、試行錯誤の末、自分には肉より魚の方が合っているし、ご飯は少し食べた方がよい、というようなノウハウを貯めて実行していきました。これにより毎月1〜1.5kgずつ減量していきましたが、各種重量はあがっており基礎代謝も少しづつあがっていきます。

そんな中、再度健康診断がありましたが、LDLコレステロール値はさがっていました。この時点で1の目標は達成できたものの、引き続き2,3の目標を目指します。

停滞期(2021.11-2022.4)

2021年10月までは順調に7kgほど減量したのですが、その後、海外出張が復活したことで、停滞期に入ります。どうしても生活リズムが崩れ、しかも欧米のご飯(特にヨーロッパのパン)が美味いためどうしても食べすぎてしまい、魚より肉中心の食生活、また筋トレもなかなかできないという悪循環。海外でリバウンドして、日本でなんとか元に戻す、という生活になってしまいました。

再び減量期(2022.5-2022.8)

このままではいけないと4月の海外出張から帰ると、再度食生活を見直し、筋トレ後に有酸素運動を入れはじめました(時間がある場合のみ)。有酸素運動は、ランニングは腰や膝に負担がかかるし、バイクは下半身にしか負荷がかからないため、トレッドミル(ウォーキングマシン)で3km/hのスピードで15度角度でウォーキングをします。20分で1km歩くことになり、130kcalほど消費することになりますが、Podcastでも聞きながら実施すれば割とすぐです。また自分に合っているサプリを探しつつ、飲むようにもなりました。

これにより4ヶ月で4kg減量しました。つまり最盛期からは11kg減量したことになります。この4kgは割と威力があり、腹回りがかなりスッキリしてきました。しかしもう少し余地があるので1,2kgくらい減量してみるつもりです。

今後

その後については、基礎代謝をあげたいので少し増量しつつ、3の「きちんと食べても大丈夫な身体を作る」ことを目標としたいと思っています。

なお、仕事がら会食も多いし、食べるのは好きなので、週2,3回はチートデイにしていますが、それ以外の食事はかなり気を使っています。主食はほぼ魚・チキン・蕎麦で、脂質・糖質・炭水化物は控えめ、ドリンクは「お〜いお茶 濃い茶(脂肪を減らしたいなら黒烏龍茶よりよい、らしい)」orブラックコーヒーという感じです。朝は食べずにディナーからランチまで16時間ほど空けています。

また、ずっとストイックにやると、身体が飢餓状態になり脂肪燃焼しづらくなってしまうので、個人的にはこのくらいのペースでコントロールしていくのがよさそうです。あとストイックすぎると、長く続けるのが難しいというのもあります。我慢しすぎないよう、例えばカフェラテが好きなのですが、ミルクがNGのため、たまにオーツミルクのラテを飲んでいます。

ちなみに私は筋肉が非常に付きづらい体質なのですが、増えないにしても減らさないのが長期的な健康(特に老後)にはかなり重要なので、筋トレと食事制限は無理ない範囲で続けて行きたいなと思っています。

2020振り返り+本ベスト5

宮古島(かろうじての旅行)

あけましておめでとうございます。

昨年のポストを見返すと、都市スケール(下記紹介の「ブリッツ・スケーリング」での定義)となった会社経営に七転八倒していたのだったな、と思い返されました。その中で、2020年は「結果を出す」をテーマにしてきました。

しかし、年初にはまったく予想だにしなかったコロナという前代未聞の荒波に翻弄された一年になりました。

メルカリでは、3月まで特にUS、メルペイで大きく投資をしてきました。1,2月にはOrigami買収やNTTドコモ提携なども実施しました。3月になりコロナ影響でアクティビティが落ち込み始めると、連結赤字であるメルカリとしては企業存続を第一に、コストセーブなどで筋肉質な体質への転換を図りました。

4月に入り、日本の緊急事態宣言やUSのロックダウンに伴い在宅時間が増えると、逆に日米メルカリのGMV(流通額)は急増しました。特にUSは、継続的なプロダクト改善と1-3月の大規模なマーケティングなどの種まきしてきたことが実ったと考えています。GMV急増に加えコストセーブも相まって、4-6月は上場後初の黒字化という結果になりました。

メルカリは6月期決算のため春に経営体制、ロードマップ、事業計画、予算などの更新をしていくのですが、非常に見通しが悪い中で計画を立てることになりました。数字としてはコンサバティブな計画を立てましたが、コストセーブだけでなく、人事制度刷新、ガバナンス改革(社外多数の取締役会導入など)、プロダクト面では引き続きのデータ基盤整備・マイクロサービス化、東大と社会連携研究開始などを推進してきました。ロードマップ経営も強化され、より力強い筋肉質な組織になってきました。

一方で、世の中もコロナ影響でDXが進むなど急激に変化の兆しが出てきています。メルカリ周辺にも、様々なビジネス・チャンスが見えてきていて、いくつかの新しい取り組みを始めることを決め、年末に株式会社ソウゾウの再設立も決めています。

そんな中で、国内ではマスク転売問題などで世の中のお騒がせし、大変申し訳ありませんでした。メルカリは毎月1,700万人以上のお客さまに使っていただいていますが、これを2倍3倍と伸ばしていくためには、社会的な責任を果たし「循環型社会の実現のために必要不可欠な存在になる」必要があると考えています。サステナビリティ・レポート公開などSDGsへの取り組みも進めていますし、「マーケットプレイスのあり方に関する有識者会議」を設置し、議論を重ねており、近々方針をお知らせできる予定です。

コロナによって、三密が難しいなどで多大な影響を受けた産業もありますが、それ以外では「来たるべき未来」が早く来たと感じています。結果、未来へ強く賭けていたメルカリは「結果を出す」ことができました。特にUSの月間GMV $100Mというのは、ずっと追いかけて来た目標だったため、大きなマイルストーンになりました。

これもメルカリ社員のみんな、取引先など関係者の皆さまの不断の努力の結果であり、日本・US中心に全世界で利用していただいているお客さまへは感謝しかありません。誠にありがとうございました。

個人としても、コロナにより今まで当たり前にしていた行動が制限される中で、様々なことが浮き彫りになり、本当に大切なことは何かを考えるよい機会になりました。仕事でもプライベートでもやりたいことはできるうちにやっておこうと改めて強く思いました。

2021年は「足るを知る」をテーマにします。「足るを知る」は老子の言葉で、「身分相応に満足せよ」という意味とも言われますが、僕は、前後の文脈から、もっと積極的に「満足することを知れば、周囲への感謝と共に、本来の自分を知り受け入れることができる。そうすればやりたいことへの努力を続けながら自らに打ち勝ち、豊かな人生を送ることができる」というような解釈をしています。

今年は、さらに大きな変化のある一年になろうかと思いますが、逆に言えばチャンスも多い一年になるはずです。ビジネスとしては、3本柱(メルカリ日本、US、メルペイ)を完全に確立させグローバルなテックカンパニーになること、加えて、新しいことにもGo Boldにチャレンジし、4本目の柱を見出すことを目標にします。プライベートでは、残念ながら昨年途絶えてしまった毎年新しい国に行くことを復活させたいです。

2021年もよろしくお願いいたします。
皆さまにとっても、素晴らしい一年になりますように!!

以下で、恒例の2020年に読んだ本ベスト5を紹介します。

第5位 世界最強のコーチングを知る「1兆ドルコーチ」

人がすべて どんな会社の成功を支えるのも、人だ。マネジャーのいちばん大事な仕事は、部下が仕事で実力を発揮し、成長し、発展できるように手を貸すことだ。われわれには成功を望み、大きなことを成し遂げる力を持ち、やる気に満ちて仕事に来る、とびきり優秀な人材がいる。優秀な人材は、持てるエネルギーを解放し、増幅できる環境でこそ成功する。マネジャーは「支援」「敬意」「信頼」を通じて、その環境を生み出すべきだ。

世界最強のコーチと言われるビル・キャンベルのコーチングについて、膨大なヒアリングを元に解説しています。結構具体的なのですごく勉強になりました。優れたマネージメントとコーチングはもはや不可分な存在になってきています。僕自身も秋から数ヶ月コーチをつける取り組みをはじめています。

第4位 ほとんど理解されていない「良い戦略、悪い戦略」

戦略を転換し資金や人材やエネルギーや注意をどこか一カ所に集中しようとすれば、会社そのものに倒産の危機が迫っているようなときは別として、必ず不利益を被る人が出てくる。したがってこの人たちは、戦略の転換に頑固に反対する。大きな企業の場合、これは避けられない事態と言える。戦略についての話し合いがいくら行われても、どれほど説得されても、この人たちは変化を望まない。そしてリーダーが選択に踏み切れず、新しい戦略を導入することができないと、八方美人型あるいは当たり障りのない戦略もどきでお茶を濁すことになる。そのような戦略もどきが発表されたら、それはリーダーに困難な選択を貫き通す強固な意志や政治力が欠けていることの証拠と言える。盛りだくさんの目標を掲げる企業では、選択が行われていないと考えてよい。

「戦略」とは何か、を深く考えさせられる良書。経営思想家として大学やコンサルタントとして活躍しているリチャード・P・ルメルトが、様々な事例をもとに良い戦略の作り方を書いています。良い戦略がなければ、まぐれ当たり以外、成功するのは難しいので、特にスタートアップに関わるひとには必読かなと思います。

第3位 ディズニーの最近の歴史「ディズニーCEOが実践する10の原則」

創造のプロセスを管理するということは、それが科学ではないと理解することからはじまる。すべては主観であり、何が正しいかはわからない。何かを生み出すには大きな情熱が必要で、ほとんどのクリエイターは自分のビジョンや流儀が疑われれば、当然ながら傷つく。私は、制作側の人たちと関わる時には、このことをいつも心に留めている。意見や批評を求められたら、制作者がそのプロジェクトに心血を注ぎ込んでいることや、彼らの人生がこの作品にかかっていることを、極端なくらい気にかけるようにしている。  だから決してはじめから否定的なことは言わないし、制作の最終段階でもない限り、細かいことも言わない。正確で 俯瞰 的な判断力がないことを隠すために、どうでもいいような細かいことにこだわる人は多い。小さなことからはじめる人間は、小さく見える。大筋がぐちゃぐちゃなら、小さなことを直しても意味がないし、重箱の隅をつつくのは時間の無駄だ。

直近までディズニーCEOを務めていたロバート・アイガーの自伝。生い立ちから、どのような仕事をしてCEOに上り詰めたのか、CEOになってから戦略をどう根付けてきたかやピクサー、マーベル、ルーカス・フィルム、20世紀フォックスなどなどの買収などの詳しい意図や経緯がかなり詳細に描かれており、非常にエキサイティングで、おもしろいです。グローバル・カンパニーの経営を赤裸々に知ることができます。

第2位 コーポレートガバナンスとは何か「決定版 これがガバナンス経営だ!」

失敗に対して、無限の責任を負うからこそ、うまく行ったらアップサイドを全部取れるという構造が、本来は公平で倫理的な制度である。株式会社は、アップサイドは無限で、ダウンサイドは有限の、ある意味、お気楽で無責任な制度である。  すなわち、非倫理的なリスク、モラルハザードを内包するものとして例外的な存在であり、本来であれば、厳格に制限され、統制されるべき存在なのである。この潜在的な非倫理性こそが、株式会社においてコーポレートガバナンスが重要である根源的な背景の一つなのだ。このことは以下の株式会社の歴史にも符合する

コーポレートガバナンスは、不祥事防止などのコンプライアンスの確保だけではなく、中長期的に企業価値を向上させるためにある、ということを分かりやすく解説しています。メルカリも今年9月、社外取締役を多数とする取締役会改革を行いましたが、本書から学んだものも大きかったです。

第1位 スタートアップの急激な成長で何が起こるか「ブリッツスケーリング」

スタートアップのブリッツスケーリングは単純な外挿法のプロセスではない。みすぼらしいガレージから出発した会社の規模が1000倍になり、モダンな高層ビルに本社が移ってめでたしめでたしというストーリーではすまないのだ。ブリッツスケーリングによる成長には大きな節目がいくつもあり、そのつど会社は質・量とも根本的に変化しなければならない。ドロップボックスのドリュー・ハウストンは私にこのことを「新しい駒が次々に追加され、次元も増えていくチェスのようなものです」と説明した。  物理学では、よく相変化ということを言う。物質は温度、圧力の変化に応じて全く違う状態に変わる。氷は溶けて水となり、水は沸騰して蒸気になる。  スタートアップもある状態から全く異なる状態に相転移することがある。相が変化すればことは同じように運ばない。氷が溶ければスケートはできない。水が水蒸気になれば小石を投げて水面で水切りするわけにはいかない。スケールアップが次のフェーズに達すると、以前のフェーズで有効だったアプローチやプロセスが無効となる。

Linkedinを創業し数兆円まで育て上げMicrosoftに売却し、Facebookなど含め数々の投資でも知られるリード・ホフマンが、スタートアップが急拡大する際に何が起こり、どう対処すべきかをかなり具体的に書いています。ものすごい既視感のある内容で、ある程度の規模感になってきたスタートアップは必読中の必読です。

P.S.2006年2007年2008年2009年2010年2011年2012年2013年2014年2015年2016年2017年2018年2019年のベスト本はこちらからどうぞ。

2020年謹賀新年+本ベスト5

パルテノン神殿@アテネ

■2019年の振り返りと今年のテーマ

2019年は、引き続き難しかった一年でした。

メルペイを無事にローンチし、500万人以上のお客さまに使っていただけるようになりました。これによりメルカリ本体も進化したと思うし、USも成長しています。また特に外国籍社員が激増したことでダイバーシティも進んで、強い組織になってきたと思います。鹿島アントラーズの経営のような新しい試みも始めました。

一方で、圧倒的な結果を出せたかというと出せていません。

メルカリグループの社員数は2,000人に迫っていますが、ゼロからこのような成長をしたスタートアップは最近の日本には存在していません。スタートアップの経営は数百人くらいまではノウハウもいろいろ蓄積しつつありますが、それ以上となると急に手探りになります。

アプリとしてほぼ一体のインターネット・サービスを1,000人以上でどのように開発していくのかというのはすごくチャレンジングです。マイクロ・サービス化してマイクロ・ディシジョンしていける(システム相互依存をなくして小さなチームで素早く決めていける)ようにすると共に、その判断を支えるデータを中心に据えるべくデータ基盤の作り替えも進めています。

また、事業規模拡大によりミッション・ロードマップ・OKRから事業計画・予算・管理会計まで一体感を持った経営が必要になってきています。もちろん採用・育成・登用(抜擢)・評価などのHRも重要です。またメルペイでは金融免許取得しましたが、実際にお客さまに迷惑をかけないようなガバナンス、セキュリティ、リスクなどについても対応していく必要も出てきています。アマゾンではスケールする仕組みのことをメカニズムと言っているそうですが、メルカリでもそれにならって各種メカニズム化を急ピッチで進めています。

メカニズムを作っていく上では、スタートアップだけでなく、様々な会社、例えばGAFAのようなテック・ジャイアントや、日本の伝統的な大企業、中国の新興メガベンチャーなどのよいところを集めてきて参考にしつつ、自分たちがこうありたいという意思も重要です。昨年は上記のような会社の方々にたくさんいろいろと教えていただき大変感謝しています。

大変なことばかりのように思えますが、メルカリは日本・USですごくたくさんの方に使っていただいているし、メルペイは1年経たずして500万人もの方に街中で使っていただいているわけです。社会的な責任を持ちながら事業をするのは当然だし、むしろこの責任を引き受けないと、世界中で使っていただくサービスになっていくのは難しいと感じています。

なによりも今は自分たちが理想とするテックカンパニーをイチからデザインできる大変貴重かつおもしろいタイミングだと考えています。まだ圧倒的な結果までは出せてはいないですが、今仕込んでいることは間違っていないと考えているし、もがきながらも前進しているという実感があります。この難易度の高い仕事を一緒にやってみたいという方はぜひ採用サイトをご覧ください。

前期(FY2019.6)の決算発表後、再三「勝負の年」と言ってきましたが、この土台を使って、今年はピュアに結果を出していきたいと思っています。昨年のテーマは「寛容(クレメンティア)」でしたが、今年は「結果を出す」にしたいと思います。

昨年に引き続き、今年もよろしくお願いいたします。

■2019年の本ベスト5

2019年は例年に比べて紹介した本が激減してしまいました。たくさん買ったのですが最後まで読了できた本が少なかったように思います(すぐに読み止める読書スタイルです)。これは僕の余裕のなさのせいかもしれません。いずれにせよ今年はたくさんのよい作品に出会いたいです。

5位 「中国全史」を描こうとする意欲作

知っているようで知らない中国の歴史を俯瞰できます。中国が一つの国というより多種多様な多民族がいてダイナミックに変わってきたのがよく分かります。

4位 気候変動が人類に与えた影響「気候文明史」

「恐竜は二億年近く地上で繁栄していたのに、なぜ知性を発達させなかったのか?」という問いかけがある。答えは知性を発達させる必要がなかったからだ。恐竜は知性を獲得せずとも生き延びることができた。人類が直面したような、生き延びるために知性を必要とする気候激変の連続という環境的な圧力は、中生代に存在しなかったのだ。

気候変動が人類の文明に多大な影響を与えたという事実を丁寧に描いています。

3位 より世界を知る「FACTFULNESS(ファクトフルネス)」

人間によって大気に蓄積されてきた二酸化炭素の大部分は、現在レベル4にいる国々がこの 50 年間に放出してきたものだ。カナダのひとりあたり二酸化炭素排出量は、いまでも中国の2倍にのぼるし、インドと比べると8倍にものぼる。世界を金持ち順に並べて、いちばん上の 10 億人が毎年どれほどの化石燃料を燃やしているかをご存じだろうか? 全体の半分以上だ。次に金持ちな 10 億人が残りの半分を燃やし、その次の 10 億人が残りの半分を燃やし……と続いていく。いちばん貧しい 10 億人は、全体のたった1%しか使っていない。

ファクトを知ることで現実的な対処が可能になる。しかしファクトを知ること自体が難しいのだなと理解できる。

2位 自らを見つめ直す機会になる「残酷すぎる成功法則」

私たちは「最良」になろうとしてあまりに多くの時間を費やすが、多くの場合「最良」とはたんに世間並みということだ。卓越した人になるには、一風変わった人間になるべきだ。そのためには、世間一般の尺度に従っていてはいけない。世間は、自分たちが求めるものを必ずしも知らないからだ。むしろ、あなたなりの一番の個性こそが真の「最良」を意味する。

成功した人々がなぜ成功したのかをエビデンスとともに書いているのですが、残酷な事実が明らかになってしまう。

1位 21世紀の人類のための「21 LESSONS」

私たちがしだいにAIに頼り、決定を下してもらうようになると、この人生観に何が起こるのか? 現時点では、私たちはネットフリックスを信頼して映画を推薦してもらい、グーグルマップを信頼して右に曲がるか左に曲がるか選んでもらう。だが、何を学ぶべきかや、どこで働くべきかや、誰と結婚するべきかを、いったんAIに決めてもらい始めたら、人間の一生は意思決定のドラマではなくなる。民主的な選挙や自由市場は、ほとんど意味を成さなくなる。大方の宗教と芸術作品にしても同じだ。

『サピエンス全史』『ホモ・デウス』のハラリ新作。21のテーマに沿って解説をしてくれているので、未来を考える上で非常に参考になります。

P.S.2006年2007年2008年2009年2010年2011年2012年2013年2014年2015年2016年2017年2018年のベスト本はこちらからどうぞ。

2019年謹賀新年+本ベスト5

■2018年の振り返りと今年のテーマ

2018年は、メルカリのIPOという大きなマイルストーンもあったのですが、個人的には、1,000人を超えた組織をどう経営していくのか、ますます社会性が求められるC2C事業をどう展開していくか、が大きなチャレンジで、未知の体験にすごく苦しんだ一年でした。

2018年のテーマは「現実を知る」だったのですが、自分(たち)が現実の一部になってしまっていて、自分(たち)を知らないと現実も知れないし、現実を知ると同時に自分(たち)や現実が変質する、というシュレディンガーの猫のような状況になってきている気がします。

こういった状況下では、自分(たち)だけが理想を追求するわけにはいかず、様々な社会的な問題を(少しだけ)解決したり、折り合いをつけたりしながら、それでも自分たちが信じるよりよい世界の実現を目指していく苦しい仕事になっていきます。

しかし、それこそが「現実を知る」ということだし、昨年も書いた「こういった紆余曲折こそ生きている実感が大きかった」のをさらに強く感じた一年でした。

そういった中で、2019年は2年前にも掲げた「寛容(クレメンティア)」を再度テーマにします。まずは自らが何事にも寛容になることが、少しでも世の中をよくすることの第一歩になると信じてます。

■2018年の本ベスト5

5位 最近5年間のこと「メルカリ 希代のスタートアップ、野心と焦りと挑戦の5年間」

手前味噌感はありますが、いわゆるメルカリ本を入れさせてください。ここ5年間丹精込めてやってきたことをこうしてまとめていただけるのは大変ありがたいことです。どうやら売れ行きはよいようで胸をなでおろしています。

4位 複雑な人物「江副浩正」

取締役会は江副の独壇場になった。江副の成功体験に引きずられ、誰も反対意見を言い出せないまま、取締役会は江副の思い通りに動いていった。そしてリクルートは「誰もしていないことをする主義」からはほど遠い、デジタル回線、コンピュータレンタルの下請け事業、そして不動産業へと急激に傾斜していく。  次々と新規事業を開設していった「江副一号」。それとは対照的に、「江副二号」は何一つ新しい事業を開発し、軌道に乗せられずに、リクルート王国の国王として君臨した。

リクルート創業者がどのようにリクルートを成功させていったのか、やがてその歯車が狂い始める。リクルート事件はそのきっかけにすぎなかった。しかし、その後リクルートが数兆円企業にまで成長していることを考えると、江副氏の目論見はほとんど成功したとも言えるのかもしれない。

3位 幅広い知識で迫る「貨幣の「新」世界史」

人類学者のデイヴィッド・グレーバーは、ピタゴラス、ブッダ、孔子など影響力の大きな宗教指導者が、紀元前六世紀に硬貨が発明された地域──ギリシア、インド、中国──に暮らしていた事実を指摘する(15)。そして、お金も永続的な宗教も、どちらも紀元前八〇〇年から紀元六〇〇年にかけて誕生したのは、決して偶然ではないという。市場の重要性が高まるにつれ、組織的な宗教が広がったのではないかと考えている。たとえば、イエス・キリストの初期の弟子たちの多くは貧しかったので、物質的な富に関して逆説的かつ解放的な見識を素直に受け入れたのかもしれない。

昨年は仮想通貨バブルが弾けた年でもありましたが、歴史的にみれば仮想通貨によりお金の意味が変質しつつあるのは避けられないと思います。

2位 ローマへと続く「ギリシア人の物語」

 「決定的な何か」とは、言い換えれば洞察力である。これを辞書は、見通す力であり見抜く力、と説明している。イタリアでは、この種の能力に欠ける人を、自分の鼻の先までしか見る力がない人、という。だから、洞察力のある人とは、その先まで見る力がある人、のことである。  だが、洞察力とは、自分の頭で考える力がなくてはホンモノにはならない。  私には、アレクサンドロスは配下の将たちに、考える時間を与えなかったのではないか、とさえ思えるのである。

ギリシアの勃興から、アレキサンダー大王までを描いた塩野七生の歴史書。連戦連勝でペルシアを滅ぼし、インドまで東征する凄まじさ。わずか32歳で死去したためその後の混乱も印象的でしたが、歴史を作るというのはこういうことかとも思いました。

1位 ホモ・サピエンスの行く末「ホモ・デウス」

やがてテクノロジーが途方もない豊かさをもたらし、そうした無用の大衆がたとえまったく努力をしなくても、おそらく食べ物や支援を受けられるようになるだろう。だが、彼らには何をやらせて満足させておけばいいのか? 人は何かする必要がある。することがないと、頭がおかしくなる。彼らは一日中、何をすればいいのか? 薬物とコンピューターゲームというのが一つの答えかもしれない。必要とされない人々は、3Dのバーチャルリアリティの世界でしだいに多くの時間を費やすようになるかもしれない。その世界は外の単調な現実の世界よりもよほど刺激的で、そこでははるかに強い感情を持って物事にかかわれるだろう。とはいえ、そのような展開は、人間の人生と経験は神聖であるという自由主義の信念に致命的な一撃を見舞うことになる。夢の国で人工的な経験を貪って日々を送る無用の怠け者たちの、どこがそれほど神聖だというのか?

ひとは神になろうとしていることを明らかにしようとする超意欲作。僕の周りでは2018年一番議論になったし、そういった時代にどういう戦略で生きていくのかを考えさせられました。

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2017年の振り返りと本ベスト5

■2017年の振り返り

昨年は春から海外事業に専念することにして、社長から会長になり、サンフランシスコに部屋も借りました。大きく生活や仕事の進め方も変わりましたが、経営という意味では同じなのだなと思いました。とは言え、言語ギャップは大きいものもあり、プロダクトはまだしも、それ以外のBD/PR/Marketing/HR、そしてCSなどコーポレート周りは難しいことがすぐに分かったので、Johnに参画をしてもらいました。

夏には、正式にJohnにUS CEOになってもらうことで、自分としてはステップバックして、側面支援を続けています。昨年前半はアーキテクチャ刷新のためきつい時期もありましたが、リニューアル後は順調に成長しています。

その頃から、日本でもメルカリNOW、R4D、teachaやメルチャリさらにまだ未公開新サービスのような動きが急になってきました。極めつけはメルペイで、青柳さん参画とともに急速に立ち上がりつつあります。

1,000人規模のエンジニアのいるテック・カンパニーを目指すため、中期のロードマップを引いており、今年は大規模なアーキテクチャや組織変更も行う予定です。外国人採用(日本語能力不要)も増え、グローバル化も進みました。こういった動きは経営としては難易度が高くなってきているのを感じます。

が、これはそれだけの人材が集まって(育って)きているからこそ可能でもあり、改めて会社はひと次第だなと思う一年でした。とにかくいろいろなことが進行していて、今年はワクワクが止まらなくなりそうです。

その他国内では、いろいろと報道等もあったように、数々のおしかりを受けました。自分たちはまだまだスタートアップのつもりだったのが、多くのお客さまに使っていただけるサービスになったことで社会の公器としての見られ方をしていることに気づくのが遅れたことで対応が後手に回ってしまい大変申し訳ありませんでした。年末にいくつかの対応をしましたが、もっとできることがあると考えているので(特にAIでできることが多い)、メルカリをもっともっと、あんしん・あんぜんなマーケットプレイスにしていくことで、より多くのお客さまに使っていただけるサービスにしたいと思います。

昨年は寛容(クレメンティア)をテーマにしていたのですが、よくよく考えてみると正直周り(世の中)にもっと寛容になろうよと思っていたところがありました。ただ実際は自分が一番寛容にならなければならなかった。ひとや物事にはいいところもあるし、悪いところもある。そういったものを全て飲み込むためにはピュアではいられないところがあります。しかしそれこそが現実の世界でもある。

とはいえ、こういった紆余曲折こそ生きている実感が大きかったし、意味でもあります。2018年は、もっと現実の世界を知りたいなと思ってます。テーマは「現実を知る」にしてみようかなと。

ほとんどの場合、人間たちは、自分が望んでいることを喜んで信じる(ユリウス・カエサル)

塩野七生訳「人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。 多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない」(詳細)ですが、やっぱり自分としてはつらいとしても現実を知りたいし、その上で自分が何をできるかを考えていきたいなと思います。たとえ無力であっても。

なお、メルカリでは常時フル・スロットルで採用してますので、興味のある方はぜひホームページをご覧ください。

■2017年の本ベスト5

昨年の後半はレビューが滞っていたのですが、実際の読むペースが落ちたというより、ガツンとくる作品がなかっただけです。相変わらず多読(途中止め)しています。しかし以下の5作品はどれも必読です。「反脆弱性」や「サピエンス全史」は消化がすごく難しいですが、何度も読み返したい素晴らしい作品でした。

5位 これからの世界「量子コンピュータが人工知能を加速する」

量子コンピュータ周りの歴史から原理、現状が幅広く書かれており非常に勉強になりました。

4位 世界を変える「デジタル・ゴールド」

特にそれぞれの登場人物がビットコインとの出会いや関わるモチベーションなども描いており、通貨の歴史(「21世紀の貨幣論」もオススメ)やリバタリアニズムなどの思想にまで踏み込んでいます。断片的に知っていた内容もありますが、まったく知らなかったことも多かったです。例えば、サトシ・ナカモトがどのようにビットコインを作っていったのか、最初はサトシだけが採掘するような状態だったこと、マウントゴックスはマルク・カルプレスが作ったものではないこと、不正販売闇市シルクロードとその崩壊(逮捕)までの物語、中国でのビットコインや採掘の話、アメリカ政府や銀行とビットコインスタートアップとの関係性、どのようにシリコンバレーの大物たちが支持派に転向していったか、など。

3位 インテル元社長のマネジメント哲学「HIGH OUTPUT MANAGEMENT」

昔の本で広範囲の経営の話を扱っていながら、ほぼ色褪せておらず、今でも使える内容ばかりで、非常に勉強になり感銘を受けました。やはりこれくらいの経営哲学を持てるようになりたい。インテルがあそこまで大成功したのも納得でした。

2位 人類の全てを描こうとする意欲作「サピエンス全史」

著者は、人類と動物の真の違いを「多数の個体や家族、集団を結びつける神話という接着剤」のあるなしだという。それがゆえに人類は大規模な文明を築くことができたと。確かに家族や村や国家や株式会社というのはある種の神話であって、みなが信じているがゆえに正しいということは多い。だから昔は正しいと思われていたことが今は正しくないことは多い。例えば、奴隷制なんかもそう。今では人々は人は皆平等であって自由な存在であるし、お金というある種の虚構を信じている。だからこそ人と人がお金を使った取引が可能になる。

1位 頑健とは違う新しい概念「反脆弱性」

ここで重要なのは、ブラック・スワンを予測しようとしないこと。悪いブラック・スワンは徹底的に避ける=これが超保守的な戦略の部分。そして、よいブラック・スワンからは利益を得られるように賭けておく。なぜなら大体ブラック・スワンに対しては予測できないので確率を低く見積もられてしまい非対称性が発生しペイオフが非常に大きくなるからです。

例えば、起業について考えてみると、大抵の起業は失敗する。成功を予測することも難しい。成功するかもしれないと思ってやっても失敗することも多くあります。しかしやり続けているとブラック・スワンが起こることがあります。すると、とてつもなく社会的にも金銭的にも成功することができる。この万が一起こった場合のペイオフの大きさに注目することが重要だと言います。個人的には、起業という戦略はブラック・スワンを活かすには最適な戦略だと考えています。

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2016年の振り返りと本ベスト10

「2016年はシンプルにメルカリUSの大成功を目指したいと思います。」

昨年頭にこのように宣言しました。しかしある程度の成長はしたにせよ、まったく達成できたと言えない状況なわけで非常に残念な一年でした。もっとうまくやれたのではないか、と思うことが山ほどあります。

とはいえ大幅に仲間も増え、強い収益力も資本力もつき、昨年後半には大きな気づきもありました。これらを活かして今年こそはメルカリUSの大成功を成し遂げたいと思います。

プライベートでは大きな事故もなく、娘もすくすく育ち歩いたり、わーわー何かを言っています。ただ何となく(今もなんですが)体調を崩すことが増えたので、もっと意識的に運動をしていきます。

■2016年の本ベスト10

10位 ホンダのポリシー「松明(たいまつ)は自分の手で」

いや、重役は何もしないんだよ。俺もそれでやっていた。何もない空の中から、どうあるべきかをさがすのが重役で、日常業務を片づけるのは部長の仕事だ。所長であり重役であるというのは対外的な面子から、交渉のときもまずいだろうということでそうなっているだけで、重要な問題ではない。だから、役員は全部こっちへきて、何もないところから、どうあるべきかをさがすことをやってほしい」といったのです。

ホンダ創業者藤沢武夫のエッセー。ホンダは後継者育成に成功した世界的企業なので参考にしたい。

9位 圧倒的成果をあげるための近道「イシューからはじめよ」

問題はまず「解く」ものと考えがちだが、まずすべきは本当に解くべき問題、すなわちイシューを「見極める」ことだ。ただ、これは人間の本能に反したアプローチでもある。

圧倒的成果を出すためのイシュー設定とは何か、どう見つければよいのかなど非常に重要なことが書かれています。

8位 なぜ名経営者になったのか「スティーブ・ジョブズ 無謀な男が真のリーダーになるまで」

スティーブは、ラセターとキャットムル、そして彼らの下で働く才能豊かな社員が魔法を編み上げていく様から多くのことを学び、人生が大きく変わった。映画制作を始めたあとを中心にピクサーでスティーブが吸収した経営手法こそ、1997年のアップル復帰後、彼が手腕を発揮できた源泉である。この時期、彼の交渉スタイルは、勇猛果敢で押しの強いところを失うことなく微妙な駆け引きが可能なものとなっていく。先頭に立ち、やる気を引きだす能力を失うことなく、チームワークとは小さなグループを鼓舞して行け行けにする以上の、もっと複雑なことだとわかりはじめたのもこの時期だ。彼一流の鼓舞力を失うことなく、忍耐力を身につけはじめたのもこの時期だ。

ジョブズがなぜ名経営者に変貌したのかを明らかにしている。

7位 今後の参考になる「お金の流れでわかる世界の歴史」

マグナカルタというのは、1215年、時のイギリス国王ジョン王が、国民に対して、「国王が勝手に税金を決めてはならない」「国民は法によらずして罰せられたり、財産を侵されたりしてはならない」というような約束をしたものである。  ジョン王というのは、戦争好きな王で、フランスとたびたび戦争をし、しかも負けてばかりいた。それで、度重なる戦費徴収に業を煮やしたイギリスの市民や貴族たちが、国王に廃位を求めた。ジョン王は、それに対して「もう二度と勝手な税徴収はしません」と国民に約束したというわけである。

元国税調査官が世界の歴史をお金の流れ、特に税金から解説。税金=国家とは何かを考えさせられる。

6位 ひとをたくさん育てる「スーパーボス」

才能があって賢いのではなく、人並み外れた才能があって驚くほど賢い人材。普通のリーダーではなく、変化の推進者。成功の可能性が高いタイプではなく、成功の定義そのものを変えてしまうような人材である。

ひとを育てられるひとが多い会社は圧倒的に強い。ではそういったスーパーボスとはどんなひとびとなのかを明らかにしている。

5位 日本人が不得意とされる「生産性」

これは実際の仕事でもまったく同じであり、研修の参加者はこのプログラムを通じて、マネージャーの役割とは、
 ・どれも正解でどれも不正解である複数の選択肢からどれかを選ぶこと
 ・選んだ選択肢に伴う問題をあらかじめ想定し、備えておくこと
だと学ぶわけです。 より端的にいえば、マネージャーの仕事とは、
 ・決断をすること、と
 ・リスクに備えておくこと

となります。 これを学んでおかないと、マネージャーになった後、決断すべきタイミングを迎えているのに延々と複数の選択肢のメリットとデメリットを分析し続ける「決められない管理職」になってしまいます。

ホワイトカラーの生産性向上についてかなり具体的に書いてあり実践的。特にマネージャーの仕事というのは直感に反している部分もあり難しい。これをこうやってストンと腹落ちする説明ができるのは素晴らしい。

4位 奇跡の経営者「ソニー 盛田昭夫」

「アメリカに右へならえして、アメリカ経営学を導入するのが、解決の道だろうか。私はそうは思わない。……鵜呑みにするのは、かえって危険である。日本とアメリカでは会社の成立する社会的基盤が、根本的に違っているからだ。かといって漫然と現状を見過ごすことは、もっと大きな間違いだ。アメリカから取り入れるもの、学ぶべきものは堂々と学び、かつ日本の歴史的土壌を見きわめ、そこに足をつけたままで、現実的に不合理を是正してゆくべきなのである。社員を〝無難なサラリーマン〟から〝意欲あるビジネスマン〟へとレベル・アップすることに努めなければならない」

ソニー創業者盛田氏の軌跡の経営を追っている。どうやったらこういうダイナミックな会社が作り出せるのか、考えさせられました。

3位 一気通貫で知る「昭和史 1926-1945」

『落日燃ゆ』で非常に持ち上げたためたいへん立派な人と広田さんは思われているのですが、二・二六事件後の新しい体制を整えるという一番大事なところで広田内閣がやったことは全部、とんでもないことばかりです。スタートから、「政治が悪いから事件が起きた。政治を革新せよ」という軍部の要求を受け入れて、「従来の秕政を一新」という方針に同調して組閣しました。秕政とは悪い政治という意味です。これでは軍部独走の道を開くことと同じなんですね。

よく知らなかった戦前〜戦後にかけての雰囲気がよく分かりました。

2位 神話から始まる「善と悪の経済学」

二人の偉大な経済学者、ハイエクとシュンペーターは、マンデヴィルとスミスいずれについても経済思想の独創性を否定する一方で、心理学、倫理学、哲学に関しては両者を重要な思想家と評価している。それなのに、経済学の基礎を築いたのはスミスだという見方がなぜ定着したのだろうか。これは要するに、実際には心理学、倫理学、哲学が経済学の核の部分に存在するからではあるまいか。

ギルガメッシュ叙事詩から始まって経済思想と哲学の関わりから両者の切っても切れない関係を明らかにする意欲作。

1位 「ザ・会社改造」ミスミのケース

何か異常を感じたとしても、それが本当に問題なのか、ただの思い過ごしなのかは咄嗟にはわからない。そういうときは、閉まった窓をもう一度開けてもらう。そして、しっかりなかを覗く。  それで何かを感知したら、現場に足を踏み入れる。ハンズオンで現物に触れる。問題の本質が何かを確かめる。周囲の部外者にも意見を聞く。問題がないとわかったら、サッと引き上げる。タッチ・アンド・ゴーで元に戻るのだ。優れた経営者の仕事は毎日、その動作の繰り返しである。

ちょうどメルカリくらいのサイズだったミスミを世界的企業にするまでの軌跡ということもあって非常に勉強になりました。

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謹賀新年+2015年の本ベスト10

虹

2016年、あけましておめでとうございます!
昨年は本当に周りに助けられた幸運な一年でした。

まずはじめての子どもを授かるという一大イベントがあり、その他のプライベートな理由もあり、日本で出産してもらうことに決めました。結果、健やかな娘を授かることができました。いろいろと大変なこともありますが、スクスクと成長するのを見るのはそれ以上の喜びがありますね(もちろん一番大変なのは妻なのですが。いつも感謝です)。

仕事においても、メルカリがリリース2周年を迎え業績が急拡大する中で(かつ子ども関連で若干行動も以前に比べて制限される中で)、地理的(日米欧)にも社員数的(120→230)にも自分一人が見られるキャパシティを軽く超えて行きましたが、素晴らしい仲間が増えたことですごい成果を出してくれました。昨年はメルカリの組織的な強みが一気に花開いた感がありました。自分は自分にしかできないことのみをやっていこうと思っています。

ということで、いろいろな意味で周りに助けられた一年で、ありがとうございました。また自分の幸運も改めて実感しました。

2016年はシンプルにメルカリUSの大成功を目指したいと思います。ただ同時に、もう少し中長期的な視点でいかに世界中にサービス展開していくか、そのためにどのような技術やプロダクト、人材、組織が必要かを考えて少しづつ種を巻いて行きたいと思っています。

昨年に引き続き今年もよろしくお願いいたします。

さて恒例のベスト本ですが、2015年は非常に豊作で久しぶりにベスト10となってます。どれも名作なので興味がわいたらぜひ手にとってみてください。

■2015年の本ベスト10

10位.クロネコヤマト誕生の物語「小倉昌男 経営学」

宅急便を始めて気がついたのは、これまでは、荷主の輸送担当者にあごで使われていたという感じだったのが、集荷に行っても配達に行っても、家庭の主婦から必ず「ありがとう」「ご苦労様」という言葉をかけられることであった。これまで聞いたことのない感謝の言葉を聞いて、現場を回るドライバーたちは感激してしまった。

クロネコヤマトの始まりとその後の快進撃。しかしその裏には緻密な計画があったことが分かります。

9位.アップル製品のこだわりを知る「ジョナサン・アイブ」

ジョブズはいつも、集中とはイエスということではなく、ノーということだと語っていた。ジョニーの指導のもと、アップルは「そこそこいい」ものであっても「偉大な製品」でなければ却下することを激しく自分たちに課している。

アップルのデザインをリードしてきたジョナサン・アイブに迫ったドキュメンタリー。どのようにiMac、iPod、iPhone、iPadが生まれてきたかがよく分かります。

8位.謙虚さと内省の重要さ「ピクサー流 創造するちから」

社会的に自分より上の立場の人には本音が言いにくい。さらに、人が大勢いるほど、失敗できないプレッシャーがかかる。強くて自信がある人は、無意識にネガティブなフィードバックや批評を受けつけないオーラを放ち、周囲を威圧することがある。成否が問われる局面で、自分のつくり上げたものが理解されていないと感じた監督は、それまでのすべての努力が攻撃され、危険にさらされていると感じる。そして脳内が過熱状態になり、言外の意味まで読み取ろうとし、築き上げてきたものを脅威から守ろうと必死になる。

ピクサーがなぜここまで成功し続けられるのかがよく分かる一冊。会社に内省の仕組みを入れる、というのは目からウロコでした。

7位.スーパーグローバル企業の実態「石油の帝国」

エクソンモービルの幹部たちは、石油国有化の波が来ては去っていくのを何十年も見てきた。そして長い目で見れば、ほとんどの政府は民間企業とパートナーシップを組むことが自国の利益となる、ということを理解する、という理屈だった。

エクソンモービルのような超グローバル企業がどのように運営され、国家とどのような関係性にあるのかが分かります。

6位.失敗続きのヤフーの歴史「FAILING FAST」

ヤフーのトップに君臨する前、テリー・セメルはメディア業界で広く称賛されていた。サン・マイクロシステムズとオートデスクにおけるキャロル・バーツの実績は、目を見張るものがあった。CEOになるまで、ジェリー・ヤンは誰からも愛される創業者だった。社長になる前のスー・デッカーは、ウォール街での大胆さや取締役会議での賢明さから、スーパーヒーローと見なされていた。  しかし、ヤフーの再建に失敗してからは、彼らは不幸にもあざけりの対象となり、業界からのけ者扱いされるようになった。  自分ならうまくやれる、という人物はこの世に存在するのだろうか?

米ヤフーの始まりとその後の苦闘。物語として非常におもしろいです。

5位.マネーの歴史を知る「21世紀の貨幣論」

通貨そのものはマネーではない。信用取引をして、通貨による決済をするシステムこそが、マネーなのだ。

マネー史を神話から現代まで。これからお金がどうなっていくのかを考えるのに必読。

4位.数十年後の未来を想像する「限界費用ゼロ社会」

新しい3Dプリンティングの革命は、「極限生産性」の一例だ。まだ完全には実現していないが、本格的に拡がり始めれば、いずれ限界費用を必然的にほぼゼロまで減らし、利益を消し去り、(すべてではないが)多くの製品の、市場における資産の交換を無用にするだろう。  製造が大衆化されれば、誰であろうと、そしていずれは誰もが、生産手段へのアクセスを得るので、誰が生産手段を所有して支配すべきかという問いは的外れとなり、それに伴って資本主義も時代遅れになる。

IoT(モノのインターネット)により限界費用ゼロの社会が到来したときどのような社会になっていくのかを想像するのに最適な一冊です。

3位.スタートアップの厳しさが詰まった「HARD THINGS」

私がCEOであり、ラウドクラウドが上場企業であったために私以外には全体像が見えていなかった。私は、会社が極めて深刻なトラブルに陥っているとわかっていた。私以外にこのトラブルから会社を救える者はいないし、私はすべての事情を理解していない人たちからのアドバイスに聞き入っていたのだ。私にはあらゆるデータと情報が必要だったが、会社の方向性に関する提言はいらなかった。今は戦時なのだ。会社が生きるも死ぬも、私の決断の質次第であり、その責任を回避したり、緩和したりする術はなかった。

スタートアップの厳しさがすべて詰まった本。厳しい状況=戦時、に経営者が何を考えてどのように行動すべきかの指針が示されています。非常に実践的でスタートアップの経営者は必読だと思います。

2位.今後無視することはできない「ブロックバスター戦略」

出版社でもスタジオでも、ブロックバスター狙いを敬遠してばかりいると、才能あふれる編集者や映画製作者、テレビプロデューサー、クリエイティブな人たちは職を辞して、大きな成功のチャンスを追求できる会社に移るだろう。

ソーシャルメディアなどで情報伝達スピードがますます早まる中、実はロングテールではなく、ヘッドがさらに強くなっている現状を明らかにしています。主にエンターテイメント業界の話なのですが、インターネットビジネスにも完璧に当てはまります。

1位.Google人事の成功例と失敗例「ワーク・ルールズ!」

実のところ、組織のなかで人が発揮するパフォーマンスは、たいていの仕事の場合べき分布になる。インディアナ大学のハーマン・アグイニスとアイオワ大学のアーネスト・オボイルは「平均的な能力の人々がつくる大集団が強い影響力を振るうわけではない……きわめて優れた能力を持つ人々の小集団が圧倒的な業績を上げることによって[影響力を振るうのだ]」と解説する。大半の組織はそうとは知らずに、最高の人材を過小評価し、正当な報酬も払わないでいる。

現在世界最強の一社Googleのかつての人事トップが成功例も失敗例も赤裸々に書いており、とにかく勉強になる一冊です。もちろんこの戦略を取るには非常に強固なビジネスモデルと技術力が必要なのですが。

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あけましておめでとうございます+2014年の本ベスト5

皆様、あけましておめでとうございます!

2014年は、メルカリも2年目ということで、数字上劇的に伸びたし、多くの力強い仲間がジョインして100人規模の素晴らしいチームになってきたのがうれしかった1年でした。

メルカリ1周年
メルカリ1周年 posted by (C)suadd

また、プライベートでは結婚しまして、披露宴や二次会準備ではいろいろな方にお世話になり、また当日多くの方にお集まりいただき、非常にうれしく印象深い一年になりました。

二次会胴上げ with ゲッツスーツ
二次会胴上げ with ゲッツスーツ posted by (C)suadd

しかし、まだまだやりたいことのほんの一部しかできていないし、逆にやりたいことがどんどん出てきて、焦燥感が強くなった気もします。

今年はまさに海外展開が本格化し成否を分ける年になると思うので、僕としてもUSに拠点を移し、本気で取り組んでいく所存です。

ではでは、恒例の2014年の本ベスト5をお送りします。ちなみに、本・芸術カテゴリをみるとエントリが少ないのですが、今年はKindle化される書籍が増えたこともあって大幅に読書量は増えています。が、アウトプットが少なかったのは事実なので、今年はもう少しエントリ数も増やしていきたいと思ってます。

5位.元祖技術ベンチャーに学ぶ「本田宗一郎 夢を力に―私の履歴書」

少し古い作品ですが、ホンダがどのように大きくなってきたのかがよくわかって非常に勉強になりました。何の後ろ盾もないベンチャーが世界的な会社になっていったのは勇気付けられます。

技術があれば何でも解決できるわけではない。技術以前に気づくということが必要になる。日本にはいくらでも技術屋はいるが、なかなか解決できない。気づかないからだ。もし気づけば、ではこれを半分の時間でやるにはどうすればいいかということになる。 そういう課題がでたときに技術屋がいる。気づくまではシロウトでもいい。そういういちばん初歩のところを、みんな置き忘れているのではないかという気がしてならない。

4位.20世紀の隠れた大発明を知る「コンテナ物語」

その名の通りコンテナ輸送がどのように生まれ導入されていき、その間に起こった都市間の勃興没落、恩恵を受けた(日本の)エレクトロニクス・メーカーなどを描いた良書。こういう本が本当に好きです。

これだけでも、コンテナ輸送の威力がわかる。ニューヨーク港で暑かったコンテナ貨物の量は、1965年には195万トンだった。それが翌66年の最初の10週間だけで、260万トンに急増している。この現象を目の当たりにしたアメリカの海運各社、さらにイギリスの二社、大陸欧州のコンソーシアムがどっと参入してきた。「船会社も港もコンテナ輸送に本腰を入れ、もはや後戻りできない状況になったのはこの66年である」と、あるコンサルティング会社は分析している。

3位.超格差時代を生き抜くヒント「グローバル・スーパーリッチ」

新しい上位0.1%の超富裕層プルトクラートを丁寧なインタビューや統計データから描き出し、そういった世の中でどのように生きるかのヒントが満載されています。

(あるノーベル物理学賞受賞者)「注意していないと、他人がした発見まで私の手柄にされるかもしれない。私が著名人であるからだ。私が何かいえば、世間はこう考える。『なるほど、彼がこれを考案したのだな』いや、私としては、他の誰かが以前に考案したことについて話しているだけなのだ」

2位.PayPal創業者による起業講義「ゼロ・トゥ・ワン」

PayPal創業者であり、Facebook、LinkedIn、Yelpなどの初期投資家ピーター・ティールが起業について語った本。非常に奥が深く、すごく刺激的であり、いまだに咀嚼できていない部分もあると感じるので定期的に読み直したい作品です。

人間についての隠れた真実はあまり重要だと思われていない。人の秘密を明かすのに立派な学歴はいらないからだろう。人々があまり語ろうとしないことは何か? 禁忌やタブーはなんだろう?

1位.政治と経済の関係に新しい視点を持ち込む「国家はなぜ衰退するのか」

ある国が貧しいか裕福かを決めるのに重要な役割を果たすのは経済制度だが、国がどんな経済制度を持つかを決めるのは政治と政治制度であることを解説している。自分は起業家なわけですが、国家という前提がどのようにビジネスに影響するのかを過小評価していた部分があったなという気づきがあって大変勉強になりました。

大半の経済学者や政策立案者は「正しく行う」ことに焦点を合わせてきたが、本当に必要なのは貧しい国が「間違いを犯す」理由を説明することである。間違いを犯すことは、無知や文化とはほとんど関係がない。のちほど述べるように、貧しい国が貧しいのは、権力を握っている人々が貧困を生み出す選択をするからなのだ。彼らが間違いを犯すのは、誤解や無知のせいではなく、故意なのである。これを理解するには、経済学や、最善策に関する専門家の助言を乗り越え、代わりに、現実に決定がいかにされるのか、決定に携わるのは誰か、その人たちがそうすると決めるのはなぜかを研究しなければならない。これは、政治と政治的プロセスの研究である。伝統的に、経済学は政治を無視してきたが、政治を理解することは、世界の不平等を説明するのにきわめて重要である

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あけましておめでとうございます+2013年の本ベスト5

あけましておめでとうございます!

昨年は、一昨年の世界一周から一変して、二度目の起業でビジネスにどっぶりでした。思ったのは、やっぱり自分は何かを創るというのが大好きだということ。旅行は旅行で大好きなのですが、いまはむしろモノ作りが楽しくてしょうがないです。

おかげさまで、なんとかフリマアプリ「メルカリ」も立ち上がったのですが、まだまだぜんぜん小さい規模ですし、アメリカ進出とかやりたいことが山積みなので、ベストを尽くして行こうと思います。

恒例のベスト本紹介。実は昨年も結構読んでいたのですが(たぶん50冊くらい?)、エントリするまでに至るインパクトのあるものが例年よりも少なかったです。恐らくこれは自分がアウトプットモードになっていて、インプットがなかなか響かなかったのと、アウトプットを極力仕事に注ぎ込んでいたからかなと思っています。

それにも関わらずエントリしたベスト5はどれも珠玉の名作だと思うので、ぜひ機会があったら読んでみてください。

5位.マッキンゼーの飽くなき優秀な人材獲得法から学ぶ「採用基準」

マッキンゼーがどのような人材を優秀を規定し、採用では何を見ているか。経営者には非常に勉強になります。

4位.人生のジレンマを考える「イノベーション・オブ・ライフ」

クリステンセン教授の「人生に対する戦略を考える」最終講義。良質なストーリーがたくさんあります。

3位.才能vs努力に真正面から取り組む「非才!」

成功には才能は必要なく、努力「のみ」が必要なのだと説く力作。個人的には、努力「のみ」でなく才能も運も必要だと言う意見に変わりはありませんでしたが、それでも非常に斬新な視点で世界を捉え直すことができてよかったです。

2位.良質な起業ストーリー「GILT(ギルト)」

GILTの創業ストーリー。スタートアップの雰囲気がそのまま再現されていて素晴らしいです。

1位.創造とは何か?を知る「ロスト・インタビュー スティーブ・ジョブズ 1995」

映画「スティーブ・ジョブズ1995」の書き起こし。スティーブ・ジョブズの1995年のインタビューでとにかくインスパイアされまくる傑作です。

P.S.1.映画「スティーブ・ジョブズ1995~失われたインタビュー~」は3月4日発売のようです

P.S.2.2006年2007年2008年2009年2010年2011年2012年はこちらからどうぞ。

CAREER HACKインタビュー掲載

CAREER HACKさんにインタビューしていただきました。

CAREER HACK

『まちつく!』『フォト蔵』そして『メルカリ』|山田進太郎に学ぶ、ヒットサービスの作り方。[前編]
ヒットメーカー・『メルカリ』山田進太郎のキャリア論 ~優秀なエンジニアには共通項がある~[後編]

昨年の会社はじめる前のインタビューと合わせて読むとなかなかおもしろいです。この頃はまだいくつかのアイデアがあって、どれをやろうか検討している時でした。

「次にやるサービス開発は『文脈思考』で考えている」~山田進太郎氏が描くメガベンチャー構想(前編)
「今、開発で重視すべきはオペレーション・エクセレンス」~山田進太郎氏が描くメガベンチャー構想(後編)

フリマアプリはヤフーやLINEも参入してきて、本当にレッドオーシャンなのですが、さておいても来年早々に海外展開もしていきたいと思っています。

そのために全方位で積極的に人材募集中です。詳しくは、求人ページをご覧ください。

最近は興味を持っていただく方のレベルがあがって各ネットベンチャーのエース級の人材が受けに来てくれるようになってきたのを感じます。今の事業拡大スピードからして、圧倒的におもしろい仕事と、それによる成長を提供できる環境になってきていると思います。

我こそはという方、ぜひご連絡ください。

フリマアプリ「メルカリ」をリリースしました!

ドタバタしていてすっかりブログも更新できてませんでしたが、新しく創業したコウゾウでフリマアプリ「メルカリ」を、7月2日にAndroidで、今週23日にiPhone版をリリースしました。

メルカリ誕生パーティー
メルカリ誕生パーティー

いよいよ、という感じなのですが、なぜまた起業したのか、なぜフリマアプリなのか、二度目の起業ってどうですかというのをよく聞かれるので(自分で記憶を思い返せるようにも)ここに書いておきます。

フリマアプリ「メルカリ」 メルカリキャプチャ1 メルカリキャプチャiOS2

なぜまた起業したのか?

昨年頭Zynga Japan(旧ウノウ)を辞めた時、すぐ仕事を始めたかったのですが、また仕事をはじめたら長期旅行なんてできないだろうし、独身で子どももいないし、ということで、夢の一つであった世界一周をすることにしました。

それで世界一周後に、何をやろうか考えていて、結局ウノウのときから変わらずで、日本から世界で使われるインターネット・サービスを創りたいと思いました。

エンジェル投資も好きだし、まだまだ行きたいところ(旅行先)もたくさんあるのですが、とにかく何か自分の手で創りたいという気持ちがすごく強くなってしまったのです。だから起業しました。

なぜフリマアプリなのか?

いくつかアイデアはあったのですが、その中でも個人間取引(Consumer to Consumer、以下、C2C)がこれからすごく可能性があるのではないかと思ったので、C2Cをスマホで簡単・安全にできるフリマアプリを作ることにしました。

可能性を感じた理由はいくつもあるのですが、一番大きいのは、これから世界全体が経済発展していく際にリソースが逼迫してくるので、今までのようにプロダクトをどんどん新しく作って消費するのが難しくなってくるから、必然的にC2Cが盛んになってくるというところです。

その際に、普通のひとが普通に使うであろうデバイスは、もちろんスマホやタブレットになるはずで、そのために最適化されたサービスが必要になってくるのではないかということです。

「まちつく!」「Zynga」のイメージからかゲームじゃないんですね、とも言われますが、ウノウは「世界で使われるインターネット・サービスを創る」をミッションにしていて、当時はそれがモバイル×ゲームだと思ったからやったし、今はそれがモバイル×C2Cだと思うからフリマアプリをやる、ということです。

二度目の起業ってどうですか?

いわゆるシリアル・アントレプレナー(連続起業家)ってどうなんですか? というのもよく聞かれます。

正直言って、結構大変です。

日々いろいろな問題が起こるから解決しなければいけないし(当然胃が痛くなるような時もあります)、無いものだらけで、イチから仲間を集めていかなければいけないし、会社の仕組みだってまた作らなければいけません。

もちろん二度目の起業なので、なんとなく見通しはつけやすいし、人脈や資本などでもやりやすい部分はあります。それでも、起業は不確実性が高くて絶対というのはないし、僕自身2,3割の確率で成功できればいいなというくらいな気持ちでいます。

(ただ、何度でもチャレンジするつもりなので、いつか成功できると思ってますが。
後、成功と大成功の違いもあって大成功するのは本当に難しいと思います)

しかし、また自分が思う理想的なプロダクトや会社を作っていける、というのはとてつもなく楽しいです。少しづつ出来上がっていくプロダクト、仲間が増えて強くなっていくチームを見ると本当にうれしくなります。

そして、なんといってもプロダクトを使ってもらう喜び。

まだ出たばかりなアプリですが、すでに使っていただいている方がたくさんいます。本当にありがたい話ですが、こうやって世の中の役に立っているという喜びは代えがたいものがあります。

恐らく日々しんどいし、失敗したら名声が傷つくとか財産を失うかもしれない、というのが連続起業をしない理由だと思うのですが、いままで書いたような楽しさに比べたら十分チャレンジする価値はあると思います。

自分がもう通用しないと思ったら止める時だと思うのですが、今は行けるところまで行こうという気持ちです。

最後に

メルカリではまだ出品数が1万を超えたくらいなのですが、それでもたくさんの売買が成立しています。売りたい方にも買いたい方にも結構おもしろいアプリだと思うので、ぜひ一度覗いてみてください。

これからどんどんよいサービスにしていきますので、今後ともフリマアプリ「メルカリ」をよろしくお願いします。

メルカリ初日の仲間たち
メルカリ初日の仲間たち

P.S.コウゾウでは強力な仲間を強く求めています。我こそはという方はぜひご連絡を!

近況と求人とイベント告知

株式会社コウゾウ
株式会社コウゾウ posted by (C)suadd

さて最近は新会社で、アプリ開発に忙殺されています。

オフィスを太河さんとバタラさんのEastVenturesのオフィスの中においているため、僕がベンチャーキャピタリストとして投資しているのかと思っている方もいるようですが、思いっきりベンチャー経営です。

バリバリ毎日出社してオペレーションもゴリゴリやってます。いまはフルタイムは4人で、他はアルバイト/インターンだったり現職にありながら手伝ってもらっています。

「久しぶりに仕事してみてどう?」というのもよく聞かれますが、昨年は世界一周していてインプット(消費)をするばかりだったので、何かをアウトプットする、というのが「作ってる!」って感じがしてとにかく楽しいです。

まぁ昨年ののんびりとした時間は懐かしいと稀に思ったりもしますが、やっぱり基本的には何かを作ってる方が楽しいし、好きなんだなぁと実感しています。

それで本題なんですが求人です。

・むちゃくちゃできるiPhoneアプリエンジニア(正社員)
・フルタイムで働けるインターン(時給制)

を募集してます。これ以外の職種でもとにかく優秀なひとを求めてます。自らを優秀だと思う方、ぜひご検討を。詳細は求人情報をご覧ください。

いずれにしても本当にベンチャーの立ち上げに関われるなかなかない機会なんじゃないかなと思いますので興味のある方はぜひご応募ください。

それから来週二本ほど登壇イベントがありますのでよろしければどうぞ。

3/11(月):わせだのわ勉強会オフィスアワー:第2回テーマ「起業」
3/14(木):新日本アントレプレナーサミット 2013

というわけでまた

新会社「株式会社コウゾウ」を設立しました

よくよく考えたらブログで告知していなかったので…

2013年2月1日(金)に新会社「株式会社コウゾウ」を設立しました。ウノウ株式会社を2005年2月1日に作って以来、偶然ちょうど8年ぶり二度目の起業ということで、連続起業家(シリアル・アントレプレナー)の仲間入りです。

新会社の事業としてはスマホ×コマースを考えています。

株式会社コウゾウ設立初日
株式会社コウゾウ設立初日 posted by (C)suadd

詳細はおいおい公開していきますが、ベンチャーとして経営するので、外部から資金調達もしますし、ひとも(必要なだけですが)どんどん増やしていきますし、ビッグアイデアでもって世界で使われるインターネット・サービスを創って行きたいと思っています。

会社ホームページなどまだないのですが、Facebookページを作ったので、よければ「いいね!」していただければ最新情報がFacebookに流れます。またクラウドワークスでロゴ募集コンペなどもしてますのでデザイナーの方はよければぜひ。

それから昨日、孫泰蔵さん率いるシード・アクセラレーターMOVIDAのイベントで少しお話させていただいたものがまとめられています。そのうち記事にもなるそうです。

「世界中で使われるサービスを創る」- 元Zynga Japan 山田進太郎氏【MOVIDA SCHOOLまとめ】

プラス、今週土曜「第5回SF JapanNightセミファイナル」というイベントに登壇しますので、こちらもよろしければ。

という「よろしければ」だらけなエントリでした。

あけましておめでとうございます+2012年の本ベスト10

少し遅くなりましたが、あけましておめでとうございます!

昨年は世界一周というそれまでとはまったく違うことにチャレンジして、無事に終えることができました。本当に幸運でした。

想像を超えた自然や風景、さまざまなひとや文化に触れて、喜怒哀楽があり、いろいろな経験ができました。そういう意味で昨年はインプットの年だったと思います。今年はそれをアウトプットしていく年にしたいと思っています。

また今年、インターネット・サービスを作って再度起業しようと思ってます。興味がある方がいたらご連絡ください。特にエンジニアの方はぜひ。

毎年振り返っている本については、旅行中ながらもデジタル化して持ち歩くことでかなりたくさんの本を読むことができました。一部の素晴らしかった本はブログにアップしましたが、その中からトップ10をあげたいと思います。

10位 ウィルゲート 逆境から生まれたチーム/小島 梨揮
ウィルゲートが苦境に陥りV字回復するまでの物語。起業家の陥りやすい罠について。

9位 起業GAME/ジェフリー・バスギャング
起業家と投資家の両方の豊富な経験をもつ著者からの貴重なアドバイス。

8位 (日本人)/橘 玲
日本人のルーツを探り、意外な日本人像を発見する。

7位 幸せな未来は「ゲーム」が創る/ジェイン・マクゴニガル
優れたゲームから学び、世界を良くするためにいかにゲームを使うべきかを考察する。

6位 ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉/リンダ・グラットン
これからの仕事の選び方。好きなことだけでなく、その代償について考えるべきという新しい視点。

5位 他人のカネで生きているアメリカ人に告ぐ ―リバータリアン政治宣言―/ロン・ポール
アメリカ下院議員ロン・ポールからリバタリアン思想について学ぶ。

4位 媚びない人生/ジョン・キム
慶応大学准教授キム氏からの若者へのメッセージ。若者ならずともぐっと来ます。

3位 木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか/増田俊也
史上最強の格闘家と言われる木村政彦を追った超弩級のドキュメンタリー。戦前から戦後の雰囲気も知れて非常におもしろいです。

2位 偶然の科学/ダンカン・ワッツ
元物理学者が物理学的厳密さで世の中のさまざまな事象を解き明かそうとする意欲作。ものすごい濃密。

1位 MAKERS―21世紀の産業革命が始まる/クリス・アンダーソン
3Dプリンタを中心としたいわゆる「メイカーズ」だけではなく、これからのビジネスの一つのトレンドになるであろうコミュニティ形成について深い洞察が得られる名著。

P.S.2006年2007年2008年2009年2010年2011年はこちらからどうぞ。

エンジニアtypeインタビュー掲載

エンジニアtypeさんにインタビューを掲載していただきました。

「次にやるサービス開発は『文脈思考』で考えている」~山田進太郎氏が描くメガベンチャー構想(前編)
「今、開発で重視すべきはオペレーション・エクセレンス」~山田進太郎氏が描くメガベンチャー構想(後編)

まぁ偉そうなこと言ってますが、正直最初はかなりの確率で失敗すると思います。すごく無様に。でも、失敗したって諦めずにやり続けるつもりです。そういう気持ちになったからまた起業しようと思ってます。

もし一緒に世界的サービスを作ることに、興味がある方がいたらご連絡ください。

P.S.ブログに掲載しのがしてましたが、世界一周からの帰国日にインマイバッグのインタビューがあったのでこちらもどうぞ。
元ウノウ代表取締役社長 山田進太郎さんのバッグの中身インタビュー!

学費支援プラットフォーム「studygift」をムーブメントにするために

家入さんが率いるLivertyがリリースした学費支援プラットフォーム「studygift(スタディ・ギフト)」が賛否両論で波紋を呼んでいます。

まず僕の立場を明らかにしておくとLivertyには世界一周中にグループ追加されていたものの特に何かにコミットしているわけではなく、今のところ先日リリース時に行われた初顔合わせ「超会議」に参加したのが唯一です。

正直、studygiftは確かに荒削りな部分はあったと思います。しかし、その反応においてはネガティブなものも多く、第一弾の対象となった坂口さんや主催である家入さんへの誹謗中傷まで頻発しています。

しかし、一方で現時点で191人もの方が賛同し、95万円以上が集まり、当初目標の87万強を超えて資金調達に成功しています。さらに、大口の10万円支援も20社も問い合わせがあるそうです。

なぜこの新しい試みにこれだけの賛否両論な意見が集中しているのでしょうか?

それは、この試みが「新しい試み」であるからに他なりません。今までの常識に逆らい、世界を変えようとしている確かな証拠です。

新しい試みは有望であればあるほど、批判を超えた誹謗中傷がつきものです。そしてそういった声は大きく聞こえ、主催者の心を蝕みます。

だからこそ、僕はこの試みを僕なりのやり方で全面的に支援したいと思います。Livertyの中のひとは若いひとが多いから、戸惑っているひともいると思います。でも、もっと自分に胸を張っていいと心から言いたい。

すでに、200人近く支援してくれている人々がいて、ということは、その何倍もの賛同してくれている人々がいると言うことであり、このムーブメントが広がっていく可能性は高くなっています。

ほとんどの試み(ベンチャー含め)が議論も呼ばず、賛同者を(批判者も)集められないことを考えれば、まず最初の難関をクリアしています。批判には、誠心誠意対応していく必要がありますが、それに挫ける必要まったくありません。

ここからstudygiftをいかに大きなムーブメントにしていくか、については、「バイラル・マーケティング」などで有名なセス・ゴーディンはTEDのスピーチ「我々がリードする部族」が役に立つと思うので、ご紹介します。

<セス・ゴーディン「我々がリードする部族」>
※日本語字幕付き動画、約17分半です

セス・ゴーディンの第一の質問は「あなたは、正確にはだれの心を乱してますか?」。誰かの心を乱していないなら、あなたは現状を変えていない、と言います。ここはすでにクリアしているでしょう。

続く、第二の質問は「あなたは誰と繋がっていますか?」です。賛同してくれているひとは誰か、と。その人々はその想いをシェアしたがっています。彼らを繋げることが二番目に必要なことです。

第三の質問は「あなたは誰をリードしていますか?」。そしてその人々のさらに先導部分にフォーカスをして、リードします。それにより、その人々がまず変わり、次にリーダーとなって、その周りの人々を変えてきます。

そして、すべてが変わるのです。

P.S.Livertyそのものや、事前にリリースされた「うつっぽ」などにも批判的な意見もありますが、これらも同様に世の中を変えていくことができると信じています。

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Zynga Japanを退社します

私、山田進太郎は、本日1月16日(月)付でZynga Japanを退社します。

ウノウのミッションであり、Zyngaへのウノウ売却時の理由でもあった

「世界で使われるインターネット・サービスを創る」

を達成できないままなのは残念ですが、目標はすぐに達成できてはつまらないもの。今後もこの目標は個人的に追いかけていきたいと思います。

有限会社ウノウからだと10年半弱、元副社長の石川と作ったウノウ株式会社から考えると7年、Zyngaになってからは1年半弱。

振り返ってみると、本当に社内外、いつの時も、様々な方々に支えられて来たのだなぁと思います。

退社したからといって人生が終わるわけではありませんが、一つの区切りだとは思いますので、改めまして。

私とZynga Japan(およびウノウ)に関わったすべての方に深く感謝いたします。今まで本当にありがとうございました。

今後についてはまったく未定ですが、しばらく海外を回ろうかなと思っています。その後は、また大好きなインターネット・サービスを作っていくことになると思います。

今後ともよろしくお願いいたします。

P.S.今後ご連絡は個人宛メールか、Facebookなどにお願いします

賀正+2011年の本

あけましておめでとうございます。

昨年も本当にいろいろな方にお世話になり、ありがとうございました。個人的にも、すごくいろいろな気づきのある年で、よかったなと思います。今年はちょっと新機軸を打ち出して行こうかなと思ってます。

それでは、恒例の2011年の本です。今年も昨年に続いて若干不作だったかなと思いますが、それでもこの5作品は読んでおいて損はないと思います。

2006年2007年2008年2009年2010年はこちらからどうぞ。

5位 小説 盛田昭夫学校
ソニーというベンチャーがどのように発展してきたかが非常にいきいきと描かれています。ソニーがどのように世界ブランドになっていったかは、現在どのように世界的なプロダクトを作るかの助けになると思います。

4位 自由はどこまで可能か=リバタリアニズム入門/森村進
これから徐々に主流になっていくであろうリバタリアニズムについての入門書です。

3位 繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史/マット・リドレー
現代は暗い話題が多いですが、過去どの時代に比べても生活水準はあがっていて、世の中どんどんよくなってますよ、ということがよく分かる本。大きな世界の流れを知ることは、これから何をしていけばいいのかのヒントにもなると思います。

2位 強さと脆さ/ナシーム・ニコラス・タレブ
衝撃の名作「ブラック・スワン」のタレブ新作。「ブラック・スワン」の後を考えているため、考察本になっていて、切れ味は劣りますが、いずれにしても合わせて必読本です。

1位 フェイスブック 若き天才の野望/デビッド・カークパトリック
Facebook本の中では図抜けています。現在の世界でもっとも重要なプロダクトの一つであるFacebookの成り立ちを知っていくのは非常に重要だと思います。

福岡で対談イベント出ます

Zynga(旧ウノウ)の山田進太郎さん×gumiの国光宏尚さんの対談「Fukuoka Startup School」

2011年11月5日(土)に福岡でgumi国光さんと対談イベントに出させていただきます。福岡周辺にお住まいの方は是非。

P.S.世界のエンジェルとかVCのひとが登録するAngelListに登録してみました。