2022振り返り+本ベスト5

カタールW杯、ドイツ戦勝利直後
↑カタールW杯、ドイツ戦勝利直後

2023年、あけましておめでとうございます。

昨年のテーマは「やりたいことをやる」でした。

2022年のテーマは「やりたいことをやる」にしようと思います。今年私は45歳になりアラフィフになります。年齢はそんなに気にしていませんし、「ライフスパン」であったように老化の研究が進み寿命は劇的に伸びる可能性もありますが、それでも健康である時期がどのくらいあるか、その間に何をやりたいのか、を真剣に考える年頃になったのかなと思ってます。自分にとって大切なことは何なのか、家族や友達とも一緒に考えて、やりたいことは先送りせずに今年中にやれるだけやろうと思います。

いろいろやっていこう、という矢先に戦争が始まりました。現代にこんなことがあるんだ、という思いですが、現実です。人類は一直線で進化するわけではないし、うっかりと脱線して核戦争で滅亡することもありえるのだなと気付かされました。そういった中で、自分が好きで信じることをやり、家族や友だちやコミュニティを大切にすることの重要さが際立ちました。

ビジネスとしては、まず起こりうる最悪の状況にも備えるべきと考え、コストを絞りつつ、投資も取捨選択をしていきました。そのおかげもあって、4-6月期から黒字に転じています。結果としては本当に最悪なことは起こらず、もう少し投資してもよかった年だったのかもしれません。ただ、経営陣だけでなく、あらゆるレイヤーで厳しい精査と判断をしていく中で、培われたものも大きいと思います。お金が使えないなら知恵を絞ることもしたし、非常に筋肉質になって、会社としてのメカニズムが整った一年だっだと思います。今年はこれらの成果がより見えてくると信じています。

今年はメルカリも創業10年を迎えます。節目を迎えようとする中で、これまでの10年を振り返り、これからの10年についてもよく考える一年になりました。いろいろ考えたときに、やはりメルカリには、ミッション達成に向かい、より多くのお客さまに様々な価値あるサービスを提供し、会社として永続的に成長していって欲しいと思っています。

すごく幸せなことにメルカリには自分より優秀なひとがたくさんいて、みんなにどうやったらやりがいを持って仕事をしてもらえるか、さらにそういう仲間を増やしていくにはどうしたらよいか、を考えています。さらに自分ができるところまではやりたいと思ってはいますが、自分がいなくなってもずっと発展していける会社にしていきたいと考えています。

D&I財団も昨年は2年目ということで、採用を進め、STEM女子奨学助成金を女子高校生にも拡大し、約600人に支給をする予定です。さらに活動を広げるべく、人員増強もしていっています。

プライベートでは、カナダ、モルディブ、ネパール、カタール、サウジアラビアという5カ国にはじめて行くことができました。特にカタールのサッカーワールドカップは伝説のドイツ戦、スペイン戦をスタジアムで観ることができて最高でした。今年も毎年の目標である新規2カ国訪問は達成したいと思います。

筋トレと食事制限も継続することで、さらに減量し、内臓脂肪など数字は改善し、体調もさらによくなり、最近は睡眠の質もあがったり、仕事の集中力も増したと感じています。英語は毎朝2時間を継続できてますが、あまり成長実感を感じられていないのは反省点です。

総合すると、「やりたいことをやる」は達成できた一年だったかなと思います。ただ、昨年はより中長期なことを、仕事についてもプライベートについても考えることも多く、世の中の不確実性があがる中、中長期のことを考えて、今やっておくべきことをやる、というのもすごく重要だなと思っています。逆説的に、中長期を考えることで、今やるべきことが分かり、今を楽しめる、ということなのかなと。

なので、2023年のテーマは「中長期で考えて、今を楽しむ」にしようと思います。改めて、昨年中はお世話になりました。世界は不穏ですが、変化が大きいということはチャンスも大きいと前向きに捉えたいと思います。今年もよろしくお願いいたします!

それでは毎年恒例のベスト5本をどうぞ

5位 ウェルチ後に何かあったか「GE帝国盛衰史」

主に、そのほころびが出始めたところで引き継いだジェフリー・イメルトが悪戦苦闘するドキュメンタリーとなっています。ひたすらに構造改革をするために、事業を売買。その過程でGEキャピタルを事実上売却・解体することで、利益調整のレバーを失ってしまいます。さらに、大きくDXに賭け、しかし失敗し、強いGEを取り戻すことはできず退任となります。

GEのような大企業がどのように経営されているのか、かなりクリアに描かれており非常に勉強になりました。一見うまく行っているようでも、裏側ではほころびが進行していることもある。本当に企業経営というのは難しく、運の要素もあることから、やるべきとをやったら後はなるようにしかならない、という割り切りも必要だと。

4位 よい判断のために減らしたい「NOISE」

ノイズの分類からはじまって、それではどうすればよいか、を様々な実例や研究とともに解説しています。しかしノイズを減らすために一番大きな障害となるものは、自分は正しい判断をしているというひとの思い込みと、それを補正するであろうAIなどへの心理的な抵抗になります。誰もがコンピューターや簡単なチェックリストの方が自分の判断よりも優れていると認めることが難しいからです。

どうすればよりよい予測と判断をできるのか、について非常に多くの示唆があります。とにかく自分を過信しがちなのが人間という性質である、ということを理解し、認識を更新し続ける、そのためにはAIだろうが、チェックリストだろうが何でも使う、ということですね。

3位 海外事例から学ぶ「取締役会の仕事」

コーポレート・ガバナンスに知見のあるコンサルタントや大学で教鞭をとる著者たちが、米国中心に先進的なモニタリング型の取締役会の豊富な事例を紹介しています。また、様々なチェックリストなどもあり、非常に有用です。

メルカリのこれからのコーポレート・ガバナンスについて、すごくイメージが湧き、個人的に非常に勉強になった一冊。

2位 独創的なアイデア「脳は世界をどう見ているのか」

脳の仕組みについては実はよく分かっていませんが、そこに独創的なアイデアを提示する意欲作です。著者は、なんとパーム・パイロット(90年代の携帯情報端末)の創業者でもあるジェフ・ホーキンス。その売却資金を元に研究所を立ち上げて、現在はUCバークレーに移管して研究を続けている鬼才です。

脳は、予測し、違った場合は学習し、モデル化することを繰り返すことで、物理的なものだけではなく、概念的なものまで何にでも対応できる、という非常に新しいアイデアを提示しています。しかしそれは、自分の子どもをみていると非常に納得感がある説明でもあります。

1位 人生への考え方を変えるコンセプト「DIE WITH ZERO」

その名の通り、お金を使い切って「ゼロで死ね」ということを提唱しています。多くのひとはお金を貯めるためにがんばりすぎている、もっと早くから自分のやりたいことにお金を使うべきだし、仕事も早くリタイアして健康なうちに楽しむべき、そして最後に資産がゼロになって死ぬことが望ましい、という主張です。

昨年のテーマの「やりたいことをやる」もよく考えると「DIE WITH ZERO」から来ている概念ですね。本当に今しかできないことって実はすごく多い。昨年だけ考えてもロシアもウクライナももういけなくなってしまいました(少なくともしばらくは)。今の1ドルと、老後の1ドルの価値は違う。今年も「DIE WITH ZERO」を忘れずに生きたいと思います。

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