M&A海外進出を知る「JTのM&A」

M&Aによる海外進出の成功事例と言われるJTについての、元CFO新貝氏による解説。

JTの海外展開で、対象会社たちをどういった観点でデューデリし、M&Aした場合はその後どういったことに気をつけて、戦略や組織をつくっていったか、そしてどうエグゼキューション(遂行)していったか、などをかなり詳細に描いています。2015年の作品ですが、まったく色褪せていません。

買収検討・交渉の要点は、 (一)買収目的の明確化 (二)対象企業の選択 (三)統合を見据えた企業価値評価=買収後経営の青写真に基づく企業価値算定 (四)対象企業取締役会の重要関心事の洞察 (五)適切なアドバイザーの活用による買収諸課題の解決 (六)買収を巡る他社の動きのインテリジェンス  の六つです。

日本で作った CFOのミッション は、この財務機能の大きな絵姿を財務人材に明示するために作ったものだ。その内容として、(一)CFOが価値創造のナビゲーターであること、(二)財務機能を駆使し、自ら価値創造すること、(三)ファイナンシングを意識し、対話を通じ資本市場と良好な関係を構築・維持すること、(四)世界に通用する財務人材の育成・獲得、を四本柱とした。

CFOはチェンジリーダーである。自らを日々新たにし成果を上げねばならない。役割は四つある。 ① 経営者として のCFOは、変化を機会と捉え、戦略的にリスクを取り、リターンを追求する。 ② CEOのブレーン であるCFOは、CEOが描いた戦略のデッサンを構造計算し、CEOとの対話を通じて、より良い戦略を構築する。 ③ 資本市場への大使 としてのCFOは、対話を通じて財務計数と戦略をストーリーとして、分かりやすく外部ステークホルダーへ説明する。 ④ 財務機能のリーダー としてのCFOは、人をモチベートし、組織を通じて成果を上げる。

メルカリはここまで大きなM&Aをする規模感ではないですが、来るべきときに備えて、組織力を高めていかなければならないと思いました。その際の将来イメージが湧いて、非常に勉強になりました。