老化を病気と考える「ライフスパン」

ハーバード大学の遺伝学教授デイビッド・A・シンクレアが、なぜ生物は老化するのかという問いから、老化を抑える方法はある、と説く意欲的な作品。そのためには、老化を病気と捉えることが重要で、寿命を飛躍的に伸ばすことができるということは健康寿命を伸ばすことにもなる、と言います。

ひとの老化を抑える、というと「自然に逆らっているのでは」「私は寿命が来たら全うしたい」という意見が必ず出てきますが、もし80歳や100歳になっても、若者やせめて中年の健康を備えていたとしたら、多くのひとがもっと生きたいと思うはずであるとも言います。健康でないから、考え方も保守的になっていくのかもしれません。

いずれにしても、老化を抑える方法は、様々な方法があると考えられており、少しずつですが研究が進んでいます。何十年かすれば、飛躍的に健康寿命を伸ばす方法が見つかる可能性は相当ありそうで、どういう世の中になるのか、そんな時代にどう考え、どう生きるべきなのか、を考えさせられました。

<抜粋・コメント>
なお、本書にはそういったブレイクスルー以外にも、今すぐできる健康法なども紹介されており、いくつかを抜粋コメントします。

結局、カロリー制限の効果を雄弁に物語る結果が得られる。被験者の体に認められた変化が、カロリー制限で長生きさせたマウスのものと酷似していたのだ。具体的には、体重が減る( 15 ~ 20%)、血圧が下がる( 25%)、血糖値が低下する( 21%)、コレステロール値が減少する( 30%)などである

私も最近半年くらい8kgほど減量しましたが、LDLコレステロールや内臓脂肪などの数字も劇的に改善し、体型も整ったし、カロリー制限は日常的にした方がいいなと思っています。といっても、いろいろ試して自分の身体にあったものはきちんと食べるようにしているし(炭水化物も米はOK)、チートデイ的に好きなものも食べることも週何度かあります。それでも月1kg以上は減量していってます。

理想の運動強度はどれくらいか  とはいえ、気楽にウォーキングするのとそれなりの速さで走るのとで、違いがまったくないわけではない。長寿遺伝子の力を余すところなく発揮させるには、強度は間違いなく大事になる。メイヨー・クリニックの研究チームは、いくつかの年齢集団において異なる種類の運動の効果を調べた。すると、プラスの健康効果をもつ運動形態はいくつもあったが、健康を増進する遺伝子を一番多く活性化したのは「高強度インターバルトレーニング( HIIT)」だった。これを行なうと、心拍数や呼吸数が著しく上昇する。高齢の被験者ほど、 HIIT による活性化効果が大きかった

私はHIITではなく、筋トレをトレーナーについて毎週1h×3やるようにしていますが、筋肉量を増やすことで基礎代謝をあげることができるので、食べるのが好きなひとには筋トレがよいと考えています(減量でここ半年は筋肉量は体組成計では微減してますが、各種トレーニングの重量や基礎代謝は伸びてます)。ランニングや水泳などの有酸素運動だと、カロリー消費効果は高くても、原則的に基礎代謝が増えたりはしないので。

メトホルミンの素晴らしいところは、いくつもの病気に影響を与えることだ。 AMPK を活性化させる力により、 NAD の濃度を上昇させ、サーチュインのような老化への防御機構全体を始動させる。病気の 上流 でサバイバル回路を働かせ、エピゲノムの情報が失われるのを顕著に遅らせ、代謝を抑えることで、あらゆる器官が若く健康でいられるようにするのだ。

私は毎日、一般の人たちから「 NR と NMN ではどちらの効果が高いですか?」と訊かれる。 NMN は NR より安定しており、マウスの実験では、 NR を使った場合には見られない健康効果が NMN には確認されている。ただ、マウスの寿命を延ばすことが実証されているのは、前述の通り NR だ。 NMN については試験を進めている最中なので、決定的な答えは出ていない。少なくとも今は

メトホルミンとNMNは試してみてもよいのかもしれないなと思い、とりあえずNMNを飲み始めています。

2016 年、ノーベル賞受賞者 100 人あまりが公開書簡に署名し、遺伝子組み換え作物を承認するよう各国政府に要求した。「世界中で貧しい人々がどれだけ命を落とせば、これを『人道に対する罪』とみなしてくれるのか」。書簡はそう訴えていた。気候変動に関しては、私たちにどうこうできる余地はないかもしれない。しかし、今より 10 億多い人々にもっと栄養のある食物を提供することなら、私たちにも打つ手はある。

アメリカで LED が普及すれば、非常に大きな節電効果が期待される。 2027 年までに節約できる電力は、大型発電所 44 基分の年間発電量に相当する。金額にして年間 300 億ドルあまりだ

これは世の中全体ですが、世の中には絶対にやった方がよいのに進まないことが結構あります。個人としても社会としてもより一人ひとりが自分のよいと思うことをやっていくことが重要なのだなと思います。