2021振り返り+本ベスト5

↑オスロ(ノルウェイ)の海上サウナ。この後我々もダイブしました

2022年、あけましておめでとうございます!

2021年は「足るを知る」をテーマにしていました。

「足るを知る」は老子の言葉で、「身分相応に満足せよ」という意味とも言われますが、僕は、前後の文脈から、もっと積極的に「満足することを知れば、周囲への感謝と共に、本来の自分を知り受け入れることができる。そうすればやりたいことへの努力を続けながら自らに打ち勝ち、豊かな人生を送ることができる」というような解釈をしています。

様々なことがありましたが、今までやってきたことを前進させると同時に、新しいことへのチャレンジもできた素晴らしい一年だったと思います。そのこと自体が本当に運がよく、周りに助けられた奇跡だなと、満足と感謝をしています。私に関わっていただいた方、ありがとうございました。

メルカリとしては、コロナ影響の2年目ということで、YoY(年間成長率)で見ると、厳しい局面もあったものの、プロダクトとしても組織としても着実に成長した一年でした。特にメルカリShops(ソウゾウ)、メルコイン、メルロジ、メルワーク、パ・リーグ Exciting Moments β(パ・リーグさん競業NFT)のような会社やプロダクトを仕込めたのはすごくよかったなと思います。新しい人事制度やD&I Counsil、ニューノーマルワークスタイル「YOUR CHOICE」、ESG委員会などを導入することで会社を大きくアップデートできましたし、テックカンパニーとしてもデータ基盤が整ってきたことでAIプロダクト化も進みました。

ただやることが増えたこともあり、Codecovによる個人情報流出事案のような問題にも繋がったこともありました。ご迷惑をおかけし、大変申し訳ありませんでした。身の丈を知り、守りと攻めのバランスを取る必要性も痛感し、対応を進めています。

引き続き、海外展開も含めてチャンスは非常にたくさんあるので、短期的な利益ではなく中長期的な将来利益最大化を目指して守りにも攻めにもどんどん投資していきたいと思います。

メルカリ以外では、山田進太郎D&I財団を開始したのが大きかったです。非営利団体という営利企業とは違うロジックで動く組織を作り、一方でインターネット企業で培ったオンラインを最大限活用し、エンジニアリング的思考でアジャイルに経営していくスタイルをどう非営利の世界で活かせるのか、ということを試行錯誤しています。まだ始めたばかりで、分からないことだらけですが、多くのひとの助けていただきながら、中長期で取り組みインパクトを出していきたいと思います。

2021年は、コロナになってからはじめて海外に行きました。様々なひとと話したり、新しい都市を見て廻るだけで、大きな刺激を受けましたし、新しい体験からたくさんの発想も得られて、自分にとって「旅」は本当に大切なものなのだと改めて認識できました。期せずしてオミクロンの感染拡大もあり、予定も変わり、6日間のホテル隔離などの苦しい体験もしましたが、それでもこれからももっと海外に行くべきだと決意しています。

プライベートでは、コロナ後の不摂生な生活を改め、筋トレをして基礎代謝をあげ、自分にあった食事を見つけて無理なく減量をすることで、LDLコレステロールや内臓脂肪などの数字が劇的に改善しました。健康になったことで、集中力も増し、仕事の質は高まっていると感じています。ここはサウナの趣味化も影響していると信じてます(ここは正当化したいとこ笑)。

2022年のテーマは「やりたいことをやる」にしようと思います。今年私は45歳になりアラフィフになります。年齢はそんなに気にしていませんし、「ライフスパン」であったように老化の研究が進み寿命は劇的に伸びる可能性もありますが、それでも健康である時期がどのくらいあるか、その間に何をやりたいのか、を真剣に考える年頃になったのかなと思ってます。自分にとって大切なことは何なのか、家族や友達とも一緒に考えて、やりたいことは先送りせずに今年中にやれるだけやろうと思います。

引き続き、2022年もよろしくお願いいたします!

以下で、恒例の2021年に読んだ本ベスト5を紹介します。今年はあまり本を読めなかった印象があり、エントリも少なめでした。しかし生活や考え方を変えたなと思う本もいくつもあり、今年はもっと読もうと思います。

第5位 大成功事例としての「インスタグラム:野望の果ての真実」

FacebookのInstagram買収は大成功事例ですが、中ではいろいろな葛藤が合ったことが赤裸々に描かれています。個人的にも売却する側、買収する側、様々経験していますが、身につまされる話も多く非常に勉強になりました。

第4位 知らないことばかりの「睡眠こそ最強の解決策である」

新しい記憶を脳に刻みつけるうえで、深い睡眠が重要な役割を果たすということは、この実験を始める前からすでに解明されていた。そこで私たちは、この事実を踏まえたうえで、高齢者の脳の研究にひねりを加えることにした。  就寝する数時間前に、被験者の高齢者のすべてがいくつかの新しい情報を学習し、その直後でテストを受け、どれぐらいの新情報が定着したかを判定する。その日の睡眠の脳波をとり、そして翌朝、また前の晩と同じテストを受ける。2度目のテストで判定するのは、睡眠中にどれだけの新情報を維持できたかということだ。  テストの結果、高齢者は若い人に比べると、睡眠中に維持できる新情報の量がかなり少ないことがわかった。その開きは 50%にもなる。それに加えて、 高齢者は深い眠りが少なくなるほど、寝ている間に失われる記憶も増える ということもわかった。高齢になって眠りが浅くなり、物忘れが激しくなるのは、無関係な現象ではなかったということだ。

歳を取ると健康に関心が出てきますね。。睡眠について分かっていることが様々な研究結果とともに解説されています。知ることでより良質な睡眠をとる重要性も分かりましたし、本書によって生活スタイルもいろいろ変わったという意味で、影響が非常に大きかった一冊です。

第3位 老化を病気と考える「ライフスパン」

結局、カロリー制限の効果を雄弁に物語る結果が得られる。被験者の体に認められた変化が、カロリー制限で長生きさせたマウスのものと酷似していたのだ。具体的には、体重が減る( 15 ~ 20%)、血圧が下がる( 25%)、血糖値が低下する( 21%)、コレステロール値が減少する( 30%)などである

現在の「老化」に対してどういった研究が行われていて、どのような可能性があるのかを書いています。今後、健康寿命が飛躍的に伸びる可能性は高く非常に希望が持てました。とりあえず節食は基本中の基本なので、今年も続けていきたいと思います。

第2位 ビル・ゲイツの取り組み「地球の未来のため僕が決断したこと」

ビル・ゲイツがカーボンゼロへの見方と彼らが財団などを通じて行っていることを噛み砕いて書いています。全体感を把握するには非常によいのと、あくまでイノベーションに投資をするという非営利団体のスタイルには大変感銘を受けました。

第1位 リベラルへの痛烈批判「実力も運のうち 能力主義は正義か?」

一見すると、経済的成功をめぐるロールズの非能力主義的な考え方は、成功者には謙虚さを、恵まれない人びとには慰めをもたらすはずだ。それはエリートにありがちな能力主義的おごりを抑制し、権力や資産を持たない人たちが自尊心を保てるようにするに違いない。私が、自分の成功は自分の手柄ではなく幸運のおかげだと本気で信じていれば、この幸運をほかの人たちと分かち合う義務があると感じる可能性が高いだろう。  こんにち、こうした感情は不足している。成功者の謙虚さは、現代の社会・経済生活において目立つ特徴ではない。ポピュリストの反発を誘発した要因の一つは、労働者のあいだにエリートに見下されているという感覚が広がっていることだ。それが事実であるかぎり、現代の社会保障制度が、正義にかなう社会というロールズの理念に達していないことを示すものだろう。あるいは、平等主義リベラリズムは結局のところ、エリートの自己満足をとがめていないことを示唆しているのかもしれない。

NHK『ハーバード白熱教室』などのマイケル・サンデルが、能力主義の弊害を説き、道徳の重要性を説いています。個人的には道徳でどうにかなるかは分かりませんでしたが、能力主義といういま当たり前の価値観を揺さぶられ、現代の社会の分断を見るにつけ、新しい価値観が必要とされているのだと気づけました。

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