PayPal創業者による起業講義「ゼロ・トゥ・ワン」

PayPal創業者であり、Facebook、LinkedIn、Yelpなどの初期投資家でもあるピーター・ティールの主に起業についての著作。非常に深く、示唆に富んでいて面白かったです。正直言って、まだ咀嚼できてない部分もありますが、いくつか抜粋コメントしてみます。

ほとんどの人はグローバリゼーションが世界の未来を左右すると思っているけれど、実はテクノロジーの方がはるかに重要だ

これまで富を創造してきた古い手法を世界に広めれば、生まれるのは富ではなく破壊だ。資源の限られたこの世界で、新たなテクノロジーなきグローバリゼーションは持続不可能だ。

これは本当にそうで、グローバリゼーションは不可避なのは確か。しかし、その結果がどうなるかについてはテクノロジーの進歩によって決まると。これを忘れないでテクノロジーをどう進化させて、何をするかを考えていく必要があります。

未来はどうなるかわからないという考え方が、何より今の社会に機能不全をもたらしている。本質よりもプロセスが重んじられていることがその証拠だ。具体的な計画がない場合、人は定石に従ってさまざまな選択肢を寄り集めたポートフォリオを作る。

彼らの世代は、偶然の力を過大評価し、計画の大切さを過小評価するよう、子どもの頃から刷り込まれてきたということだ。

ここでいう計画とは、こうなるはずだという強い意思のもとに物事を推進することです。確かに成功者は計画をもって「分からない」人には見えなかった未来を築いてきています。僕もこうなるであろう未来に計画的に近づいていっているつもりです。

時間と意思決定もまたべき乗則に従い、ある瞬間がほかのすべての瞬間よりも重要になる。べき乗則を否定して正しい判断を下すことはできないし、いちばん大切なことはたいてい目の前にはない。それが隠れていることもある。それでも、べき乗則の世界では、自分の行動がその曲線のどこにあるのかを真剣に考えないわけにはいかなくなる。

過去の経験からしてもある瞬間の決断がそれ前後の数年間で一番重要です。しかし、今がその瞬間なのかは分からないことが多い。だから常に今がどれだけ重要な瞬間かを考えて緩急をつけながらも、基本的にはベストを尽くすしかないと思ってます。

自然が語らない真実は何か? 人が語らない真実は何か?

人間についての隠れた真実はあまり重要だと思われていない。人の秘密を明かすのに立派な学歴はいらないからだろう。人々があまり語ろうとしないことは何か? 禁忌やタブーはなんだろう?

はっとしたのですが、自然についての真実を探すのは天才の仕事ですが、人間についての真実はむしろ普通のひとの方が気付くことが多い(なぜなら普通の感覚を持っているから)。自然の真実、人間の真実と考えることで、普通のひとにもチャンスがあるという意味で世の中はなんて公平なんだと思いました。

<抜粋>
・ほとんどの人はグローバリゼーションが世界の未来を左右すると思っているけれど、実はテクノロジーの方がはるかに重要だ
・これまで富を創造してきた古い手法を世界に広めれば、生まれるのは富ではなく破壊だ。資源の限られたこの世界で、新たなテクノロジーなきグローバリゼーションは持続不可能だ。
経済理論が完全競争の均衡状態を理想とするのは、モデル化が簡単だからであって、それがビジネスにとって最善だからじゃない。
競争は価値の証しではなく破壊的な力だとわかるだけでも、君はほとんどの人よりまともになれる。
・彼らの謙虚さはおそらく戦略的なものだ。連続起業家が世に存在するということは、成功が単なる運とも言い切れない。(中略)成功がほぼ運によるものだとしたら、こうした連続起業家はおそらく存在しないはずだ。
・未来はどうなるかわからないという考え方が、何より今の社会に機能不全をもたらしている。本質よりもプロセスが重んじられていることがその証拠だ。具体的な計画がない場合、人は定石に従ってさまざまな選択肢を寄り集めたポートフォリオを作る。
・彼らの世代は、偶然の力を過大評価し、計画の大切さを過小評価するよう、子どもの頃から刷り込まれてきたということだ。
・盤石な計画を持つ意思の固い創業者にとってはどんな価格でも低すぎるので、会社を売却することはない。
未来をランダムだと見る世界では、明確な計画のある企業はかならず過小評価されるのだ。
起業は、君が確実にコントロールできる、何よりも大きな試みだ。起業家は人生の手綱を握るだけでなく、小さくても大切な世界の一部を支配することができる。それは、「偶然」という不公平な暴君を拒絶することから始まる。人生は宝クジじゃない。
・重要なのは「何をするか」だ。自分の得意なことにあくまでも集中するべきだし、その前に、それが将来価値を持つかどうかを真剣に考えた方がいい。
べき乗則のもとでは、企業間の違いは企業内の役割の違いよりもはるかに大きい。
・あえて起業するなら、かならずべき乗則を心にとめて経営しなければならない。いちばん大切なのは、「ひとつもことが他のすべてに勝る」ということだ。
・時間と意思決定もまたべき乗則に従い、ある瞬間がほかのすべての瞬間よりも重要になる。べき乗則を否定して正しい判断を下すことはできないし、いちばん大切なことはたいてい目の前にはない。それが隠れていることもある。それでも、べき乗則の世界では、自分の行動がその曲線のどこにあるのかを真剣に考えないわけにはいかなくなる。
・隠れた真実の存在を信じ、それを探さなければ、目の前にあるチャンスに気づくことはできない。フェイスブックも含めて多くのインターネット企業が過小評価されるのは、それがあまりに単純なものだからで、それ自体が隠れた真実の存在を裏づけている。振り返ればごく当たり前に見える洞察が、重要で価値ある企業を支えているのだとすれば、偉大な企業が生まれる余地はまだたくさんある。
・自然が語らない真実は何か? 人が語らない真実は何か?
・人間についての隠れた真実はあまり重要だと思われていない。人の秘密を明かすのに立派な学歴はいらないからだろう。人々があまり語ろうとしないことは何か? 禁忌やタブーはなんだろう?
・競争は資本主義の対極にある。
優秀な起業家は、外の人が知らない真実の周りに偉大な企業が築かれることを知っている。偉大な企業とは世界を変える陰謀だーー隠れた真実を打ち明ける相手は、陰謀の共謀者になる。
・コンサルタントを雇っても無駄だ。パートタイムの社員もうまくいかない。遠隔地勤務も避けるべきだ。仲間が毎日同じ場所で四六時中一緒に働いていなければ、不一致が生まれやすくなる。君が誰かを雇うなら、フルタイムか、雇わないかの二者択一でなければならない。