アップル製品のこだわりを知る「ジョナサン・アイブ」

アップルの近年の製品のデザインをリードしてきたジョナサン・アイブについて丹念に追った作品。最初の辺りが冗長だが、後半はアップル入社後にどのようにチームができていき、復帰したジョブズと関わり、iMac、iPod、iPhone、iPadなんかがデザインされていったのかなどが克明に描かれており、非常におもしろかったです。

とにかくこだわりがすごい。このくらいのこだわりでもってプロダクトを作っていきたいと思いました。

<抜粋>
・アメリカの教育制度が企業への就職を目的にしていたなれば、イギリスのデザイン教育は、情熱を追求し、情熱を核としたチームを築くことを奨励していた。
「違うものを作るのは簡単だが、いいものを作るのは難しい」 ーージョニー・アイブ
・(ジョブズが戻ってきて)「スティーブが、僕らの目標は金儲けではなく、偉大な製品を作ることだと宣言したんだ。その哲学があれば、これまでとは根本的に違う判断を下すはずだと思った」。ジョニーはのちにそう語っている。
・「デザインが差別化の手段だと思っている人が多すぎる。全く嫌になるよ。それは企業側の見方だ。顧客や消費者の視点じゃない。僕たちの目標は差別化じゃなくて、これから先も人に愛される製品を創ることだとわかってほしい。差別化はその結果なんだ」
・「フォーカスグループはやらない。アイデアを出すのはデザイナーの仕事だから」とジョニーは言う。「明日の可能性に触れる機会のない人たちに、未来のデザインについて聞くこと自体が的外れだよ」
・その時点で携帯電話には数曲しか入らなかったが、そう遠くないうちに、だれか、おそらくライバル会社がふたつのデバイスをひとつにすることは目に見えていた。
現在のデザインの前線はハードウェアではなくソフトウェアなのだ。
ジョブズはいつも、集中とはイエスということではなく、ノーということだと語っていた。ジョニーの指導のもと、アップルは「そこそこいい」ものであっても「偉大な製品」でなければ却下することを激しく自分たちに課している。