ニコニコ動画が未来をつくる ドワンゴ物語/佐々木俊尚

(本書は献本いただきました。献本、ありがとうございます)

タイトルにはニコニコ動画とありますが、ニコニコ動画は最後の1/4くらいにならないと出てきません。どちらかというとニコニコ動画の親会社のドワンゴという会社のなりたちから現在までのドキュメントといった感じでしょうか。ドワンゴは一般的には「いろメロミックス」で知る人ぞ知る会社かと思いますが、インターネットの仕事をやっているとドワンゴ出身の方(エンジニアが多い)によく会います。ちょっと一癖二癖ある方が多いという感じがしてましたが(いい意味で)、この本を読むとおもしろいひとがたくさんいる/いた会社なのだなぁというのが分かります。

<抜粋>
・(Jong Pluggedという麻雀ゲームについて)とはいえ、運用はSo-netの側で、ドワンゴはアプリケーションの開発をしたにすぎない。運用側がさまざまな新しい企画を立てるのに合わせてアプリケーションを改造するのだが、そのたびに契約書を作り直さなければならず、手続きが実に面倒だった。おまけにしょせんドワンゴは受託開発先でしかないから、運用に口を出すわけにはいかない。「もっとこんなふうに運営すればおもしろいのに」と戀塚はあれこれアイディアを思いついたが、そうしたアイデアはJong Pluggedではあまり生かされないままに終わった。 この時の経験が、戀塚に「やっぱり開発と運営は一体じゃなきゃダメだ」という強い思いを抱かせることになる。
・この「釣りバカ気分」は、アプリケーションにリアルタイム性を持ち込む最初の導火線となったのと同時に、ドワンゴがケータイという新たなパラダイムを突破口にしてサービス運営企業へと自身のよりどころを少しずつ切り替えていく大きな契機にもなった。 釣りバカ気分は、本当に大当たりした。月額300円と有料だったにもかかわらず、あっという間に5万人近い会員数にふくれあがった。
・全部で700曲しかないラインナップなのに、うち150曲は浜崎あゆみとDragon Ash! でもこれはものすごいマーケティング効果をもたらした。いろメロミックスをスタートさせてみると、 「こんなに曲数が少ない着メロサイトは初めてだ」 というクレームも少なくなかったが、それ以上に、 「こんなに曲が充実している着メロサイトは初めてだ」 という感想が圧倒的な数で返ってきたのである。
・いろメロミックスは、怒濤のように進撃していた。 着ボイスのテレビCMが驚くほどの効果をもたらしたからである。あっという間に着メロ上位グループの競合たちを抜き去り、いろメロミックスを着メロ業界トップに押し上げてしまったのである。売り上げは10倍に増え、月間15億円にまで伸びた。
・既存の着メロサービスが着うたフルを配信する場合、いったいどのぐらいの金額を原盤を持っているレーベルに支払うべきなのか。 MIDIの着メロ時代にJASRACに支払っていたのは、配信料の7%前後である。この比率に近い数字として、着メロ企業の側は10〜20%前後を主張した。 しかしメジャーレーベルが提示したのは、50%だった。(中略)メジャーレーベルは結束して反攻に打って出た。共同で設立していた着うた配信サービス「レコチョク」に着うたフルを1本化し、レコチョク以外にはいっさい著作権使用を認めないという姿勢を打ち出してきたのである。(中略)慌てた着メロ業界は、 「著作権使用料は50%以上でもかまわない。だからわれわれにも原盤を使わせてくれ」 と求めたが、レコチョクで成功していたレーベルの側はもう交渉には応じなかった。
・ドワンゴは、ビジネスでは完全に行き詰まっていた。 川上はダウンタウンのCMを作ったのを最後に仕事へのやる気が失せ、囲碁に熱中していた。(中略)毎日必ず5回対局し、囲碁の本を読んで勉強している時間も含めればおそらく1日6時間近くは囲碁に費やしていた。

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