良質な起業ストーリー「GILT(ギルト)」

NY発のフラッシュセールサイト「GILT(ギルト)」を運営するGilt Groupeの創業物語。素晴らしいチームがものすごいスピードでスタートアップを立ち上げ、成功していく様子を丁寧に追った良質なドキュメンタリーです。

一方で、一見完璧そうな経営メンバーであっても、数々の失敗をし、しかしそれからすばやく学び、激務や激しいストレスにさらされ一時休養する姿なども描かれていて、起業家として共感を覚えました。

外からはうまく行ってるように見えても、日々何かしらが足りなくて、焦りながら、とにかく自分たちにできることをできる限りの猛スピードでやっていくしかないというスタートアップの現実が見事に描かれていると思います。

後、個人的にやろうとしているのがコマース分野ということもあって非常に勉強になりました。これくらいのスピード感でやっていきたいものです。

<抜粋>
・ウェブサイトで男性消費者を惹きつけるためには、ブランディングとサイトのデザインははっきりと男性を意識したものにしなくてはならない、そのためには名称も男性的であるべきだ、とアレクシスは信じていた。
・「どの名前が一番好きか?」と「それぞれの名前からどんなことを連想するか?」の二つの質問を出した。また回答者には候補サイト名が書いてあるページを見ないで記憶に残った名前をつづってもらい(あとで名前をどれくらい覚えているか、また正確につづれるかを確かめるため)、一番好きなものから順位をつけてもらった。
・私たちはさんざん話し合った結果、ギルト・グループで紹介する服(ファッション業界では既製服と呼ぶ)はすべて、モデルに着せて撮影する、と決めた。直感でそのほうがいいと決め、やめたほうがいい合理的理由を無視した。それがどれほどたいへんなことか、わかっていなかった。
・投資家の力を借りることを先延ばしにして、自分の力で収益を100万ドルから300万ドルに上げる、もしくはせめて収支がとんとんになるまで持っていこうと四苦八苦しているうちに行き詰まった起業家を、私たちは数多く見てきた。
・私たちは、ギルトを知った顧客が友人たちにどんどん話したくなるはずだ、と期待していた。なぜなら、人に教えることでいわゆる「利他的報酬」が生じるからだ。利他的報酬とはこの場合、友人にバーゲン情報を教えるという利他的で新設な行動が、教えた人にももたらす満足感を指す。
・友達の誕生日ディナーやブランチに招待されると、私たちは紙に印刷したギルト・グループの招待状をひと束抱えていった。また誰に宛てたメールでも、必ず会員登録サイトへのURLを張り、招待メールを周囲の人たちに担送してほしいと依頼した。
・こういった会員たちと直接交流した後、さらに購買額が伸びることに再び私たちは気づいた。お気に入りのデザイナーの商品を買いまくるファッショニスタから、私たちの成功に個人的に関心を持っている「友人」へと変わることで、顧客の購買行動にも変化が見られる。
・マイクとフォンは、技術開発部門での志望者に1時間の筆記試験を受けさせる(試験内容は、Gilt.com/techに掲載されていた)。面接をより効率よく進めるためだ。志望者はオフィスに面接に来る前に試験を終えておく。筆記試験の目的は、仕事のスピード、経験と技術スキルを判断するためだが、「思わず『え、何これ? この試験で何が見たいんだかさっぱりわからない』とポロリと本音をもらす人がいる。試験をするのは、スキルよりむしろそういうところで人柄を見るほうが大きいかもしれない」とマイクは言う。
・「そのためには、業界で評価の高い会議のスポンサーになり、そこで講演することが必要だった:とマイクは説明する。ギルトの技術部門は「ギルト・テクノロジー」というブログまで開設し、エンジニアとして働いているギルトの従業員の質の高さを示し、取り組んでいる仕事がどれだけやりがいがあるかを紹介している。マイクは言う。「そうやってアピールするうちに、ギルトで働きたいと言ってくる人のタイプが変わってきた。私たちがやっている仕事に興味がある、一緒にその仕事をしたい、と言う人が増えたんだよ。ギルトで働く人たちがかっこよく見えて、自分も仲間入りしたいと思うようになった」
・「最高のエンジニアは職探しなんかしない。人生で1回も採用面接に行ったことない人が大半なんだ」
・自分たちが採用した人たちが、創業チームと似たようなタイプばかりであることを私たちは発見した。おっと、これは問題だ。これでは組織としてバランスが悪くなる。その上、アレクシス、マイクとアレクサンドラ、そしてケビンはマイヤーズブリッグスの性格テストで、全員同じタイプと診断された。
・ブランドパートナー以外の第三者との取引は、ブランドから書類で同意書をもらえたときだけにする。たしかにこの決断によって、私たちのような急成長企業はもっとむずかしい立場に追い込まれるだろう。しかし、この決断を悔やんだことは一度もない。
・CEOになってからも、アレクシスは好んで10センチヒールを履き、女らしい服装を貫いた。だが、彼女は伝統的に男性的とされてきた特徴も持っている。それが彼女のリーダーシップのスタイルをユニークなものにしている。
・アレクシスはみんなから好かれなくても気にしない。人に嫌われても決断を通す勇気は、真のリーダーにとって重要な資質だ、と彼女は信じている。アレクシスが事業の成功のためなら、どれほど反対が多くても自分の意見をタフに押し通す姿に、アレクサンドラはいまだに感嘆する。
・ギルトのチームを築いていく中で、自分が決めた採用のミスも躊躇なく認めた。たとえスキルがある人でも、企業文化に合わない(もっと悪いことに、周囲に悪影響を及ぼしかねない)と見ると、チームから「取り除いた」。急成長を遂げる会社にあることだが、ギルトも採用に関してよくミスを犯した。
・いい意味で、私たち全員が驚いた発見がある。それは、面と向かって率直に意見を言っても、案外人は平気なのだ、ということだ。そして人は誰もが、真剣に他人の話に耳を傾けるのだ、ということも発見した。たとえ「自分を変えろ」という手厳しい意見を言われても、人には真摯に受け止める用意がある。
・アレクシスが悩んでいることは、アレクサンドラでさえほとんど気づかなかった。従業員に自分が抱えているストレスを見せないように彼女は気を配っていた。リーダーの態度はチームにもろに影響する。リーダーが他人を批判的に見る傾向があったり、仲間に過剰な競争意識を持ったりすると、社員も同じように振る舞うようになる。アレクシスは、リーダーとしての最高の資質は、冷静さ以上に首尾一貫していることだと信じている。
・(スーザン・リンからのトップに立つ人へのアドバイス)怒りを感じたときには絶対に人と話さない 「大きく深呼吸して、むずかしい話ができる準備が整うまで気持ちを落ちつけなさい」とスーザンはアドバイスする。「『明日お話しましょう』と言って、話をいったん打ち切ること。そして準備する。誰かと厳しい話をしなくてはならないとわかったら、私は必ずメモを用意することにしている」
・(続)「私はこれまでの人生で、いったい何回、『とんでもないことをしでかしてしまった。もう終わりだ』と思ったかわからない。でも、一生懸命働き、かなり能力もある人が下す決断は、いいことが悪いほうを上回るもの。1回のミスが致命的になることはない。そう思うようになってからは、失敗を悔やんで眠れない夜はなくなった」。失敗から立ち直るためには、いさぎよく失敗を認め、どうすれば取り戻せるかをすばやく説明し、そして行動することだ、とスーザンは言う。
・ミッキーはいきなり受話器をつかみ、内線で社内に呼びかけた。J・クルーのオフィス中に聞こえる車内放送で、ミッキーがそんなふうにしょっちゅう呼びかけているのはあきらかだった。(中略)「ヘイ、今、俺はギルトとかいう会社の人と話をしているんだが、何か知っているか? そうだ、ギルト・グループだ。聞いたことがあるやつは俺まで電話しろ」
・ギルトのニュースは数時間のうちに数百万の日本人に伝えられ、5万2000人が会員登録した。記者会見の模様はその夜と翌朝の5つのニュース番組で取り上げられ、新聞6紙が報じた。

GILT(ギルト)――ITとファッションで世界を変える私たちの起業ストーリー

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