@cosme 運営のアイスタイルの創業者吉松さんによる起業物語。吉松さんとはもうたぶん25年くらいの長い付き合いがありますが、ほとんど仕事の話はしないので、初めて知ることばかりでした苦笑
経営とは何か。 その答えはまだわかりませんが、二五年間経営に携わってきて、もしかしたらそれは「サバイブする力」ではないかと感じています。 負けずに生き延びること。これこそが最も重要です。 「生き延びる」というのは、会社を無理に存続させるという意味ではありません。信念を貫き事業を成長させ続けるために「死なせない」という覚悟。 生き延びることさえできれば、次の手を打つことができます。それこそが経営者の使命です。 では、どのようにサバイバル力を高めればいいのか。 時代も環境もめまぐるしく変化する中で、過去の戦略や戦術がこの先も通用するわけではありません。結局は経営者が自分の頭で考え、自分の信じる方向へ、毎日一歩ずつ積み重ねていくしかないのです。
最初に、とにかく生き延びることの重要性が語られて、それから@cosmeがつぶれそうになった話が10章分語られます。投資家とのトラブル、創業者の対立、リアル店舗進出、上場延期、COO交代、コロナ倒産の危機などなど。
まさに日本版「HARD THINGS」で、こちらも胃が痛い。。毎回なんとかサバイブするのが、すごいです。
ただ本人と話をしても、全然そんな悲壮感はなく、ひょうひょうとしていて、常にポジティブに人生を楽しんでいるように見えるのですが、、「HARD THINGS」に慣れてしまったのかもしれないですね。
<抜粋・コメント>
当時、Amazon 本社側とは毎日のように交渉を重ねていた。 GAFAM のような巨大グローバル企業を相手に業務資本提携の交渉をするのは決して簡単なことではない。僕自身がアイスタイルの大株主であり利害関係者になるので、具体的な交渉には参加できない。実際の交渉現場では、CFOの菅原をはじめ経営企画・管理部門のメンバーがずいぶんと苦労した。
Amazonとの長い交渉の裏側が赤裸々に描かれています
「@cosme」なら必ず質の良いクチコミに出合える。そんな信頼を丁寧に積み重ねていくことが僕たちの戦略にとっては最重要だった。 サービスは最初の「型づくり」が命である。神は細部に宿るというが、「@cosme」もリリース当初から細部をつくり込むことに妥協しなかった。 新しいプロダクトをつくるときに最も神経を使うべきなのは「文脈」の設計だ。 ここがどんな場所で何ができて、どんな行動が良しとされるのか。世界観を統一して、文化をつくっていく。ユーザーにわかりやすい文脈を示せば、ユーザーは安心してその文脈に乗ってくれる。 「文脈のメンテナンス」をさぼらず、丁寧に手をかけていくこと。こうした地道な取り組みを続けることでしか、「居心地の良い場所」は維持できない。 こんな説明を当時は、何十回、何百回としていた。それでもまだ、見たことのないサービスに対して世間の理解はなかなか得られなかった。
@cosme のサービス思想。勉強になります
そうして迎えた八月。とうとう社員の給料を一カ月分支払えなくなる事態に陥った。本来なら祝うべき創業一年のタイミングだというのにお先真っ暗。どん底の状態だった。 当時の社員はアルバイトを入れて一五人前後だったと思う。みんな、「@cosme」の可能性を信じて安定した職を捨てて集まってくれた友人たちだ。 僕は申し訳ない気持ちでいっぱいで、悔しく、情けなかった。 ある日、「これからどうしようか」と腹を割って話し合ったことがある。すると、みんなの結論は一致して、「やめない」という選択肢を選んでくれた。
資金調達絡みの話はしんどいですね。エンジェル投資家に救われた話は大変興味深かった。。
時には、メンバーのこんな悲鳴を聞くこともあった。 「これまで苦しい思いをして頑張ってきてようやく利益が出て。今のままで十分じゃないですか。どこまで頑張らないといけないんですか?」 だが、僕は戸惑っていた。 「本番はここからなんだけどな……」 もちろん、これまで苦労してきた仲間の気持ちもわからなくはない。「@cosme」というクチコミサイトだけを運営するのなら、もっとゆるやかに成長しても問題はない。
初期メンバーとのすれ違いはありますね。というか、初期メンバーに限らず、どんなタイミングであっても。。100%みんなが満足するなんてことは永遠にない。それでも進む方向を示して、進んでいかなければならないのが経営ですね。