生命保険のカラクリ/岩瀬大輔

(本書は献本いただきました。献本、ありがとうございます)

何となく大手生命保険はあまりお得でないのだろうなと思って、独身ということもあって共済くらいにしか入ってないのですが、この本を読んだら、それも必要ではないのかもしれないという気がしてきました。本書によると、

・平均的な医療保険給付金では1件あたり14万〜25万円となり、その保険料は年間5万〜6万円
・がんなどになっても国の高額医療保険制度により月11〜12万+差額ベット代に収まる
・医療保険では60日までしか保障されない。

ということになるらしい。つまりは最大でも数十万程度しかもらえない保険に毎年6万円払うのが医療保険ということのようです。正直全然理解してなかったのだということに愕然としました。はっきり言って、数十万程度なら貯金はありますし、先日人間ドッグで10万円近くかけたのですが、むしろ毎年それをやって致命的な病気の早期発見につとめた方がいいのではないかという気がしてきました。

その他、生命保険会社の仕組みや抱えている問題など、よく分かって非常に興味深いです。岩瀬さんはまさに今、ライフネット生命保険という会社を作って、生命保険業界へ挑戦しているいわばインサイダーですが、問題だらけの業界に対してよりよくしていこうという想いが伝わって来ました。岩瀬さんとは少ししかお話させていただいたことはありませんが、これからも期待したいなと思いました。

ライフネット生命保険

<抜粋>
・この分析によれば、典型的な定期保険(かけ捨て型の保険)について、全体の35〜62%までが保険金の支払いではなく、生命保険会社の経費や利益に充てられていることが分かる。
・一連の不払い問題が起きた理由は、表面的には支払管理態勢が不十分だったことにある。しかし、より本質的には「販売至上主義」と、生保のカルチャーとしての「顧客軽視」があったと考える。
・すべての国民は、手厚い保障を提供する医療保険にすでに加入している。国が運営する、健康保険である。民間の保険会社が提供する医療保険は、あくまでも健康保険で不足する部分を補完する、副次的な保険に過ぎない。
・大きな病気にかかってしまったときに、実際にどれくらい自己負担費用がかかるのだろうか? 実際には、ほとんどのケースにおいて、医療費の自己負担額はそれほど大きくない。「高額医療保険制度」という制度のおかげである。この制度によって、自己負担額には上限が設けられている。標準的な所得層の人であれば、ひと月当たりの自己負担の上限は10万円弱である。したがって、何百万円という医療費が仮にかかったとしても、原則としてひと月当たりは10万円前後でおさまる。