日本の強みと弱み「エンタメビジネス全史」

全史というにふさわしく、まさに日本のエンタメを網羅的にカバーしていて、非常に勉強になりましたし、大変おもしろかったです。

エンタメ/コンテンツ/遊びは元来、子供向けのものではない。エンタメは「大人」こそが熱狂してきた領域で、実は「子供」が消費者として対象になっていったのは、日本では大正時代、欧州や北米でも 20 世紀に入ってからの話である。大人が興じてきた遊びが、思考のトレーニングや社会の予行演習になる、もしくは子供向けだからこそ消費・市場が伸びるということで、あとから子供向けに作り替えられたのである。

そもそも子供に教育を与えて、社会全体の生産性を高めようという発想自体が近代に入ってからのものであり、それ以前は子供といえども労働力でしかなく、〝未熟な大人〟として数えられるような時代が一般的であった。子供が労働力であった時代は、彼らは遊びも教育も与えるべき対象ではなかった。

そもそもエンタメ/コンテンツ/遊びというのは大人のためだった、というのは慧眼でした。余裕があるのは大人であって、子どもは昔は不完全な労働力であったと。

日本のエンタメは独特の発展をしてきており、国内では一定のシェアを保っています。これは実は世界的に観ると非常に珍しく、音楽や映画では90%以上外国製という国の方が多いです。また、オリジナリティが高いためにポケモンをはじめとして海外でも強いIPがたくさんあります。ただ、スポーツのように圧倒的な差をつけられてしまったものもあり、何がその辺りの差になっているのか、コンテンツの性質や海外事例を含めて書いてあり、大変勉強になりました。

メルカリも鹿島アントラーズというスポーツビジネスをしているので、こういった状況を勘案しながら、勝利する・タイトルを穫るということはもちろん、ビジネスとしてもまだまだ拡大させていきたいなと思いました。