ソーシャルネットワークとは何なのかを知る「ウェブはグループで進化する」

FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアを主にマーケティングとして、どのように使うかについて、様々な研究結果を元に、かなり深い考察を加えています。

個人的には、ウェブサービスを作る側という逆の視点から、非常に興味深く読ませていただきました。

文章は非常に読みやすく、おもしろいので、インターネット・ビジネスに興味のある方になら誰にでもオススメできると思います。

<抜粋>
・(エッツィー)このページにアクセスすると、まずフェイスブックのアカウントと連動させることを求められる。連動させるとフェイスブックの友人が表示されるので、そこからプレゼントを贈る相手を選ぶ。するとその相手がどんなものに「いいね!」ボタンを押しているのかを分析して、エッツィー上の商品を並べ替えてくれるのである。あっという間に、友人に気に入ってもらえそうなプレゼントを選ぶのが楽になった。
・「インフルエンサー」の発想を離れ、仲の良い友人たちが形成する小規模なグループに注目し、マーケティング活動を行う時代が始まろうとしている。この変化こそ企業のマーケティング担当者が注目しなければならないものであり、次の10年の中心的テーマとなるだろう。
・多くの場合、近況アップデートには社会的なジェスチャーの意味が含まれ、それに対して「いいね!」ボタンを押したりコメントを投稿したりするのは、内容が本当に気に入ったからというよりも、相手との関係を築くための社会的シグナルを送りたいからなのである。近況アップデートを基点として始まる会話のほうが、近況の内容そのものよりも重要になる場合も多い。従ってマーケティングキャンペーンでは、コンテンツをシェアしてもらうこと以上に、そこから始まる会話を支援することにも注目しなければならない。
・共有されやすいコンテンツは、内容が肯定的なものや有益な情報を含むもの、驚きを与えるものや面白いもの、もしくは目立つ形で取り上げられているものである。しかしこうした要素よりももっと重要なのが、どれほど感情を刺激する内容であるか、という点なのだ。
研究によれば、人々がソーシャルネットワーキングサービスを使う第1の目的は、すでに強い絆で結ばれている人々とさらに強く結びつくためであり、弱い絆の人々との関係を構築するというのは二次的な目的である。フェイスブック上でユーザーが週に何人くらいの人々とコミュニケーション(カッコ内略)をしているのか調べてみたところ、平均してたった4人という結果が出た。そこで期間を1週間ではなく1ヶ月間に延ばしてみたのだが、それでも平均して6人という結果に終わった。
・人は平均で4から6のグループに属しており、それぞれのメンバーは10人に満たないことが多い(メンバー数の平均は4人である)。同じグループに属するメンバー同士はお互いに顔見知りだが、他のグループに属する人々とは面識がない。
・マーケティングキャンペーンを計画する際には、あなたのメッセージが友人グループの中でシェアされるように、さらにグループ外の友人との間でシェアされるように注意しなければならない。しかし情報が伝わることができる範囲は、起点となった人物から2人の仲介者を介して到達できる人物までであることを理解しておこう。それを理解していれば、最初にできるだけ多くのグループにメッセージを渡しておく必要があると分かるはずだ。
・一般的にソーシャルネットワークには、次のような特徴がある。
 ・最も親しい人々のグループには、5人くらいの人物が存在する
 ・次に親しい人々のグループには、15人くらいの人物が存在する
 ・定期的に会う機会のある人々は50人くらいであり、彼らの近況もほぼわかっている
 ・安定的な関係を築くことができるのは150人くらいが限度である
 ・何となく知っていて名前もわかる、というような「弱い絆」でつながっている人物は500人くらいである
・人は自分が属するグループ(家族や友人グループ、職場、スポーツチームなど)の期待や考え方、行動に添うために、しばしば自分自身の行動を変化させる。そしてそれは無意識のうちに起きることが多い。
私たちはパターンを探し、見いだされたパターンが過去に蓄積されたパターンと一致するかを確認する。そして一致するパターンが見つかると、脳はそれを深く追求するようになり、先入観がさらに強化されてしまうのだ。もし一致するパターンがなければ、それが新しいパターンとして脳に記録される。
・(続き)脳は予想するようにつくられている。予想を立てる能力は、問題解決の基礎になるものだ。記憶は脳の新皮質に蓄積され、次に何が起こるかを予測するために使われる。そして脳は実際に起きたことを観察して、予測との違いを把握し、記録する。何らかの問題を解決しようとするとき、脳は答えを計算して求めているのではなく、単に記憶の中から答えを引き出しているに過ぎない。人の感情が安定せず、常に変化しているのは、脳に刻まれた本能がそうさせているからではなく、感情は無意識からのシグナルだからだ。脳が行う予想の大部分は、私たちの意識の外側で行われている。
私たちは意識できる情報のほうを重視しているが、実は無意識脳には意識脳の20万倍にも達する処理能力がある。(中略)無意識脳は過去の経験や、失敗から学ぼうとし、膨大な過去の記憶に基づいて結論を下す。そして意識脳は、無意識脳が下した結論というインプットを得た上で、直近の短期記憶に基づいて働くのである。
・(続き)社会から受ける影響の大部分は、無意識脳によって処理される。私たちは他人の行動を観察し、そこからかすかな合図を読みとって、何が適切な行動なのかを判断する。しかしこうした判断によって自らの行動を変えたのだと認識することはないだろう。
・自動車を購入する際に人々がどのような判断を行うのか調査したところ、意識脳が使われた場合には全体の25パーセントしか最も良い自動車を選べなかったのに対し、無意識脳が使われた場合には、その割合が60パーセントへと上昇した。
・「いま行なっている行動は誤りだ」などという説得を行なってはならない。行動を変えたくなるモチベーションを提供すれば、意識の変化はあとからついてくる。(中略)ユーザーが投稿に「いいね!」やコメントをつけたり、アンケートに答えたりするのにかかる時間はごくわずかだ。そしてその行動は彼らの友人にも見られるため、過去の行動に合わせたいという欲求が働き、新たな行動を将来も繰り返す確率が高まる。