世界最強のコーチングを知る「1兆ドルコーチ」

世界最強のコーチと言われるビル・キャンベルのコーチングについて、膨大なヒアリングを元に解説しています。結構具体的なのですごく勉強になりました。一方で、ビル・キャンベルのコーチング自体は、彼自身の経験則に基づいた極めて属人性が高い内容だなとも思いました。

彼自身がIntuitで上場企業CEOの経験があり、アップルやグーグルなどの社外取締役もしていたという最先端中の最先端を走ってきているからこそできる芸当だと思いました。また、暴言は多いようで、一方で誰でも彼でもハグする、といったような人間味あふれる天性の明るいところもある。そういった経験やキャラクターが相まって非常に有効なコーチングになっていたと。

素直に真似はできませんが、いずれにしてもマネジメントとコーチングは不可分で、自分のスタイルを見つけていこうと思いました。

以下、抜粋・コメントしておきます。

<抜粋・コメント>

企業の成功にとって、スマート・クリエイティブを生かす環境と同じくらい重要な要素がもう一つある。それは、さまざまな利害をまとめ、意見のちがいは脇に置いて、会社のためになることに個人としても集団としても全力で取り組む、「コミュニティ」として機能するチームだ。

チームが重要=「コミュニティ」として機能するチーム

リーダーシップはマネジメントを突き詰めることによって生まれるものだと、ビルは考えていた。 「どうやって部下をやる気にさせ、与えられた環境で成功させるか? 独裁者になっても仕方がない。ああしろこうしろと指図するんじゃない。同じ部屋で一緒に過ごして、自分は大事にされていると、部下に実感させろ。耳を傾け、注意を払え。それが最高のマネジャーのすることだ

人がすべて どんな会社の成功を支えるのも、人だ。マネジャーのいちばん大事な仕事は、部下が仕事で実力を発揮し、成長し、発展できるように手を貸すことだ。われわれには成功を望み、大きなことを成し遂げる力を持ち、やる気に満ちて仕事に来る、とびきり優秀な人材がいる。優秀な人材は、持てるエネルギーを解放し、増幅できる環境でこそ成功する。マネジャーは「支援」「敬意」「信頼」を通じて、その環境を生み出すべきだ。

マネジャーの仕事は議論に決着をつけることと、部下をよりよい人間にすることだ」とビルは言った。「『この方針で行くぞ。下らん議論はおしまいだ。以上』と宣言するんだ」

マネージャーの仕事

グーグルの取締役会では、ビルは業務報告に詳細な「ハイライト」と「ローライト」を含めるよう、いつもエリックに勧めた。「これがうまくいったことや満足できること」で、「これがあまりうまくいかなかったこと」だという報告だ。 ハイライトをまとめるのはいつでもわけなくできる。チームは成功事例を 見栄えよく見せ、取締役会にアピールするのが大好きだからだ。だがローライトはそういうわけにはいかない。思い通りにいっていない分野を率直に認めさせるには、多少の促しが必要な場合がある。 じっさいエリックは、率直さが足りないという理由で、ローライトの草稿を突き返すことがよくあった。エリックは取締役会がよい知らせと悪い知らせの両方を知ることができるように、偽りのないローライトを含めるよう努めた。

率直さ、重要

ビルが求めたコーチャブルな資質とは、「正直さ」と「謙虚さ」、「あきらめず努力を 厭わない姿勢」、「つねに学ぼうとする意欲」である。 なぜ正直さと謙虚さが必要かといえば、コーチングの関係を成功させるには、ビジネス上の関係で一般に求められるよりも、 はるかに 赤裸々に自分の弱さをさらけだす必要があるからだ。

すぐれたマネジャーやリーダーでいるためには、すぐれたコーチでいなくてはならない。コーチングはもはや特殊技能ではない。めまぐるしい変化と熾烈な競争が渦巻く、テクノロジー主導のビジネス界で成功するには、パフォーマンスの高いチームをつくり、とてつもないことを成し遂げるための資源と自由を彼らに与えなくてはならない。 そしてパフォーマンスの高いチームに不可欠な要素が、俊敏なマネジャーと思いやりのあるコーチを兼ね備えたリーダーなのだ。

マネージャーとコーチは不可分