ソーシャルメディア徹底批判「フェイスブックの失墜」

Facebookの評判が悪いのは昔からではありますが、日本では現実の問題に落ちていないため、なぜそこまで批判されているのかが分かりづらいところがあります。ニューヨーク・タイムズの記者が400人以上の関係者にインタビューしたというこのドキュメンタリーを読むと、マーク・ザッカーバーグ(Facebook CEO)はどのような思想を持ってFacebookを運営しており、それによって引き起こっていること、それに対する批判が非常にクリアになります。一方で、著者がかなり批判的なため、よい側面はほとんど描かれていないことも留意する必要がありそうです。

実際、もし自分が経営者だったらと考えると、前代未聞のスピードで万人が使う巨大な社会インフラとなったソーシャルメディアで何が起こるか、何が正しいのか、というのは非常に難しい判断だったし、これからもそうあり続けるだろうとも思います。例えば、

情報操作問題の根源は、当然ながらテクノロジーにある。フェイスブックは、人の感情をかき立てるコンテンツがあれば、たとえそれが悪意に満ちたものであっても、その拡散に拍車をかけるよう設計されていた。アルゴリズムがセンセーショナルなものを好むのだ。ユーザーがリンクをクリックした理由が、興味を持ったからなのか、恐怖を感じたからか、積極的に関与しようとしているのかは重要でない。広く読まれている投稿があればより多くのユーザーのページに表示させるだけだ。

こういったユーザーのエンゲージメントを重視するが故に引き起こることはなかなか予想が難しかったとも思う一方で、本書ではそれを止めないのはザッカーバーグの(未熟な)思想が大きいとしていますが、それだけなのだろうかとも思います。株式市場からのプレッシャーや、もちろんテクニカルにも難しいというのもありそうですが。。

同じくモバイルアプリを運営している経営者として、どのようにすれば中長期的にひとの役に立つものを作れるのか、というのは一つの大きなテーマであり、改めて真摯に向かい続けて行きたいと身を引き締めました。長いですが、ストーリーはドラマチックで流れるように読めますし、インターネット・ビジネスに携わる方にはオススメな一冊です。