絶対貧困/石井光太

著者は途上国の貧困について体当たりで取材し、本やテレビで発表をしている作家。ぜんぜん知らなかった途上国でも最貧民な層の人たちが、どのような仕事があり、どのように恋愛をし、子どもを作ったり育てたりしていくのか、などを綿密な取材から描いています。さらに、売春婦や物乞い、路上生活者などについても触れており、非常に興味深いです。

日本人が途上国で物売りや物乞いを前にした時、よく発する言葉があります。「彼らに一々お金をあげても何の解決にもならないし、キリがない。だからあげるべきじゃない」(中略)私はもっと簡単に考えるべきだと思うのです。物売りを目にしたら「がんばってるなー」ぐらいに思って、安いものを買ってあげればいいと思うのです。お菓子にしたって、ティッシュにしたって十円とかそのぐらいです。ちょっとぼられたって大した値段になるわけでもありません。 もしあなたが買ってあげれば、きっとすぐに彼らと親しくなることができるでしょう。路上の住処につれていってくれるでしょうし、家族や友人を紹介してくれるはずです。もちろん、記念写真を一緒に撮ったっていいと思います。また、外国人を相手に商売をしているような子ならば一日二、三百円も払えば片言の外国語で丸一日ガイドをしてくれるはずです。それがどんなにあなたにとって有意義なことになることか。

確かに自分はたまたまいい地域に生まれただけで、生まれたところが違っていたら同じ境遇だったのだと強く思いました。本書では売春婦の子どもが稼ぎがいいゆえにいい教育を受けていく姿なども描かれています。

こういった矛盾だらけの世界のことを考えると、日本の不平等がまだかわいく見えるし、早くそういった人々を救えるようなポジションにいこうと思うのでした。