ウィルゲート 逆境から生まれたチーム/小島 梨揮

ウィルゲートというインターネット系の会社を社長の小島氏が振り返った内容。起業から最悪の状況に陥って、劇的に回復するまでが描かれています。

僕の場合は金銭的にはここまできつくなかったのですが、危機においてどのようなミスや間違いを犯し、そしてどうやってそれに対応していったかという部分は非常に身につまされる部分があって、とても共感できました。

まさに僕も陥った罠が描かれていたので、そのいくつかを、抜粋コメント形式でご紹介します。

「うちの経営層は人の使い方も物事の伝え方も下手です。今回の制作部解散も伝え方が悪すぎるので、かなり社内に波紋を呼んでいます。はっきりいってマネジメントとしてはマイナス100点ですね。たぶん、今多くの社員間での社長・経営陣の人望は0点だと思います。」 <0点……ですか?>  日々会社のために忙しく動き回っている役員陣。 半日ゴルフに熱中したり、飲み歩いている経営者が世の中にいるなかで、愚直にそして必死にやっていた自分達の想いは、少なからずメンバーのみんなに伝わっているはずだと安直に思っていた私は、その言葉に思わず動揺を隠し切れませんでした。

がんばっていれば後ろ姿を見てくれるだろうという罠
もちろん見てくれているひともいるものですが、会社の雰囲気やモチベーションを形成するには自分が思っている以上に、真摯かつ丁寧に伝えていく必要があります。はっきりいって、どれだけの時間、自分や経営陣が仕事しているとか、周りの社長がどれだけ遊んでるか、はまったく関係ありません。起業は、がんばるだけでなんとかなるほど甘くないのです。

「だから言っただろ、合併とか資本政策とかテクニカルなこと、身の丈に合わないことをやるなって。経営はそんなに甘くないんだよ」 株主の方が聞いた噂のなかには、Aが流したと思われる事実無根のものもありました。しかし、それすらも自らの未熟さが招いた結果だとすれば、私は頭を下げることしか出来ませんでした。

自分で腹に落ちていないことをやる罠
会社というのは自分がよく分かってないのにうまく行くことはありえないです(ごく短期的にはありえます)。だから、尊敬するひとの素晴らしいアイデアによるアドバイスだとしても、そのひとなら経験豊富なためできても、自分には経験や能力不足でできない可能性もあります。僕もいろいろな方のアドバイスを取り入れたりしましたが、「そういうものかな」と思いながらやったことはすべて失敗しています。自分として完全に腹に落ちていない限りはやらない、というのが鉄則です。
※ただし、スタートアップの時期を過ぎてリソースも増えてきたら別かもしれません

<私は悪くない>と自分自身を守ってきた結果、私を救ってくれた2人や私や会社を本気で支えてくれた人達、強いてはお客様に多大な迷惑をかけてしまいました。 自分をかばうことに必死で、背負っている責任の重さに気付けなかったのです。 自分を守ることや自分の不幸に何の価値もなく、自分を守る暇があるのなら一刻も早く支えてくれた人達に恩を返さないといけない。危機的状況を脱して責任に応えないといけなかったのです。

自分は悪くないと思う罠
経営者というのは往々にして自分に自信があるから起業という成功率の低いことをやるわけですが、だからなかなか自分が悪かったことを認められません。しかし、会社がうまく行っていないならそれは100%社長が全部悪いです。この事実に真摯に向き合い、自分のダメな部分を徹底的に自己反省し、言動を変えていくこと。これができる社長だけが成功し、支えてくれた関係者の方に恩返しすることができます。

まとめると
・がんばっていれば後ろ姿を見てくれるだろうという罠
・自分で腹に落ちていないことをやる罠
・自分は悪くないと思う罠
これらは本当によく陥りやすいので、次に起業するときも気をつけようと思います。