ひとをたくさん育てる「スーパーボス」

本書では突出した有能な人をたくさん育てる上司のことをスーパーボスと呼んでおり、それはどういうひとたちでどういったマネジメントをするひとたちなのかを描いています。

正直、何を持って「育てた」というのかは定性的なものもあり、本書もストーリーが描かれているにすぎないとも言えます。が、一定の納得感はあり、その中で自分に合った手法を見つけスーパーボスを目指していくというのがよい本書の読み方だと思います。

個人的にも、会社が急激に大きくなり、かつ拠点が増えて外国人社員も増えていく中で、いかに任せていくかは重要なテーマになっています。いろいろ問題もないわけではないですが、最終的には信頼感さえあればなんとかなるかなと思ってます。これは僕と誰かというだけではなく、社員同士も同じで。

とはいえそれがもっとも難しいことのうちのひとつでもあるのですが。

以下、おもしろかったところを抜粋コメントします。

スーパーボスは有能な求職者をビジネスチャンスと考えるので、「うちには合わない」という理由で採用を見送ることはなく、試しに使ってみるのが普通だ。そして期待どおりの働きをしなければ、単純に異動させるか解雇する。人員配置を考えなおさなければならないからといって、スーパーボスに迷いはまったくない。  部下を積極的に試そうとするので、通常の企業なら敬遠するほど人員を頻繁に入れ替える。

入れ替えるかどうかは別にして、この「試しに使ってみる」というのはすごく実感としてあります。結構ビビってしまうことが多いので。

才能があって賢いのではなく、人並み外れた才能があって驚くほど賢い人材。普通のリーダーではなく、変化の推進者。成功の可能性が高いタイプではなく、成功の定義そのものを変えてしまうような人材である。

実績というよりはこういうひとを探してきて、常にいいところを活かすようにしようとしてます。逆に言えば、ひとをうまく活用できないひとは多い気がする。僕は逆にひとが期待以上の成果を出せないのは自分のせいだと考えます。

雇うべき「ダイヤモンドの原石」と次の大きなビジネスチャンスを常に探すのと同様、新たな難しい課題に取り組む能力と意志がある従業員がいないか注意を払っているのである。

まさにこれすごく重要で、実際どのひとがどんな能力や意思があるのかを把握するのは常に注意してないと非常に難しいです。それが大体分かっていれば最善の打ち手を打っていくことができます。ただ現実には目の前に最善手があるのに気づかないケースがすごく多いと思ってます。

有能な人材は脇役に甘んじないので、上司が新しいチャンスを常に用意できるくらい成長しつづけられなければ、いずれ去っていく 。

そして最終的には自分自身や会社が成長し続けないとそういった人材を引き止めていくことはできません。

<抜粋>
・一般的に言って、規模と事業範囲で抜きん出ている業界大手には才能の養成でいくつかアドバンテージがある。特に重要なのは、評判がいいという理由だけで有能な人材が多く集まってくる点だが、スーパーボスなら規模や事業範囲や評判に頼らなくても、あらゆる組織を「才能の磁石」と呼べるほど魅力的にできる。全従業員の才能を引き出すために、やる気とインスピレーションとチャンスを与え、親身になって指導し、イノベーションを起こすといったことを、権威のある最大手と同じか、より高いレベルで行なうからだ。
・部下を指導する立場なら、スーパーボスをロールモデルにすることで自分も有能な人材を見つけ、オールスターのチームをつくり育てることができる。超一流の従業員を絶えず獲得したいと考えている取締役なら、組織にいるスーパーボスを探して重用し、まわりに見習わせるようにするとよい。社会人になって間もない場合は、スーパーボスのもとで働くチャンスを逃さないようにしよう。投資家なら、スーパーボスの事業から目を離さないようにしたい 。
・このタイプが「栄誉ある」上司になれる秘密は、勝利のためには最高の人材とチームが必要だと理解していることにある。自分の名声と栄光のことを第一に考えるエゴイストではあっても、部下の成功がそこにいたる助けになると知っているのだ。だから勝つにはどうすればいいかを教え、勝利の味を覚えさせ、これまで以上の能力を発揮するよう叱咤する。部下個人の成長にはまったく興味がないが、驚くべきことに利己的な関心だけで一流の人材を育ててしまう。
スーパーボスは革新的で先見の明があり、競争心が旺盛だ。ひたむきで想像力がたくましく、裏表がない。まわりに親切な養育者タイプもいれば、オフィスにラクダが入ってきても動じない面白いこと好きもいるが、例外なく自分のビジネスに完全にコミットし、成功の助けになる人材と真剣に向き合う。また、その言動は部下の心に強く刻まれる。
・特別な才能に対するスーパーボスの執着は、普通では想像もつかないほど強い。ほとんどの企業の経営陣、特に人材担当者は、才能があって賢くてリーダーの素質があり全般的に優秀な人材を求めていると口をそろえる。しかし、スーパーボスが求めるのはこんなレベルではない。才能があって賢いのではなく、人並み外れた才能があって驚くほど賢い人材。普通のリーダーではなく、変化の推進者。成功の可能性が高いタイプではなく、成功の定義そのものを変えてしまうような人材である。
・ラリー・エリソンは、就職希望者に「あなたは知り合いの誰よりも賢いですか?」と聞くよう採用担当者に指示していた。答えが「イエス」なら、先の面接に進める可能性が高くなる。「ノー」であれば、「では誰がいちばん賢いですか?」と聞かれる。その希望者は選考過程から外され、採用担当者は名前が挙がった人物にコンタクトしたという(13)。
スーパーボスはそれぞれの分野できわめて有能だと自覚し、安心しきっている。その地位は虚栄の上に成り立っているわけではないからだ。スーパーボスは自己意識が強いので、どれほどレベルの高い能力を見せられてもぐらつくことがない。そればかりか、新人からの挑戦を楽しみさえする。その挑戦が優れた洞察に裏づけられている場合は特にそうで、自分の理解が深まり、能力が上がり、よりよい解決策が浮かぶきっかけになれば、ありがたいと考える。
・スーパーボスは有能な求職者をビジネスチャンスと考えるので、「うちには合わない」という理由で採用を見送ることはなく、試しに使ってみるのが普通だ。そして期待どおりの働きをしなければ、単純に異動させるか解雇する。人員配置を考えなおさなければならないからといって、スーパーボスに迷いはまったくない。  部下を積極的に試そうとするので、通常の企業なら敬遠するほど人員を頻繁に入れ替える。
・スーパーボスが全力を出そうとしないときは一瞬もない。つまり、部下にとって心配すべきはスーパーボスからの要求がなくなったときなのだ。
部下から新しいアイデアを絶えず引き出し、その過程でビジネスを成功に近づけられるのは、こうしたぶれないビジョンと変化への柔軟性を両立するという、一見すると不可能なスタンスなのだ。
・スーパーボスはまず、普通よりも知性に恵まれていて「何かある」と思わせる有能な人材を雇うことから始める。次に、ビジョンで感化し、やる気を引き出し、限界まで駆りたててレベルアップする自信をつけさせ、その才能を解放させる。しかし、それでは不十分の場合は、決定的な一押しをする。部下に向かって「よし、これからは何もかもを見直さないといけない。世界を変えてこい!」と喝を入れるのだ。
・ひとつ目は、スーパーボスがチャンスを見つける鋭い目を持っていることだ。雇うべき「ダイヤモンドの原石」と次の大きなビジネスチャンスを常に探すのと同様、新たな難しい課題に取り組む能力と意志がある従業員がいないか注意を払っているのである。
・徹底した権限委譲とマイクロマネジメントを両立するなんてことが、どうしてできるのか? 一見すると相いれないふたつの行動を同時に取り入れるすばらしい能力が人間にはあるものだ。つまり、部下を信じていないせいで権限委譲におよび腰なマイクロマネジャーと、真剣さや能力がないせいで仕事を丸投げするフリーライダーに代わる、第3の道をスーパーボスは発見したのである。これを 「関与型権限委譲 」と呼ぶことにしよう。
スーパーボスは口出しせずに監督・統制する巧みなスキルを持っているという。最初に絶対的なビジョンを示してゴールを明確にしたら、あとは一歩下がってなりゆきを見守るのだ。
・普通のボスと違って、スーパーボスは大きな自信があるので他人を常に支配する必要がない。同じく自意識の強い人間が近くにいるのを楽しめるし、若手を育てて強い自意識を持たせてやろうとさえする。
・人材の選択肢は2つある。自然の限界に達するまで育てていつまでも雇うか、上司を追い越そうとする次世代の逸材を養成して手助けをするかだ。有能な人材は脇役に甘んじないので、上司が新しいチャンスを常に用意できるくらい成長しつづけられなければ、いずれ去っていく 。
・私は自分のことを考えてみた。キャリアを通じて何を成し遂げようとしているのだろうか? 車椅子生活になったとき、列をつくって挨拶に来てくれる人がいるだろうか?

※本書は献本いただいたのですがKindleで購入して読みました