Google vs Facebookについて考える

GoogleがFacebookに負ける(かもしれない)理由
GoogleがFacebookに負ける(かもしれない)理由(2)

この記事は全般的にすごく鋭い視点でおもしろいのでぜひ一読していただきたいのですが、個人的に気になるのはこの辺り。

Facebook社が、次の論理的なステップとして、Google社と同様に、サードパーティーのサイトに広告を出し、『Washington Post』『Daily Beast』、地元新聞社のサイトなどを読むFacebookユーザーにターゲティング広告を行なうのはまず間違いないだろう。

他サイトに掲載される広告なら、Facebook体験を乱すことなく、最近の広告主が好む支配的で目立つものにできる。また、読者に関する情報をFacebook社が掲載サイトに渡す必要はないままに、ターゲティングを強化することができる。

これは当然起こるだろうし、これがGoogle AdSenseに打ち勝ちうるからこそ、GoogleもここのところFacebookに対して対抗意識をあらわにしているのだと考えます。

この闘いで劣勢のGoogle社としては、オープン性がいちばんの武器となるだろう。Facebook社が、利用者やパートナーが反旗を翻さない程度にオープンであろうとしているだけであることを利用して、ユーザーがFacebook社の壁に反発するように持っていくのだ。うまく行けば、インターネット上のIDを、電子メールのようなオープンなプロトコル(ホスティングや制御がどこでもでき、好きなサービスを何でもまとめることができるような)にする道が見つかるかもしれない。

Google社がその方向に失敗すると、Facebook社が、インターネット上のIDでできることとできないことをコントロールすることになる。そのときFacebook社は、1000億ドル以上の――あるいはおそらくGoogle社以上の――価値を持つ企業になるだろう。

Googleが何かしらFacebookアカウントを含んだIDをサードパーティが使えるようにさせるように仕向ける、というのは非常におもしろいのですが、正直言ってかなり難しいと思います。なぜなら、AndroidであれだけGoogleがGmailアカウントでユーザーをロックしていながら、Googleがそのアカウント情報を利用できるように仕向けられていない。

インターネットにおけるGoogleは携帯電話業界で言えばキャリアであり、コンテンツプロバイダ(CP)ではないからなのだけど、Androidではキャリア(財布を押さえるという意味で)にもCPにもなれていないという厳しい現実があります。とはいえ、アカウントを押さえれていれば何かできることがあるという期待はありますが。。

いずれにしても、Google全盛期になってもWindowsが売れ続けるように、Facebook全盛期になってもGoogleの牙城は揺るがないと思います。だから、Googleは、ある意味で(しばらくは)まったく心配しなくてもよいです。が、主戦場はすでにソーシャルメディアに移ってきており、次はソーシャルアプリになることは規定路線だと思っています。

北京の798芸術区がおもしろい

最近、北京にちょくちょく出張しているのですが、798芸術区というところがすごくおもしろかったです。北京市街と国際空港の間にあるので最終日に少し立ち寄ったのですが、街全体がギャラリーや雑貨屋、カフェの集合になっています。街中にもいろんな現代アートが置かれていて、ゴチャゴチャだけどシームレスな感じですごくおもしろい。

あまり写真が撮れなかったので、下記ページをどうぞ。

北京の新スポット「798芸術区」の風景

798芸術区(朝陽区酒仙路4号)は、1950年代、中国解放軍が、旧ソ連・旧東ドイツに提供する軍事品工場・「798工場」だったところ。その工場跡地に、2003年以降、著名アーティストが次々と集まり、今では100以上ものギャラリーが揃うように。打ちっぱなしのコンクリート壁、スチームパイプなどを残した空間で現代アート作品を展示、そのギャラリー横では、現役の工場も稼動中という、なんとも不思議なエリアなのである

特に雑貨屋で売っているものがおもしろいのが多くて、全然買物するつもりなかったのに、いろいろ買ってしまいました。ランチ込み2,3時間しかいれなかったので、全体がどのくらい大きいのかよく分かりませんでしたが、かなり楽しいので、次回も行きたいです。

日本でもこういうのがあったら芸術家にとっても、芸術好きにとってもすごくいいのにと思いました。結構流行るんじゃないかなあ。北京でちょっと変わったところに行きたかったらぜひ足を運んでみてください。

798芸術区 – Wikipedia

MacBook Air 11インチのファーストインプレッション

[tmkm-amazon]B00485CHK4[/tmkm-amazon]

久しぶりにアップルネタ(よく見たらiPhone 4のときブログに書くの忘れてた模様)。11.6インチは正直画面が小さいんじゃないかなとも思いましたが、13インチは前モデル買って半年だし、何か新体験ができるかもということで購入(ちなみに11インチ+128GB SSD+4G+1.6GHz)。とりあえずの感想としては、

・思ったより画面の小ささは気にならない、むしろ軽さのメリットが素晴らしく感じる
・音がステレオになり、ものすごくよくなった
・スピードの違いはよく分からない(前はMacBook Air 13インチ+SSDモデル)
・USBが2つあるのが何気に便利(バックアップ+iPhone同期が同時にできたり)
・これでiPadみたいに通信できたらいいのに

といったところでしょうか。もう少し使ってみます。

後、恒例の移行メモつけておきます。最近は書類をiDiskに保存していてMobileMeで自動同期されたため、前回に比べてステップが減ってます。徐々に楽になってるのがいいところですね。

■移行メモ

●OSのクリーンインストール(今回未実施)
買ってきた初期状態だといろいろ余分なものも入っているのでいきなりOSを入れ替えます。
・[システム環境設定→起動ディスクを選択→再起動]
・[ユーティリティメニュー→ディスクユーティリティ→ディスクを消去する]
※これをやらないとクリーンインストールになりません!
・左下のカスタマイズ→プリンタドライバとか使わない言語とか外す
※これもかなり見落としやすいポイントです!
・インストール(30分ほど)
・無線LAN設定&ユーザー設定など

●最初にやること
・Mac OSのソフトウェアアップデートを実施
・HDD暗号化設定。[システム環境設定→セキュリティ→FileVault→入]

●各種設定読み込み
・MacではMobileMe(年間9,800円)を契約していると設定をオンラインに保存しておくことができます。メール設定、メモ、ファイル、環境設定などは自動読込み。ものすごい楽。[システム環境設定→MobileMe→MobileMeと同期→今すぐ同期]

●パッケージインストールするアプリ
・Office Mac 2008
・iWork ‘10(未完了)

●オンラインインストールするアプリ
・Flashーなんと最初からインストールされていないため
・Google日本語入力ーことえりの代わりに
・Skypeーチャット&会議用
・AdiumーWindows Messnger&Gtalk用
・WidemailーMail.appを3段カラムにする

●データ移行
・Mail.app
MobileMeで設定はコピーされているので、メール自体はコピーする必要もなくMail.appを起動するだけ。最初はIMAPで読み込むため結構時間がかかります。
・iTunes
[/ホーム/ミュージック/iTunes/]をコピーして、iTunes起動
・iPhoto
[/ホーム/ピクチャ/iPhoto Library]をコピーして、iPhoto起動
・Adium
[/ホーム/Library/Application Support/Adium 2.0/]をコピーして、起動
・Skype
[/ホーム/Library/Application Support/Skype/]をコピーして、起動

●エンジニアリング用
“ターミナル.app”でSSH接続できるようにする
・保存しておいた秘密鍵(id_dsa)を[/ホーム/.ssh/]にコピーする
・普通にsshする
※自分の場合、パスワードが非常に長いので注意

●その他
・Safariで新規タブが開かないように”ターミナル.app”から以下を実行
defaults write com.apple.Safari TargetedClicksCreateTabs -bool true
・イーモバイルーPocket WiFiのため特に設定必要なし
・iPhoneーつなげるだけ
・Parallels(未完了)

●困っていること
・テキストファイルがテキストエディットで開けないことがある。文字コード指定すれば開けるんですが。。

残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法/橘玲

お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』などの橘玲氏の新作。知能は遺伝するとか、性格は家庭とは無関係とか、自己啓発では変われないとか、(アメリカ人に比べて)日本人は会社が嫌いだった、とか様々な実験や理論からズバズバ書いていておもしろいです。

全部が全部合っているか分からないにせよ、そういう可能性もある、という前提で世の中を捉える方がいいのだろうなと。今まで常識と思われていたことがことごとく覆る世の中だからこそ、こういうありえる現実に触れるのは重要なんじゃないかと思います。

すごく読みやすいですし、頭のトレーニングになります。

<抜粋>
・ぼくたちの社会では、スポーツが得意ならうらやましがられるけれど、運動能力が劣っているからといって不利益を被ることはない。音楽や芸術などの才能も同じで、ピアノが弾けたり絵がうまかったりすることは生きていくうえで必須の条件ではない。 それに対して知能の差は、就職の機会や収入を通じてすべてのひとに大きな影響を与える。誰もが身に沁みて知っているように、知識社会では、学歴や資格で知能を証明しなければ高い評価は得られないのだ。 もしそうなら、知能が遺伝で決まるというのは不平等を容認するのと同じことになる。政治家が国会で、行動遺伝学の統計を示しながら、「バカな親からはバカな子どもが生まれる可能性が高く、彼らの多くはニートやフリーターになる」と発言したら大騒動になるだろう。すなわち、知能は「政治的に」遺伝してはならないのだ。
・ハリスは、子どもの性格の半分は遺伝によって、残りの半分は家庭とは無関係な子ども同士の社会的な関係につくられると考えた。(中略)子どもは、親や大人たちではなく、自分が所属する子ども集団の言語や文化を身につけ、同時に、集団のなかで自分の役割(キャラ)を目立たせようと奮闘するのだ(『子育ての大誤解』<早川書房>)。 集団への同化と集団内での分化によって形成された性格は、思春期までには安定し、それ以降は生涯変わらない。ぼくたちは長い進化の歴史のなかで、いったん獲得した性格を死ぬまで持ちつづけるように最適化されている。
・もうちょっと正確にいうと、適性に欠けた能力は学習や訓練では向上しない。「やればできる」ことはあるかもしれないけれど、「やってもできない」ことのほうがずっと多いのだ。 こちらが正しければ、努力に意味はない。やってもできないのに努力することは、たんなる時間の無駄ではなく、ほとんどの場合は有害だ。
・中間共同体とは、PTAや自治会、会社の同期会のような「他人以上友だち未満」の人間関係の総称だ。日本や欧米先進諸国では、貨幣空間の膨張によってこうした共同体が急速に消滅しつつある。PTA活動や自治会活動は面倒臭いから、お金を払ってサービスを購入すればいい、というわけだ。 中間共同体が消えてしまうと、次に友情空間が貨幣に侵食されるようになる。友だちというのは、維持するのがとても難しい人間関係だ。それによくよく考えてみれば、たまたま同級生になっただけの他人が、思い出を共有しているというだけで、自分にとって「特別なひと」になる合理的な理由があるわけではない。
・アメリカの有名大学でMBAを取得した優秀なひとたちが、最新のマーケティング理論を引っ提げて起業に挑戦するけれど、ほとんどは失敗する。それは彼らが儲かることをやろうとして、好きなことをしないからだ。 それに対して「好き」を仕事にすれば、そこには必ずマーケットがあるのだから空振りはない(バットにボールを当てることはできる)。ほとんどのひとは社会的な意味での「成功」を得られないだろうけど、すくなくとも塁に出てチャレンジしつづけることはできる。

起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと/磯崎哲也

(本書は献本いただきました。献本、ありがとうございます)

内容は「事業計画」「資本政策」「企業価値」「ストックオプション」「種類株式」などなどベンチャーのファイナンスに関わること全般で、すごく難しく聞こえますが、奇跡的に分かりやすいです。

僕も職業柄、いくつかファイナンスを経験してきたこともあって、いろいろと相談を受けたりするのですが、ファイナンスはテクニカルに奥が深く、かつ幅広い解決方法があったりして、なかなか全体として把握するのが難しいと思っています。

僕の場合、周りに詳しい方々がいたので、なんとかなってきましたが(すごく幸せなことですね)、もしこの本があれば、すごく早くにいろいろなことが知れてよかったのに、と思いました。

特に、資本政策は後戻りが聞かないので、いろいろと大変な相談とか話とかを聞きます。後、ネット上だと結構適当なことを書いてあることが多くて惑わされたりします。そうならないためにも資金調達とかする前に一読することをオススメしたいです。

P.S.磯崎さんのブログはこちらです。

(500)日のサマー[80点]

(500)日のサマー (500)日のサマー (2009)

【監督】マーク・ウェブ
【出演】ジョセフ・ゴードン=レヴィット / ズーイー・デシャネル / ジェフリー・エアンド / クロエ・グレース・モレッツ / マシュー・グレイ・ガブラー / クラーク・グレッグ / レイチェル・ボストン / ミンカ・ケリー

★★★★ [80点]「いろいろな感覚が思い出される良作」

ロマンチストの男子トムは恋に落ちて、愛を信じない女子サマーは恋に落ちない物語。軽いように見えて、結構奥深くて、個人的には好きです。

最初にキスをした後の信じられなさとか、寝た後に本当に世の中が一変してしまう感覚とか、喧嘩した後の焦燥感とか、喪失感とか、鮮やかに描かれていて、素晴らしいと思いました。

500日の間を前後にスキップする構成、そして必ずトムからの視点で描かれているがゆえに、サマーのミステリアスぶりが際立って感じられるのもよかった。

こういう経験って基本的になかなかきついのだけど、生きてるって感じがするから、忘れたくないなと思う。そんなことを思い出させてくれる作品。

後、ヒロインのズーイー・デシャネルがとてもよかった。主人公のジョセフ・ゴードン=レヴィットは「インセプション」にも出てきてますね(アーサー役)。映像も音楽もセンスがあって、すごくよかったです。

Posted by suadd on 2010/08/29 with ぴあ映画生活

インセプション[100点]

インセプション (2010)

【監督】クリストファー・ノーラン
【出演】レオナルド・ディカプリオ / 渡辺謙

★★★★★ [100点]「ぶっ飛んだ想像力」

クリストファー・ノーラン監督作品。「ダークナイト」は本当に素晴らしかったので、かなり期待していたところ、期待を裏切られない素晴らしい作品でした。

まず、夢の中という潜在意識の中で大事な情報を盗むとか、夢の中の夢の中(二階層目)みたいなアイデアが素晴らしいし、かつ次々に明かされる夢のルールとストーリーが密接に絡まり合っていて、重層的な作りになっているのが素晴らしいと思います。

かつ、それを補完するような映像、予告編でもおなじみの街が折りたたまっていくシーンとか、無重力上でのアクションとかの想像力がぶっ飛んでいてものすごい刺激的です。

ストーリーはかなり複雑なのですが、丁寧に追っていけば、かなりきれいにまとまっていることが分かると思います。そういう意味では「ダークナイト」に近くて、一度目でもおもしろいけど、分からない部分を知るために、何度でも観たいと思わせる傑作だと思います。

Posted by suadd on 2010/08/15 with ぴあ映画生活

Zyngaのウノウ買収にあたって

すでに報道されている通り、ウノウは、サンフランシスコにあるソーシャルゲーム大手Zyngaによる買収のオファーを受諾しました。

ウノウからのお知らせ:当社株式の譲渡に関するお知らせ

ウノウは5年半ほど前に「世界で使われるインターネットサービスを創る」ことを掲げ、株式会社化してから現在まで、映画生活(ぴあ社へ譲渡)やスグCC、NeoAd(いずれもGMOアドパートナーズ社へ譲渡)、フォト蔵などの多くのユーザー参加型サービス(CGM/UGC)を生み出してきました。一方で、ウノウエンジニアの書くウノウラボブログは日本のウェブエンジニアによく読まれ、技術力のある会社として認知されてきたと考えています。

そして、昨年「まちつく!」でモバイルソーシャルゲームに参入して以来、急速にソーシャルゲームシフトを進めてきました。現在では「バンドやろうよ!」「海賊クロニクル」など複数のタイトルをmixi、モバゲー、GREEなどへ提供しています。特に「まちつく!mixi版」は300万人以上の方にご利用いただいています。

そんな中で、Zyngaから買収のオファーを受けました。

これは、Zyngaの世界戦略の一貫でもあり、ウノウのモバイルソーシャルゲームやそれを創る組織への高い評価によるものです。

ウノウとZyngaは、強いエンジニアリングと高いクリエイティブの融合、よいサービス作りへのしなやかな姿勢など共通点は多く、世界志向の会社や社員の方向性とも合致し、マージ後もスムーズに成長していけると考えました。

また、シリコンバレーのトップクラスのインターネットベンチャーに加わり、世界最高峰の人材と交わることで、世界のやり方を学び日本市場で確固たるポジションを築くと共に成長し、逆に日本の最先端のモバイルの知見を世界に紹介していくよい機会だとも考えました。

このようなことから、オファーを受け入れることを決断をしました。

本件は、日本のインターネットベンチャーをシリコンバレーのトップクラスのインタネットベンチャーが買収する初のケースになります。今後も日本のインターネットベンチャーの新たな道を切り開いて行きたいと思います。

なお、私や共同経営者の石川がウノウを離れるということはありません。ウノウは引き続きオリジナルタイトルの制作・運営をすると共に、Zyngaタイトルを日本市場でリリースしてまいります。

引き続きモバイルソーシャルゲームの発展へ寄与すると共に、世界への橋架けになりたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

※本件について、様々な方から噂の真相について聞かれましたがお答えすることができず、不義理をしてしまいました。独占交渉期間の守秘義務かつデリケートな話のため口外できなかったことを深くお詫びすると共に、ご理解をいただければ幸いです。

ルポ 貧困大国アメリカ II/堤未果

ルポ貧困大国アメリカ」の続編。今回は、学資ローン、社会保障、そして前回にひき続き医療改革などを取り上げています。

相変わらずひどい実例のオンパレードで、暗い気持ちになりますが、特に医療改革でオバマ大統領がようやく国民皆保険導入を公約に掲げて当選し、医療関係者などの賛同も経て導入に向けて動き始めたにも関わらず、医療保険会社などの画策により見事に潰されていく様が何とも言えない無力感を覚えます。

日本人でよかったと思う一冊。

<抜粋>
・学資ローンに対しては消費者保護法というものは存在しない。1998年にクリントン大統領が署名した高等教育法改正が、他のローンに通常は適用されている消費者保護法のすべてを学資ローンから削除したからだ。さらに2005年には、住宅ローンやカードローンでよく使われる、借り手が自己破産した場合の借金残高免責も学資ローンの適用から外されていた。
・労使交渉で強気に出られないGMは、従業員と退職者の年金と医療保険を負担し続け、ついに医療費負担は他の業界を抜いて全米一の年間56億ドルにまで膨れ上がった。 自動車一台あたりに上乗せされる年金分のコストは1500ドル(15万円)。これが競争相手のトヨタUSAに大きく引き離される原因の一つとなり、かつては「巨人」と呼ばれたGMの市場での力は失われていった。
・現在アメリカ国内で歯科医療保険を持っていない国民は1億人、約3人に1人いる。 貧困層では数百万の子どもたちが、治療しないままの虫歯を持っている。(中略)歯と貧困には深い関係がある。他の病気と違い、歯には自然治癒というものがないからだ。
・「医療費がこれだけ高い国はどう考えても異常です。カリフォルニア州では医療費請求の21%が保険会社によって却下されている。1錠の薬を4つに割って節約する高齢者や、仕事を持っているのに突然破産する会社員、過労死や鬱病で倒れてゆく医師や看護師。これらを生み出した原因はたった1つ、医療を賞品にしてしまったことです」
・「今のシステムが奪った、目に見えないものとはたとえば何ですか?」 「患者と医師の間のつながりや、医師のなかに存在するはずの誇り、充実感などです。(中略)間に医療保険会社という株主が介在しない世界では、患者は医師を人として信頼し、医師は患者との交流を通して、いのちを救っているという充実感と誇りを受け取るのです。これは数字では測れない、けれど人間が日々生きていくためには失ってはならないものの1つです」
・アメリカの総人口は世界の5%だが、囚人数は世界の25%を占める「囚人大国」なのだ。
・州政府にとってそれら民間刑務所の最大の魅力は、とにかくコストが安いことだという。全米の刑務所運営維持費用は年間570億ドル(5兆7000億円)を超えており、これは国の年間教育予算420億ドルを上回っている。

いくつかのイベント告知

ここのところブログをぜんぜん更新できてなくてすいません。このところ慌しくて、久しぶりに休暇で沖縄に遊びに行ってきてリフレッシュしたところです。

本も読んでいないわけではないのですが、印象に強く残るものがなくて更新できてませんでした(ちなみに、読んだ本すべてをエントリしてるわけではなくて、掲載しているのはよいと思ったごく一部です)。

いくつかのイベントに参加させていただく予定ですので、告知させてください。興味がありましたらぜひご参加ください。

まさか!?/マイケル・J・モーブッサン

LMCMというファンドのチーフ・インベストメント・ストラテジストで、コロンビア・ビジネススクールのファイナンス非常勤教授のマイケル・J・モーブッサン氏が「ブラック・スワン」「なぜビジネス書は間違うのか」などのビジネス書の内容の一部や、研究事例などを元に、意思決定の考え方や、ミスをするポイントについてまとめて書いています。

個人的に、非常に興味のあるテーマなので、大変おもしろかったです。結局のところ、世の中には間違った考え方が氾濫しているので、それらに気づくことが重要ですが、しかし、それらは巧妙に正しいふりをしています。こういった著作を読むことで、気づきを得て、少しは判断ミスを防ぐことができるようになります。

いくらがんばっても、判断ミスをゼロにすることはできませんが、こうやって少しでも前進していきたいなと思っています。

<抜粋>
・よい決断を下したにもかからわず、ひどい結果が出たら、自らを奮い立たせ、再び立ち上がり、もう一度ゲームに取り組む準備をすること。それだけだ。
・他人の意思決定について評価する時もまた、彼らが得た結果よりも決断を下すプロセスに目を向けるのがよいだろう。たまたま偶然に大きな成功を収めるような人も少なくない。たいていは、彼らはどうやってその結果が得られたのか、まったく検討がついていない。しかし、多くの場合、運命の女神が彼らに微笑むのをやめたとたんに、彼らは奈落の底に突き落とされる。同様に、スキルのある人でも、一時期だけひどい結果を被るようなこともあるが、そこで落胆してはならないのだ。
・ある研究で、研究者が二つのグループの社会人に、1ドルで、50ドルの賞金が得られる宝くじに参加してもらった。(中略)抽選の前に、研究者が被験者に、宝くじのカードをいくらで売れるか訊ねてみた。カードを自分で引いたグループの回答は9ドル近くだったのに対して、自分で引けなかったグループは2ドル以下であった。自分である程度、状況をコントロールしていると信じている人は、当選確率は実際よりもよいと思ってしまうのだ。
・統計的に、アクティブにポートフォリオを構築する資産運用マネージャーは、市場のインデックスよりも低いリターンしか得られておらず、これはどの投資会社も認めている。この理由は極めてシンプルだーー市場は非常に競争が激しく、かつ、運用マネージャーは手数料を取るのでリターンが減ってしまう。市場はまた、適度にランダムで、時の経過につれてすべての投資家がよい結果と悪い結果に出合うようになっている。にもかからわず、アクティブ運用マネージャーは、我こそは市場よりもはるかによいリターンを得られるかのように振る舞う。
・心理学者リチャード・ニスベットの研究によれば、東洋人と西洋人の間には大きな文化的な相違があるという。東洋と西洋では経済的、社会的、哲学的な伝統が異なるため、ある出来事に対する受け止め方が変わってくるのだ。東洋人はより周囲の状況に関する説明をしたがり、一方、西洋人は個別の事柄に固執する。東洋と西洋の間で認識の違いが生まれるのもうなずける。例えば、東洋人は環境に合わせようとするが、西洋人は自分がそこにいる目的を明確にしたいと思う。
・よい結果が繰り返し起こると、人は自分のやり方が正しく、それですべてうまくいっていると考える。この錯覚が人に根拠のない自信を植えつけ、(たいていはよくならない)予期せぬ出来事へとつながるのである。
・人が複雑なシステムを考える時に犯すもう一つの過ちは、心理学者が還元主義的先入観と呼ぶ(中略)人間の、複雑な問題をよく考えずにシンプルに片づけてしまおうとする傾向である。
・この先入観のよい例が金融である。早くは1920年代のリサーチですでに、価格は通常の正規分布に当てはまらないと示しているのにもかかわらず、経済学理論はいまだに価格は正規分布するということを前提に置いている。もし金融の専門家がアルファ、ベータ、もしくは標準偏差という言葉を使って証券市場の説明をするのを聞いたことがあるならば、それは実際に目の前で還元的先入観を見ていたことになる。
・非常に稀で極端な出来事は、ポジティブなものもあれば、ネガティブなものもある。集合的なシステムについて考える際には、コストをそれほどかけずに、なるべく多くのポジティブな出来事に出合い、ネガティブな出来事が起きても大丈夫なように対策をしておくことである。
・例えば、ある企業がよい業績を出していると、マスコミが「正しい戦略、ビジョンのあるリーダー、士気の高い社員、すばらしい顧客志向、活気あふれる企業文化……」と賞賛するであろうことをローゼンツワイグは述べている。しかし企業の業績がその後、平均に回帰すると、傍観者たちはこれらすべての指標が悪くなったと結論づけるだろうが、現実にはそのようなことは何も起こっていないのである。多くの場合、同じ経営陣が同じ戦略で、同じ経営を行っているのである。
・本書で述べる意思決定の過ち(判断ミス)はたくさんの人に共通に起こる、よくあるもので、日常で見つけやすく、なおかつ防げるものでなければならないと述べた。私の意図が伝わっていれば、本書に出てくる事例のような過ちをいろいろなところで見かけるようになるだろう。最初にやるべきことは、毎日流れてくる多くの情報の中から、これらの過ちに気づくことである。
・いったん結果が明らかになると「後知恵のバイアス」がかかって、多くのコメンテーターが最初からそんなことはわかっていた、というようなことを偉そうに言いはじめる。また、人は、物事がうまくいかなかったのは他人のせい、うまくいったのは自分のおかげだと言いたがる。そして、本書では、日常で目にする事件や、さまざまな決定の結果を考える際には慎重でいようと呼びかけている。

iPadが(予想通り?)すごい件

iPad発売されましたね。ということで先日アメリカまで行きながら購入できなかったため、普通にネットのApple Storeで予約して買いました。32GのWiFiモデル(Pocket WiFiで通信)。まだ少ししか触ってないですけど、ちょっとだけ雑感をば。

・iPhoneからの蓄積で完成度がものすごい高い
iPadはiPhone OSが使われているわけですが、iPhoneは初代から数えると3年ほど経っており、その蓄積による使い勝手のよさがもろに反映されていると感じます。これが今までのタブレットPCとの大きな違いで、いきなり完成度がものすごい高い。キビキビとした隙のない使い勝手で、使っていて気持ちいい。Google Androidはいつか追いつくとは思いますが、道のりはかなり長いと言わざるをえません。

・本はほぼ電子書籍になる
京極夏彦氏が実験的に『死ねばいいのに』を書籍よりも安く販売しているので、買ってみたのですが、ものすごい快適に読めます。ページをめくるにはさらりとタッチするだけなので、むしろページめくるより楽です。本は読めればなんでもよい方(所蔵もしない派)ではありますが、そうでなくても多くの方にとっては電子書籍でぜんぜん問題ないんじゃないでしょうか。個人的に気になったところにしおりを何枚も挟む読み方をしていて、それができないのが難点ですが、その辺りは改善されていくのかなと。むしろiPad触って、今後かなりの本が電子書籍化されているのが確実だなと改めて思いました。Amazonで予約したら明日届くっていっても、ワンクリックでダウンロードしてすぐ読めた方が絶対便利だし。

・もはやノートパソコンとか要らない(特にネットブック)
メールとかネットサーフィンとか、ものすごい快適。iPhoneと画面の大きさが違うだけでこんなに違うんだというのは驚きでした。そもそもソフトウェアキーボードもかなりのスピードで文字入力できるし、もはや自宅にパソコンとか不要。ソファーに座って、iPad。この方が明らかに自然。僕は仕事柄パソコンをばりばり使うので難しいところもありますが、世の中の多くの方にとっては、ほとんどが「見る」で「入力する」頻度は少ないわけで、だからこそネットブックが売れていたわけですが、正直ネットブック、かなり厳しい立場に追い込まれたと思います。

全体としては、買うまではどのくらいの完成度なのかなと様子見的な部分もあったのですが、iPadはまさに新しいカテゴリの商品の発明であり、本当にアップル、というかジョブズすごいなぁと改めて強く思いました。iPadが切り開く世界というのはすごく大きくて、インターネット・ビジネスにもかなり大きなインパクトがあるのは間違いないので、使いながらいろいろ試していこうと思います。

ウノウ求人してます その2

前回のエンジニア募集求人に加えて、百式ジョブボードでも掲載開始しました。

百式ジョブボードに『ウノウ株式会社』が参加! – IDEA*IDEA

また、Find-job!にてプロデューサーとメールサポート事務の求人も追加で開始されました。

ウノウ株式会社 – モバイルソーシャルアプリのプロデューサーの転職・求人情報
ウノウ株式会社 – メールサポート事務の転職・求人情報

多方面で募集してますので、ウノウに興味のある方は、ぜひ一度ご覧ください。

ウノウ求人してます

ウノウでは自社ホームページFind-job!などで求人していて、ありがたい事に多くの応募があります。しかし、さらに多くの方に求人を知っていただきたいということで、つい先日からリクナビNEXT、イーキャリア、マイナビ転職などにも広告を出すようにしています。

ウノウ株式会社の転職・求人情報/リクナビNEXT[転職サイト]
ウノウ株式会社採用・求人情報|イーキャリア
ウノウ株式会社/エンジニア(モバイルソーシャルゲームの開発※PHPがメイン) | 転職・求人情報サイトのマイナビ転職

実際は、エンジニアだけでなく、デザイナー、Flashエンジニア、プロデューサーや、その他あらゆる部門も強化しています。

ソーシャルゲームというのは非常に新しい分野なので、未経験からウェブやゲーム業界で経験のある方まで、様々な方に活躍できるチャンスがあります。多分野から、優秀な人材に参画していただき、今までになく新しく、より多くの方に使っていただけるサービスを作っていきたいと思います。

興味のある方は、ぜひご応募ください。

ルポ資源大陸アフリカ/白戸圭一

毎日新聞記者で元南アフリカ特派員の白戸氏が書いたアフリカの実情。南アフリカはもちろんのことナイジェリアからスーダン、ソマリアなどに現地取材をしており、間一髪なシーンも何度も出てきます。その介あって様々な取材対象から多重的なコメントを引き出して、新聞という限られた紙面でないこともあり、非常に丁寧に分かりやすくアフリカが描かれています。

ここのところ新聞業界が苦境に陥ったりして、ジャーナリズムのあり方が問われていますが、本書を読むと、これこそがジャーナリズムであり、絶対に必要なものだという感を新たにしました。

非常に刺激的でおもしろいので、アフリカを少しでも知りたいと思う方には、とっかかりの一冊としてよいと思います。

<抜粋>
・ナイジェリア産原油の約半分を生産する最大手ナイジェリア・シェル社の2004年の推計では、同社の石油関連設備から盗まれた原油は1日辺り4万〜6万バレル。ドラム缶に換算すると実に3万1800〜4万7700本に相当する原油が毎日、パイプラインに開けられた穴から抜かれたり、沖合に停泊した偽のタンカーに積み込まれて密売されているのだ。これはもう、住民が貧しさに耐えかねてコソ泥を続けているというレベルの盗難量ではない。大規模な犯罪組織でなければ扱いきれない分量だ。
・私は発散さんに「スーダン政府は国際社会に対して、民兵を組織化したり支援した事実はないと一貫して否定しています。政府軍が村を襲撃することなどあり得ないとも言っています」と答えた。メッキーが通訳を終えると、周囲に集まっていた数十人の住民が一斉にどよめいた。 「本当ですか」 「じゃあ、襲撃の際に、なんで軍のヘリコプターが村の上を飛んでいたんだ」 テレビとも新聞とも無縁な人々が、自分たちを襲った惨劇が世界に向けてどう伝えられているかを知っているはずもなかった。命からがらキャンプに逃げてきた彼らにとって、襲撃の首謀者が自国政府であることは「常識」だったのである。
・無政府国家には警察が存在しない。立法機関も存在しないから、そもそも社会生活を律する法律がない。したがって、道義的な責任はともかく、法律上はソマリアで人を殺しても罪にはならない。そんなソマリアには天文学的な数の銃が氾濫しており、我々はソマリアの地に足をつけた瞬間から猛獣の檻に紛れ込んだウサギのような存在であった。(中略)入国前に我々が辿り着いた結論は、有能な私兵集団を護衛に付ける以外にないということであった。
・モガディシオ市民の日常生活の情報源はラジオである。モガディシオには、この時、十局のFMラジオ局があった。(中略)「特定の武装勢力が批判の的になると、当事者から怒りの電話がかかってくることもあります。でも、武装した人間が幅を利かせる国になってもう14年です。武装勢力を支持する国民なんて一握りしかいません。ラジオを通じて人々が自由に意見を言える社会をつくりたいと思います」

ゴールは偶然の産物ではない/フェラン・ソリアーノ

FCバルセロナがどのように世界的クラブになったのかを最高責任者(副会長)であったフェラン・ソリアーノ氏が書いています。MBA出身者らしく、サッカーという不確実性の高い業界ながら、ロジカルに考え、着実に手を打っているのが分かります。

しかし、読みながら、サッカークラブが国内リーグやチャンピョンズリーグで優勝できるのかどうかは確かに時々の運にも左右されますが、実際のビジネスもよく考えれば同じく運に左右されるわけで、サッカークラブを経営するというのは、普通の会社を経営するのとほとんど変わらないのだろうなとも思いました。

そのため、普通にまっとうな経営の成功例を知ることができ、サッカーファンにとっては欧州のサッカー業界でどのようなことが起きているかも同時に楽しめる一度に二回おいしい作品になっています。

日本はなぜ貧しい人が多いのか/原田泰

タイトルは統計的な事実の一つで、基本的に統計学を駆使して、一般に信じられている俗説の誤りを指摘し、さらにはそれではどうすればいいかまで仮説を提唱する内容になっています。統計の読み方にはいろいろな考えがあり、本書の読み方が必ずしも正しいとは言えないとは思いますが、いろいろと意外な事実を見せつけられると、もっと丁寧にものごとを見ていく必要があるのだなと痛感させられます。

特に年金について、なぜ今払いすぎになっているのかを高度経済成長と人口増で説明し、支給額と支給年限を3割カットすればほとんどすべての問題は解決するし、それでもまだ世界一のレベルにある、というのは目から鱗でした。

もちろん精査は必要だと思いますが、根拠のない削減やばらまきよりは、事実に基づいた国家経営をして欲しいものだなと思いました。これ以外のパートも非常に興味深くて、見識を広げる上でよい良作と思います。

<抜粋>
・要するに、1700年ごろまで、世界はほとんど一様に貧しかった。ところが、その後の300年で、世界のある国は豊かになり、他の国は貧しいままだった。これは、豊かな国が豊かなのは、他の国を貧しくしたからではないことを示唆する。
・子供のコストには、養育するための直接コストだけではなく、母親が子供を育てるためにあきらめなければならない所得が含まれる。(中略)失われた所得は、2億3719万延となる。これが例えば2人の子供を育てるためのコストで、1人当たりにすれば1億1860万円ということになる。もちろん、これに加えて食費や教育費もかかる。
・(年金について)人口が減少すれば有利な年金は払えない。しかし、これは当たり前のことではないだろうか。私は、むしろ、日本中のすべての高齢者が、払い込んでもいない年金が魔法のポケットから出てくるはずはなく、産んでもいない子供が年金を払ってくれるはずもない、という当たり前の事実を認識してくれると思っている。世代間の対立などあり得ない。すべての親は、次世代の子供の幸せを願っており、それが日本を繁栄させてきた。高すぎる年金は諦めてもらうしかないが、子供は、親にそれなりのプレゼントをすることを嫌がってもいない。年金のカットは、制度の永続性を保障し、人々にむしろ安心を与えるはずだ。
・年金支給額と支給年限を3割ずつカットすれば、年金支給額は(1-0.3)×(1-0.3)=0.49であるから半分になる。年金保険料引き上げは必要なくなるどころか、引き下げも可能になり、人口減少社会の問題は解決する。そして、年金をカットした後でも、日本の年金は世界一のレベルにある。年金の大幅なカットをした後でも、私たちは、日本の社会保障システムを誇りに思うことができる。これはすごいことだと思いませんか?
・日本の社会保障支出全体の対GNP比は2003年で17.7%と、国際的に見て低いが、高齢者向け支出に関しては、9.3%であり、ドイツの11.7%より低いものの、イギリスの6.1%、オランダの5.8%を大きく上回っている。では、何が低いのか。日本は医療費も低いが、もっとも低いのは家族を助ける支出だ。(中略)イギリスは、高齢者のための支出が日本の3分の2にすぎないのに、子供のためには日本の4倍も支出している。イギリスは、高齢者が我慢して、子供を育てる若者を助けている。これこそが未来のために現在を犠牲にする不屈のジョンブル魂だと私は思う。
・公務員の賃金水準が高い都道府県ほど、都道府県民の所得は低い傾向がある。(中略)なぜこのような傾向があるのだろうか。所得の低い県では、公務員の他に仕事がないので、公務員の賃金が相対的に高くなるというのが、通常の答えだろう。 しかし、公務員のほかに仕事がないのであれば、公務員の賃金も安くて済むはずだ。(中略)むしろ因果関係を逆にして考えるべきではないか。公務員の賃金が地域の賃金水準よりも高ければ、有能な人材が公務員になり、ビジネスには集まらない。だから、地域の経済発展が遅れるのではないか。

マネーの進化史/ニーアル ファーガソン

歴史におけるお金の起源から熱狂と失望など。ここ最近のバブルや壮大な失敗は見聞きしても、歴史に出てこないお金の歴史はよく知らなかったので大変興味深くおもしろかったです。最新の金融工学がどうというより、お金とは何かを考えるのが、お金を知り、お金に振り回されず、お金をコントロールすることに繋がります。全体を俯瞰できる良書だと思います。

<抜粋>
・はじめてコインがお目見えしたのは、紀元前600年ごろまでさかのぼれるようで、エフォエス(現トルコ領、イズミルの近く)にあるアルテミス神殿の遺跡で、考古学者たちが発見した。
・彼(注:アダム・スミス)が1776年に『国富論』を書いてから一世紀の間に、金融界では爆発的な改革が進み、ヨーロッパや北米でさまざまな形態の銀行が数多く生まれた。最も古くからあるのは、手形割引を行う銀行だ。
・(1970年ごろイギリスでは)収入や資本利得が高いと100%を超える限界税率が適用されたため、それまでに見られた貯蓄や投資の意欲を減退させた。福祉国家イギリスは、資本主義経済が機能するうえでなくてはならないインセンティブを奪ったように思えた。つまり、努力する者に与えられる「大金」という「アメ」、そして怠け者が被る「困窮」という「ムチ」が失われたのだった。
・このゲーム(モノポリー)を作ったそもそもの動機は、ひと握りの地主が借地人から徴収した地代で儲ける社会制度の不平等を暴くところにあった。(中略)このゲームが教えてくれるのは、最初の考案者が意図した点とはまったく逆で、「不動産を所有するのは賢い」ということだ。
・アメリカの住宅購入者に具体的な変化をもたらしたのは、連邦住宅局(FHA)だった。FHAは住宅ローンの借り手に政府が支援する保険を提供し、高額で(購入価格の最高80パーセント)、長期(20年)の、完全に割賦償還される低金利ローンを普及させようと試みた。(中略)魅力的だがどこに行っても代わり映えのしない典型的な郊外風景が広がる現代のアメリカは、このようにして生まれたと言っても過言ではない。
・一世紀あまり前、欧米の先進的なビジネスマンたちは、アジア全域には目もくらむようなチャンスが潜在していると考えた。(中略)ところが、西欧の資金を10億ポンドあまり投資したにもかかわらず、ヴィクトリア時代のグローバリゼーションの芽は、アジアのほぼ全域でうまく根ざさず、今日、植民地搾取として記憶される、苦い遺産だけが残った。
・いまになって振り返ってみれば(第一次世界)戦争の原因はいくらでも見つかり、しかも歴然としているのに、なぜ当時の人びとは悲劇的な戦争が起きる数日前まで、それらの点に気づかなかったのだろうか。一つには、流動性が豊富だったことと時間が惰性的に流れたことがあいまって、視界が曇っていたからかもしれない。世界の統合が進み、金融の技術革新がおこなわれたおかげで、投資家たちは安全感を高めた。さらに、普仏戦争という直近の大規模なヨーロッパ戦争から44年が経っていたし、ありがたいことに前回の戦争は短期間で終わっていた。
・2008年5月の時点では、中国がアメリカの景気後退の影響をまったく受けないなどということは、あり得ないように思われた。アメリカはいぜんとして中国の最大の輸出先であり、中国輸出総額のおよそ五分の一を占めていた。一方ここ数年、中国の成長に対する純輸出額の重要度は、かなり低くなった。そのうえ、潤沢な外貨準備高のおかげで、北京は悪戦苦闘するアメリカの銀行に資本注入できるくらい強い立場に立てた。
・最もあり得そうな事態は、アメリカと中国の政治的な関係が悪化することだ。争点の発端は貿易かもしれないし、台湾やチベットの問題、あるいはほかのまだ顕在化していない問題が起爆剤になるかもしれない。このようなシナリオは、信じがたいかもしれない。だが後世の歴史家たちが歴史を振り返るとき、このような展開になった経緯を説明しようとして、一連の因果関係をどうそれらしく組み立てるのかは容易に想像できる。

歴史とはなにか/岡田英弘

歴史というのはその時の国の都合によいように書かれているということを理解すべきだ、という著者の主張はとても分かりやすく、その視点でいろいろな歴史を紐解いたのが本書です。個人的には、本書の解釈には過激な部分もあるように思いますが、それもまた割り引いて捉えよ、というのが著者の主張だと思います。

しかし、著者のように歴史学者でない場合は、そこまで深く歴史を調べることはできないわけで、いろいろな本を読みながら、多面的に歴史や世界を捉えていく必要があるのだろうなと思います。

そういった意味で、その理解の助けの一つになる良書だと思います。非常に刺激的でおもしろいです。

<抜粋>
・「イン・シャー・アッラー」は、非イスラム教徒には、よく誤解される。キリスト教徒は、この表現を「イスラム教徒は不誠実で無責任なやつらだ。気が変わったら約束は守らないんだ」というふうに受け取りやすい。しかし、イスラム教徒に言わせれば、全力を挙げて約束を守るつもりでいるけれども、自分が約束を守ることを神様がお望みにならなければ、守れないかもしれない。だからこの「イン・シャー・アッラー」をつけないで「ではあした、かならずここで会います」と言ったら、神の意思よりも自分の意思を優先させるという、重大なる不敬の罪になる・
・アメリカのアイデンティティの基礎は、歴史ではない。アメリカ合衆国は、純粋にイデオロギーに基づいて成り立った国家だ。だから、アメリカ文明では、歴史はあってもなくてもいいもので、重要な文化要素になり得ない。
・アメリカ文明に歴史という要素がかけている結果、アメリカ人は現在がどうあるかということにしか関心がない。
・たとえば、貿易摩擦をめぐる交渉では、アメリカ側は、現状は不合理だ、と主張して、直ちにこう改善せよ、と要求する。それに対して日本側は、その問題にはこういう「歴史的な」事情があって、それが原因なのだから、改善のためにには、そこまでさかのぼって手当てをする必要がある、と応ずる。日本人の立場では、これは正直な言い分なのだが、アメリカ人はそれを聞いて、歴史に逃げこむとは卑怯だ、歴史なんていうのは単なる言い逃れだ、大切なのは過去ではなくて現状だ、直ちに法律でも作って現状を改善せよ、と言い返すことになる。
・北宋時代の漢人、いわゆる中国人の大部分は、血統の面では、実は隋・唐時代の中国人の主流であった遊牧民の後裔だったが、意識の面では、自分たちは秦・漢時代の最初の中国人の直系の子孫であり、純粋の漢人だと、思いこむようになっていた。 こうした思いこみを、この時期にはじめて芽ばえた、いわゆる「中華思想」と言う。 中華思想の核心は、「夷狄(非中国人)は、軍事力では中華(中国人)より勝るが、文明度の高さにおいては、中華は夷狄にはるかに勝っている」という主張で、現代のことばで言えば、「中国人は世界でもっとも優秀な民族である」ということになる。
・七世紀になって、唐朝が中国を統一し、公海を渡って軍隊を韓半島南部に上陸させ、倭王の古くからの同盟相手だった百済王を滅ぼした。当時の倭のタカラ女王(皇極天皇、斉明天皇)は、倭軍を韓半島に派遣して百済の復興を試みたが、663年、倭軍は白村江で全滅した。これで倭人たちは、アジア大陸から追い出され、海の中で孤立した。 当時の情勢では、いまにも唐軍が日本列島に上陸して、そこの住民を征服し、中国領にする危険がさし迫っていた。これは現実の危険だった。その危険を防ぐために、日本列島に住んでいた倭人たちと、出自がいろいろ違う華僑たちが団結して、倭国王家のもとに結集した。
・歴史は文学だから、一つ一つの作品には、それに備わった機能というものがある。歴史を書く側の立場から言うと、その作品で歴史家が目ざした目標、狙った効果というものがある。
・世界はたしかに変化しているけれども、それは偶然の事件の積み重なりによって変化するのだ。しかしその変化を叙述する歴史のほうは、事件のあいだに一定の方向を立てて、それに沿って叙述する。そのために一見、歴史に方向があるように見えるのだ。
・フランス革命は、われこを正当な所有権者なり、と主張する各派のあいだの流血の争いになり、たくさんの犠牲者を出したあげく、最後にナポレオンが実権を握って1799年に第一総領になって、やっと「国民」が王の財産を相続するということで決着がついた。それで、かつての王の財産はぜんぶ、フランス人という国民の「国家」だ、ということになった。こうしてフランスでも国民国家が誕生した。
・国民国家という形態が復旧したおもな原因は、軍事だ。ナポレオンが軍事の天才だったことに加えて、国民国家は、戦争に強かった。 君主制だと、君主は自分の財布からお金をはたいて、兵隊を雇って、訓練して、だいじに使わなくちゃいけない。大規模の常備軍をかかえておくことは、あまり金がかりすぎて、ほとんど不可能に近い。これにくらべて、国民軍は、ほとんど無限に多数の兵士を徴兵でき、短期間で大軍を動員できる。
・アメリカ人は、君主制は、なにか邪悪なものだ、と思っている。なにか不自然なものだ、と思っている。アメリカ合衆国の建国によって、人類の長年の理想がはじめて実現した、と思っている。民主主義が全世界に広まるのが、歴史の必然であり、それを実現するのが、アメリカの神聖な使命だ、と信じている。こういう、反論を許さない、頭ごなしの割りきりかたは、イデオロギーそのもので、マルクス主義とおっつかっつの、非論理的な信仰なのだ。
・中国という国民国家は、20世紀のはじめの1912年に中華民国ができるまで、まだなかった。だから朝鮮の国王や、ヴェトナムの皇帝が、清朝皇帝に代々朝貢して、冊封を受けていたからといって、それで朝鮮国やヴェトナム国が、清朝の宗主権を承認して、新帝国の保護国だったことにはもちろんならない。国民国家というのものは、18世紀末のアメリカ独立とフランス革命をきっかけとして発生して、19世紀の帝国主義時代に世界じゅうに広まったものなので、19世紀以前の朝貢と冊封に基づく外交関係は、「宗主国」と「保護国」の関係などとは、ぜんぜん意味が違うのだ。

おもちゃ、を作りたい

ポール・グレアム「自然発生的な起業のアイデア」 – らいおんの隠れ家

最初に作ったものが、みんなに「おもちゃみたい」とけなされてもヘコまないこと。実際、それは良いサインだ。それこそ他の人たちがアイデアを見落す理由なのだ。最初のマイコンはおもちゃだと無視された。最初の飛行機も、最初の自動車もそうだった。そういった点で、ユーザは好んでいるのに、掲示板の荒らしが「おもちゃ」と叩くようなものを誰かが持ってきたら、私たちはとりわけ投資したくなる。

まちつく!」の原型を作りはじめたのは2年前くらいで、半年くらいかけて試行錯誤しながらプロトタイプができた頃に、東京ゲームショウのインディーズみたいなデモに出そうかと思ったのだけど、こんな小さい画面でしかできない動きもない地味なケータイゲームは注目されないだろうなと思ってしまい、止めました。あの時出してたらどうなっただろう。

その後、キューエンタテインメントの内海さんに見せたら、「何これおもしろいよ、すごい。絶対流行るよ!」って言われて、すごくうれしかったのも思い出した。それ以外の場合は、だいたい無関心だったけど。

そして今、300万人以上(本体+mixi+モバゲー)のユーザーさんに使ってもらえてとてもうれしいです。結果よければよし、ということで(笑)。もっと世界のたくさんのひとに使ってもらいたいなぁ。