分かりやすいところで「エクセレント・カンパニー」「ビジョナリー・カンパニー」「同2」などがいかに「エセ科学」なのかを明らかにする意欲作。これらの本は、誰もが納得する「ストーリー」を提供しますが、それらは「後付け」の説明でしかなく、集められた資料はハロー効果にまみれていて、科学的根拠はまったくないと言います。実際のところこれらの本で優れていると取り上げられた企業のその後のパフォーマンスは大幅に低下し、平均すら下回っています。
ハロー効果とは、結果について情報を与えられた人に客観的に測定できないことを言い、次のようなテストが例としてあげられています。被験者をいくつかのグループに分けて、あるテストを実施する。それに対して「成績がよい」と言われたグループと「成績が悪い」と言われたグループを「ランダム」に分けると、前者グループでは自分のグループはコミュニケーション能力と柔軟性とモチベーションに優れ、結束が高かったと評価するが、後者グループではそれらの評価は低くでた。
これは確かにまったくであり、ビジネス書やビジネス雑誌では分かりやすい因果関係のある(ように見える)ストーリーでまとめてあり、読んでいて気分がよくなります。本書では「ストーリー」を否定せずストーリーはストーリーとして読むべきであると主張し、多くのビジネス書の因果関係と相関関係を取り違える手法、上記のビジネス書のような「たくさん資料を集めたのだから科学的に正しい」という論拠などを真っ向から破壊していきます。
個人的には、「エクセレント・カンパニー」「ビジョナリー・カンパニー」「同2」は以前から何かおかしいと感じていたので、非常に腑に落ちた感じがしました。これらの本を信奉している人、および、よくビジネス書を読む方には必読の本です。
一方で、経営者として、この本には非常に考えさせられる部分が多いです。例えば、結局のところリーダーシップもモチベーションの高さもビジョンの浸透度も業績にはほとんど連動しない、ことを明らかにされています。ハロー効果により統計上、成功している企業では社員のモチベーションが高く、失敗している企業ではモチベーションが低いと出て、ハロー効果を抑えた調査結果では、どうやら統計上有意な結果は4〜10%程度しかないらしい。
本書の結論的には「これさえすれば成功するというものなどない」「成功と失敗は紙一重」「ビジネスは、私たちが考える以上に、運に大きく左右される」「原因と結果の関係は明確でない」という非常に曖昧なことになっています。これは一見がっかりするおもしろくもない話なのですが、正直に言えば会社を経営していると、非常に実感として感じる部分があります。例えば、自分はあまり変わっていないのに、社内外問わず捉えられ方の変動が激しく感じますし、成功と失敗の分かれ目に対しても非常に運の要素が大きいと思います。
であれば、何を規準にしてどういう経営をしていくべきなのか? これはじっくり考えていかなければいけません。


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