2009年8月アーカイブ

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先日の上海に続いて、北京へ行ってきました。今回は上海をさらにハードにしたスケジュールでまさに弾丸ツアー。ものすごいたくさんの人に会って非常に勉強になりました。アレンジやアテンドしていただいた方々に多謝です。

それでは、思ったことをつらつらと。写真はF08-Aです(やはり限界が。。)。

天安門
天安門 posted by (C)Shintaro
とにかく空気が汚い。ずっとスモッグでうすら曇っていて、青空が青空でなく、のどが痛くなりました。数百メートル離れた天安門でこんな感じ。僕はアレルギー体質なので残念ながらこの街に住むことはできなそうです。

点くとこんな感じ
点くとこんな感じ posted by (C)Shintaro
2年半前より街がすごくきれい。オリンピックがあったのが大きそうですが、街が非常にきれいになってました。オーロラビジョンみたいなのがそこらじゅうにありましたが、この写真のは本当に見たこともない大きさでした。

北京の裏道5
北京の裏道5 posted by (C)Shintaro
とはいえ、少し裏道へ入ると雑多な感じで庶民的な市場や飲食店があったりするのは健在。魚とかも道ばたで売ってる。。

杭州小咆
杭州小咆 posted by (C)Shintaro
その辺りにあったので、ふらりと入った餃子屋さん。普通においしい。食べて、ビール飲んで一人120円以下でした。

あやしい形のビル
あやしい形のビル posted by (C)Shintaro
インターネット企業をたくさん訪問したのですが、各社が非常に離れています。車で1時間弱とかざら。上海に比べると広いなぁという印象。一つ一つの建物が非常に大きいし、道路は広くて極めてきれい、タクシーも上海に比べると新しい車が多かったような気がします。

3gpp
3gpp posted by (C)Shintaro
上海よりモバイルビジネスが盛ん。上海ではモバイルなんてまだまだという人が多かったのに対して、北京ではみんな注目はしていて、1000万クラスのユーザー規模を持つ会社に何社か会いました。アイテム課金もそれなりに盛んに行なわれているっぽい。ただゲーム系はまだアプリでの提供が多いらしく、イメージとしてはiモードリリース初期に近い感じがします。そういう意味ではまだまだチャンスがあると思います。

talk session
talk session posted by (C)Shintaro
上海でも感じましたが、中国人のネット系起業家は、中国国内でのみビジネスをすることにリスクを感じています。なぜなら政府や携帯キャリア、ビックプレイヤー(ポータルなど)の意向でいきなりシャットダウンさせられることがあるから。特にモバイルビジネスは危険と考えられているよう。なので多くの会社は国内だけでなくアメリカや日本に非常に興味を持っています。

YEEPAYパーティー
YEEPAYパーティー posted by (C)Shintaro
なぜ日本のネット企業が現地でうまくいかないか。中国人起業家が口々に言うのは、マーケティング手段が限られているからということです。中国では起業家同士で非常にオープンにプロモーション手段と効果などの情報交換をしたり、相互リンクを張り合ったりしていますが、日本企業だとそこに食い込みずらい。実際のところほとんどコネクション(人間関係)でそういったことが決定されている。また、日本側の親会社のコンプライアンス上の縛りなどでできないことも多い。

味千ラーメン
味千ラーメン posted by (C)Shintaro
味千ラーメンは中国で300店舗を超えるなど非常に成功しています。もちろん1店舗だけでは判断できませんが、味は日本人からするとかなりイマイチですが、そこは好みの問題かもしれないので気にしないとして、サービスレベルは日本よりだいぶ低い感じ(出てくるのが非常に遅いとか)。正直言って、ビジネスのことだけを考えたら、インターネットビジネスとかするより、日本食料理とかで正攻法にアレンジして持ち込むとかの方がいいのかも、とか思いました。まぁ個人的には、インターネットが好きでこのビジネスをしているのでその選択肢はありませんが。

<今回会った会社のリスト>
・Playfish、Rekoo、Xaionei、SOHU.com、sina mobile、YeePay、pp.cn、2fishes、56.com、UCWEB、ECitySky、ISMOLE、AppLeap、apptz、5i.com、tongxue.com他いろいろ

<スライドショー>

see also 上海2009 - suadd blog
see also 香港、マカオ、深圳 - suadd blog


橘氏の本は思考実験に富んでいて非常に楽しい。今回もマイクロ法人を使うとどのような節税や利点があるかを書いてます。正直言って橘氏の他の本で聞いたような話も多いのですが、個人的には結構すぐ忘れる方なので純粋に読み物としておもしろいし、勉強になるし、いいのではないかなと思います。

<抜粋>
・すなわち日本では中高年を解雇して若手社員を中途採用すると違法とされてしまうのだ。日本で派遣労働が急速に普及したのは、解雇規制が強すぎて容易に社員を雇うことができないからであった。だが格差問題の議論の中で、この事実に触れることはタブーとされている。
・(ダイエー)中内と(RJRナビスコ)ジョンソンの二人の企業人を比べてもっとも強く印象に残るのは、会社に対する考え方のこの大きな違いだ。中内は会社をひと、すなわち自分の分身と見なしていた。ジョンソンは会社をもの(道具)として扱い、資本市場で売買することになんの抵抗もなかった。これは、どちらが正しいという話ではない。法人がひとであると同時にものでもあることで、二人の男の波瀾万丈の物語が悲劇ありうは喜劇として成立したのだ。
・株式会社は、なにもないところから儲け話だけで資金を集める仕組みだ。その儲け話に実体があればビジネスで、実体がなければ詐欺になるが、おうおうにして両者の区別は不可能だ。
・(サラリーマンの払う)厚生年金は掛け金の総額に対して受給額が大幅に下回るという逆ざやに落ち込んでいる。(中略、自営業者の払う)国民年金の保険料は定額制で、現在の月額14100円が2017年には月額16900円まで引き上げられることになっているが、これでも平均寿命まで生きれば払った分の2倍程度は戻ってくる。
・金融市場が管理できるリスク世界なのか、管理不能の不確実な世界なのかは長い議論があったが、2008年秋の世界金融危機において、統計的にありえない出来事が毎日のように起きたことから「不確実説」が有力になった。それによれば、金融市場は複雑系のネットワーク(スモールワールド)で、システムに組み込まれたフィードバック機能によってバブルや暴落が頻繁に起きる。
・MSCBは欧米の株式市場ではありえない資金調達方法で、もし実行すれば確実に株式代表訴訟の対象になる(世界金融危機でも、MSCBで資金調達した欧米の金融機関はなかった)。ところが日本市場ではそれが当たり前のように行なわれ、金融庁や証券取引所も黙認している。

see also 黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 - suadd blog

天才!  成功する人々の法則
マルコム・グラッドウェル
講談社
¥ 1,785


ティッピング・ポイント(原題)」のマルコム・ブラッドウェルの最新作。勝間和代氏が訳しているということで、ノウハウ本かと思ってしまいますが、かなり深い本ですので、食わず嫌いしている方はぜひ読んで見てください。

内容は「成功する」ことに焦点を当てて、いくつかの条件について、豊富な事例を元に書かれています。ただ、統計的な情報は少ないというか、その条件が本当に重要なのか、については多少の疑問が出てきてしまいます。そうでない可能性も否定できない、というところでしょうか。とはいえ、感覚値にはかなり近いものがありますので、この後で本書の主張とそれに対して考えてみたいと思います。

<要約と考察>


  • カナダのアイスホッケー選手は1月〜3月に生まれた選手が多い。これは選抜が1月を区切りとして行なわれるためで、早く生まれたものが有利だからだ。
    これは統計的に明らかで、疑いの要素はありません。スポーツだけでなく勉学などにおいても、幼少であればあるほど1年の差は大きいということを示しています。であれば、日本においては子育てにおいて次の2通りを考えた方がよさそうです。1.子供はできる限り4〜6月に生まれるようにする。2.日本の教育制度を変える。まぁ海外に行くという手もありますが。

  • ベルリン音楽アカデミーでの調査では、優秀な学生はそれまでの累計の練習時間が例外なく長い。短いのに優秀なものは「いなかった」。これはスポーツでも同様であり、選抜に選ばれることで練習時間が増加する。マジックナンバーは1万時間である。これはビジネスでも同様で、ビル・ゲイツはPCが登場したときにコンピューターに1万時間触っていた。
    何かをなすにはそれだけの経験が必要という主張ですが、音楽やスポーツ、学術では明らかに相関関係が見られるのはよく分かるのですが、ビジネスの世界ではぽっと出でも成功する人は結構いるように思います。恐らくビジネスでは自らの実力よりもタイミングなどの運の要素もかなり大きいからでしょう。しかし、それは悲観すべきことではなくて、きちんと努力をしていれば報われる可能性は高くなるのではないかと思っています。そうして成功した時の方が自らに自信も持てるし、満足度も高いのではないでしょうか。

  • IQの高さは社会的な成功と比例していない。大学の授業についていくにはIQ115程度が必要ではあるが、それから先、IQ130の科学者とIQ180の科学者のノーベル賞を受賞する可能性は同じくらいである。
    何事も多ければよいというわけではないらしいのですが、それでは何が影響するのかというのが次の項目です。

  • (以下は抜粋)「中産階級の子どもは、まだ小学四年生のときから、自分自身の利益のために振る舞っているように見える。教師や医師に特別な要求を出し、うまく調整して、自分の欲求を受け入れさせる」 反対に、労働階級や貧しい家庭の子どもからは、「よそよそしさ、不信、遠慮が浮かび上がる」。裕福な家庭の子どものように、自分の最大の目的のために周囲の状況を自分の要求に応じて変えていく(中略)"カスタマイズ"する方法が分からない。
    本書ではIQ190だがみじめな生活を送っている天才が誰からも認められていない事例も紹介されています。確かに、IQのような才能よりも、むしろこういった文化的な優位性が影響するというのは非常に納得感があります。

  • 歴史上の富豪(クレオパトラまで含む)の75位までのうち20%が1831年〜1840年に生まれたアメリカ人である。これは1860年代〜70年代にアメリカの産業が大幅な転換期であったことに由来する。またビルゲイツは1975年のパソコン時代の到来を21歳という絶妙のタイミングで迎えたし、フロムという弁護士は敵対的買収や訴訟が重要となった1970年代にまさにその仕事を専門としていた。
    自らの仕事が好機であることが重要というお話。本書の言葉を借りれば「長年、技能に磨きをかけてきたところ、それが、とつぜんとてつもなく重要になったというわけだ」。これは本当に重要な要素であることは理解できるのですが、実際のところそれを予測するのが極めて難しいという難点があります。とはいえ、常にアンテナを張り巡らせて、しかるべき時にしかるべき場所にいる「努力をする」ことは重要なのではないでしょうか。

  • アメリカ南部の人間は北部の人間に比べて喧嘩をふっかけやすい傾向が「統計的に」ある。中国人はアメリカ人に比べて数字ルールが簡単がゆえに数字に強い。貧困な家庭では夏休み中の読む力が低下する。など「文化」が個々人に強い影響を及ぼしている。これらは「その文化」からいったん切り離すことで、解消は可能だ。
    もちろん貧困な家庭の問題などは解消されるべきですが、それ以外の文化についてはむしろ生かしていくべきなのではないかと思いました。例えば、日本人の子どもは難しいパズルを諦める時間がアメリカ人よりも40%も長いそうです。であれば、日本人はそれが生かせる仕事を選ぶ方がよいのではないか。

特に最後のポイントについては非常に重要だと思っていて、最近考えているのは、例えばマイクロソフトやヤフー、Googleのようにビジネスのルールを作るビジネスはアメリカはすごく得意だと感じます。一方で、日本人が得意な例というと電化製品、車、アニメなどクオリティ重視のものが多い。だから、日本人が世界でやっていくためには、クオリティで勝負した方がよいのではないか、と思っています。

P.S.北京から帰国しましたー

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