※DVプログラムへの参加を希望の方は若干古い情報ですが、こちらに書いてますのでご参考にどうぞ。
先日アメリカ大使館に行って、アメリカ永住権=通称グリーンカードを放棄してきました。理由を一言で言えば、しばらくは日本にいて仕事に集中したいので、しばらくアメリカに「住む」ことはないと考えたからです。
グリーンカードを持っていてもアメリカに年間の半分以上を住んでいないと基本的に維持できません。現実には、アメリカ入国の際に問題になり、僕も過去2回の入国時には別室送りでかなりきつくしぼられました。「アメリカに住む気があるのか?」「なぜ日本に住んでいるのか?」「今度来るときにこの状態だと剥奪して、強制送還する」などなど。恐らく次回は普通には入国できない状態でした。
帰国後すぐは再入国許可証というのを取得していて2年間は自由に入国できましたが、すでに期限切れしていましたし、再申請はアメリカ国内でしかできないので、不可能でした。もう一つの手は、次回の入国時に帰国永住者として「これから移民するから入国させて」と嘆願するものですが、これもイミグレーション・ジャッジ(移民局判断)になってしまうので確度は高くありません。何よりもその時まで一回もアメリカに入国できなくなってしまうのが痛いところです。
もう一つ問題なのは、税金の問題で、グリーンカードホルダーはアメリカ国税庁(IRS)から絶対に逃れられないことです。日本などほとんどの国は属地的な収入に対しての税金なのに対して、IRSでは属人的な収入が対象になります。これはアメリカ人やグリーンカードホルダーは世界中のどこに行っても、IRSが追いかけてきて税金を徴収するということを意味します。当然ながら僕も毎年IRSに申告をしています。もちろん1,000万円くらいまでは、日米の租税回避条約が有効なので、それ以上税金はかかりませんが、それ以上の収入があった場合は、一般的にアメリカの方が税金が高いため、差額を納めるなど、かなり複雑なことになってきます。
さらに、最近できた法律により離脱時(グリーンカード破棄した時)にある程度の財産があるとみなし売却益として、それらにいきなり税金がかけられるようになりました。さらに、IRSに10年間は申告をしつづけなければなりません。これらはアメリカ人向けに脱税目的で米国籍を放棄するものが後を絶たないためにできた法律らしいです。僕はまだグリーンカード歴が短いので対象になっていませんが、しばらくすればこの対象になってしまいます。
帰国時の目論見としては、日本で株式会社を作って、ウェブサービスを作って、またアメリカに持ってくるということを考えていたのですが、今のところそういう展開まで行けておらず、それは僕の力不足であると思っています。今は、もっと時間をかけてじっくりとやっていきたいと思っています。
以上のようなことを考えて、またいつかアメリカで仕事をしたいと思っていますが、少なくともここ数年はその可能性は低いことを考えて、いったん放棄した上で、その時にまたビザを申請しようと考えました。
しかし、アメリカ大使館ではアメリカへのビザを求めるたくさんの人々が列をなしていましたし、アメリカに住んでいる友人でもグリーンカードを欲している人がたくさんいる中で、非常に心苦しい部分があります。ビザの関係で日本に戻って来ざるをえなかった人も何人も知っています。
せっかくの無限のチャンスを持つカードを自ら放棄してしまうことに対して、昨年辺りからずっと考えてきてました。しかし、今の時点で仕事を放り出してアメリカに行くことはできないと思っていますし、もっと目の前のことに集中しようと考えて、大使館に行ってきました。
大使館の人にも「本当にいいのか?」と念押しされましたが、「はい」と答えるとあっさりと終了。わずか15分ほどで、From I-407のコピーをもらって大使館を後にしました。また戻ってくる日を信じて。