タイトル通り最初の2秒間のなんとなく、について様々な事例から解き明かそうとする意欲作。例えば、「教授」について思いつく言葉をあげさせたグループと「フーリガン」について思いつく言葉をあげさせたグループにテストをさせると、前者の方が正答率が高くなるなど不思議な第一感についての事例があげられています。しかし、不思議ではあるけれども、きっとそうなんだろうなと思えるわけで、その裏側の仕組みをいろいろと考察しているのが本書です。
個人的に一番気になったのが、「言語による書き換え」という話で、前にレストランに言った時のウェイトレスの顔は思い出せるが、言葉で説明すると言い当てられないし、説明した後で面通しすると不思議なことに分からなくなってしまうという話でした。
僕としては、哲学至上主義というか、基本的に感覚は言語化することでしっかりと固定化されると考えていたので、こういった第一感に関する本書は非常に考えさせられました。よく考えると、ウェブサービスというのもある種の芸術的な部分があり、言語化しないで結果を信頼するということが重要になるケースがあります。もう少しむやみに言語化せずに感覚を信じてみようかなと思いました。
下記に要約抜粋しますが、ご興味を持った方はぜひご一読ください。
<要約抜粋(ネタばれかも)>
・身長2.5センチは、1年間の給料989ドルに相当する。身長182.5センチの人は165センチの人より平均で5523ドル多く稼ぐ。
・情報が多いほど、医者の診断の正確さに対する自信は高まる。が、回答の正しさは変わらなかった。
・ある高級食料品店に6種類のジャムと24種類のジャムを置いた。6種類のジャムのときは30%が購入したが、24種類の時は3%だった。選択肢が多すぎると、無意識の処理能力を超えて、麻痺してしまう。
・マーガリンについて「『アルミ箔はあったほうがいいか?』などと聞いてはいけない。決まって『分からない』とか『アルミ箔なんてどうでもいい』という答えしか返ってこないものだ。どっちがおいしいかだけ聞く。そんなふうに間接的に尋ねると、本当の動機が見えてくるものだ」
・「デルモンテが缶ではなくガラス瓶に桃を詰めたら、『おばあちゃんが作ってたのとそっくり』と言う人が何人もいた。ガラス瓶入りの桃の方がおいしいという評価が出た。アイスクリームも四角い容器より筒型の容器に入れた方が売れる。その方がおいしそうだからと、価格が5セントや10セント高くなっても喜んで買ってくれる。パッケージの効果だけなのに」
・アーロンチェアの形についての評価について「では、美観についての評価はどうなっただろうか? 今では8点を獲得している。かつて不格好だと言われた椅子が美しいと思われるようになったのだ」
・最近ではパトカーに二人乗せずに、一人だけ乗せるケースが増えている。なぜなら、警官が一人の時は何事もゆっくりと進めるのに対して、誰かとチームを組むと早く終わらせようとするから。
> もう少しむやみに言語化せずに感覚を信じてみようかなと思いました。
賛成