江戸時代から明治にかけて生きた渋沢栄一の伝記小説。尊皇攘夷から幕府転覆を狙い、命を狙われ、急遽徳川慶喜(後に大政奉還する将軍となる)の家来になったり、その弟のヨーロッパ留学についていくなど、江戸時代の話も非常にドラマチックなのですが、やはり明治になってからの活躍が凄いです。徳川慶喜に仕えてた身から在野で商売をしようとしていたところ、大隈重信に請われて、大蔵省に入り、日本の税制や予算編成に携わっています。
その後、予算編成で大久保利通や大隈重信と対立して、在野に下ってから第一国立銀行(現みずほ銀行)の頭取に就任し、東京ガス、王子製紙など今の日本の大企業の多くの設立に関わり、まさしく日本実業界の父的な存在です。当時の三井の三野村や三菱の岩崎などとの対立と交流も非常に興味深く描かれています。
こういった激動の時代にビジョナリーに国を作った人がいて、はじめて自分というものがあるのだなぁと思うと、もっと身を引き締めて行きたいなと思うのでした。
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