綿密な取材に裏付けされたウォルト・ディズニーの伝記。内容は超緻密で本自体も分厚いのですが、文章がうまく、スピーディーに読むことができます。ウォルト・ディズニーは長編アニメーションやカラーテレビ番組、テーマパークなど常に新しいことに空前のスケールで挑むクリエーターであり、その作品は枚挙にいとまがありません。
しかし、一方で常に精神的に緊張し、ストレスから体調が優れない状態が続いていたそうで、あれほどの作品を生み出し、名声を獲得しながらも、常に満足せず高みを目指していたことが分かります。
実際のところ大恐慌や第二次世界大戦の影響を受け、スポンサー探しに飛び回り一時期は戦争映画ばかり作っていたという現実的な側面も持っています。また、自己中心的な性格からスタッフを切り捨てることも数知れずあり、兄のロイとも常に経営戦略で対立していました。
しかし、本書を通して読んだ感想としては、ウォルト・ディズニーが本当に誠実に精一杯、自分の能力を作品にぶつけて来た過程が分かり、それはそれで非常に辛そうなのですが、だからこそ彼の作品は全世界で見続けられ、彼の創った精神世界は現代人をも魅了し続けるのだろうなと思いました。
人類史上希代のクリエーターを知りたい方にオススメします。
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