ビートルズ・サウンドを創った男

ビートルズ・サウンドを創った男--耳こそはすべて
ジョージ マーティン
河出書房新社
¥ 2,940

第五のビートルズとも言われ数々のアーティストのプロデューサーを勤めたジョージ・マーティンによる半自伝。まだ音楽プロデューサーというものがない時代、ビートルズなどの商業レコード業界、映画音楽への取り組みなどが非常に克明に描かれており、非常に興味深いです。

若干冗長な感じもありますが、それもまた今後資料的な意味も含めて重要になってくることでしょう。この本が書かれたのは78年ですが、すでにデジタル音楽の可能性にも的確に言及しているのがさすがです。自身は、ポールとジョン・レノンに比べると音楽的才能はなかったと断言しますが、レコーディングへのこだわりは凄まじいものがあり、まさに現代音楽を作ってきた巨人であると思います。

個人的には、特に音楽プロデューサーというものがない時代から徐々に、音楽プロデューサー像を確立し、憧れの職業にしたのにその先見性と才能を深く感じました。これは音楽プロデューサーをミュージシャンと同等のクリエイティブな仕事だと認めらさせてきたからだと考えます。

僕はウェブサービスを作るということに関して、クリエイティブなウェブプロデューサーが絶対的に必要だと思っています(これをはてなではサービスクリエーターと呼んでいますが、ここではウェブプロデューサーで通します)。

現状はエンジニアがやってみたり、企画や営業の人がやってみたり、試行錯誤が繰り返されています。そして、ウェブプロデューサーはその仕事範囲の曖昧さからエンジニア、企画、営業から突き上げをくらう孤立した存在になっているケースが多いように思います。

使われるウェブサービスは例外なく優れたウェブプロデューサーがいます。後から「同じこと考えていた」などという人は、本当に「同じ」なのか(自分に正直になって)考えた方がよいし、Twitterやmixi、ニコニコ動画に細かいことで(遅いとか儲かる訳ないとか)文句ばかりつけられるのもその実装のエレガントさに目がいってないからだと思います。

もちろん批判は常に必要ですが、「なぜそのサービスが使われるのか」「サービスが何をもたらしているのか」を考えれば、ウェブプロデュースの才能とエンジニアリング、企画、営業、デザインなどの才能は分けられるべきと考えます。

恐らく10年後には、ウェブプロデューサーという仕事が確立していると思いますので、特に心配はしてないのですが、願わくは自分もその一人でありたいと思います。と、だいぶ本の感想から外れましたが。。

P.S.単行本は若干高いですが、文庫版もあるようです。

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: ビートルズ・サウンドを創った男

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://suadd.com/blog/mt/mt-tb.cgi/2199

コメントする

フォト蔵

映画生活

プロフィール

about 山田進太郎
作者は何者であるか?
[写真(フォト蔵)] [twitter]
[mixi] [GREE] [メモ(clipp)]


↓共著書
新・データベースメディア戦略。オープンDBとユーザーの関係が最強のメディアを育てる

ウノウ株式会社
代表取締役社長
まちつく!
ケータイ無料ゲーム
フォト蔵
写真共有・動画共有サービス
映画生活
映画情報サイト、現在はぴあ運営
Fujisan.co.jp
雑誌の定期購読、創業メンバー
Listen-IT !
ITを題材にした英語学習サイト
ネット株価情報
ネット企業の時価総額ランク