超人類へ! バイオとサイボーグ技術がひらく衝撃の近未来社会

著者はOutlookやInternet Exploreの開発にも関わったことがあるという実業界の人ですが、本書は非常に幅広く、遺伝子治療や能力増強剤(例えば、記憶力を大幅に向上したりする)、クローン、脳直結型インターフェイスなどについて、どのような技術がどの程度進展しているかを解説しています。

恐らくほとんどの人は、こんなことまでできてるのかという驚きとともに、本当にここまでしていいのか、という倫理的な問題に直面します。例えば、最近では体外受精はよく行われていますが、特定の病気(ダウン病など)にならないように遺伝子をチェックする(PGD)ということは行われています。しかし、それではIQが高い低いを選べるとしたら、どうか?

著者は基本的に遺伝子治療や能力増強剤も、コーヒーを飲んだりレーシック(視力回復手術)するのと変わらないといい、一つ一つ論破していきます。例えば、不妊治療については、PGDでIQが高い遺伝子を選んでも、精神的に不安定であるケースもあるだろうし、そもそも遺伝子だけではすべての性格や容姿などを決定できるわけでもないと言います。そもそもが現在でも帝王切開をするし、未熟児には薬品や保育器を使う。さらに言えば、欧米で禁止しても、アジアではOKという可能性もあるし、もしそうなれば所得格差を広げるだけになると主張します。

また、最後の方に出てくる脳にメッシュ型のインプラントを埋め込む話が圧巻です。まず血管より細い線をメッシュ状にして脳内を被う手術をするところから始まります。それから各種トレーニングを行うと、イメージを他人に送ったり送ってもらったりすることができるようになります。脳内とはいえ電気信号であるから当然こういったことが理論的には可能です。インプラントがインターネットに接続することで即座に知識を得たり、記憶力を増強したり、はては睡眠や食欲、心拍数や気分までコントロールできるようになります。これらは、非常にSF的ですが、本書で示されている基礎的な研究を基盤にしています。

著者のラディカルな思想には嫌悪感を持つ人も少なくないと思います。が、個人的にはここ数十年だけでも非常に大きな感覚の変更が行われて来ているわけですから、今後も同様なことが起こることは間違いないと思います。そう言った意味で僕は基本的なスタンスでは著者を支持したいと思います。

非常に想像力が刺激されますので、これからの新しい世界が知りたい方はぜひ一読をオススメします。

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