世界は感情で動く

世界は感情で動く (行動経済学からみる脳のトラップ)
マッテオ・モッテルリーニ
紀伊國屋書店
¥ 1,680


経済は感情で動く」の著者が、経済に限らず世界を題材に実例から行動経済学によって分かっていることを書いた本。基本的には「経済は〜」にかなり似通っており、重複していることも多いように感じました。個人的には「経済は〜」の方が(最初だからか)おもしろかったです。

いずれにしても、質問を前後させたり、ちょっと表現を変えたりするだけで、まったく違う結果が出てきてしまう統計結果をこれでもかというくらい見せられると、自分の判断を相当冷静に見ないとなという思いを新たにさせられます。

<抜粋>
・(宝くじの)当選者たちは、旅行で五つ星の部屋に泊まったとか、家を大きくしたとか、新車を買ったとか、それくらいのことはしただろうが、そうした変化が日々の幸福度を決定的に変えることはなく、至福感は短いあいだに消えてしまっていた。
・年収が10万ユーロ(約1250万円)を超える人は、銀行預金が非常に乏しい人と同じほどのいらだちや不快感を抱え、同じほどの時間をストレスのたまる不快な活動に費やしている。渋滞のなか一人で運転する、毎日混んだ電車で通勤する、会社での人間関係が好ましくないといったことも、幸福感を著しく妨げることが明らかになった。一方で、くつろぎ、セックス、友人との食事、祈りや瞑想、スポーツ、クッキング、ショッピングなどは、快感を非常に強める行動のうちに数えられた。
・他人への敵意や軽蔑は、自分の属する集団のアイデンティティやプライドを高めたいという欲求から生まれるものであるようだ。乏しい資源をめぐる競争(空き地の取りあいやトーナメント戦といった取るに足らないものも含む)の必要性が高いほど、したがって結束力の必要性も高いほど、衝突ははげしくなり、相手方への反感も強くなる。
・私たちのエゴはつらいことや苦しいことには耐えられないから、無意識のうちに、都合のいいことだけを記憶に残そうとする。こうしてゆがんだ記憶は、選ばなかった選択肢を惜しむ気持ちを一掃し、平穏で落ち着いた毎日を守る役目を果たしているのだ。
・人は年齢が増すほど、記憶を好ましいように色づけするという、特別な自己寛容の精神を身につけるものらしい。「老人の知恵」という言葉があるが、過去を公平な目で見ることができなければ、間違いから学ぶこともできないではないか。

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コメント(2)

自分に都合の悪いコメントは消すんですね。がっかりです。
「文責」の意識はお持ちでないんですか。

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